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人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

245.三角形の気持ち【戦国BASARA:小政+成実、綱元】

「ねぇ、綱兄。小十兄が梵の傍らに在るようになって何年になるんだっけ?」
藪から棒にそんなことを成実に訊かれ、綱元は器用にひょいと片方の眉を跳ね上げた。
「政宗様が御年九つの時にあれが傅役として上がったから…十年になるか。その頃には既に成実も政宗様のお傍に在ったのだから覚えているだろうに」
「うん、まあ…ね」
伊達宗家の嫡男である政宗のひとつ年下の従弟であった成実は、年が近いことも手伝って遊び相手或いは学友、長じて彼が家督を継いだ暁にはその側近となるべく、年端もいかぬうちから政宗の傍にいた。
互いによい競争相手でもあったし、元々仲も良かったから、それこそ本当の兄弟のようだったのだ。おそらく、まともに顔を合わせることも許されなかった政宗の実弟と政宗よりもずっと兄弟らしかったかもしれない。
ひとつ年上の、いずれは頭領となる彼の一番の家臣となるのだ、と幼いながらに成実は思っていた。自分が護るのだ、と自負してもいた。
疱瘡の毒で右目を失い、それを機に政宗の世界が内向きに閉じていった時も頑なにそう思っていたけれど、成実は無力な子供でしかなくて。
そんな時に小十郎が現れたのだ。
手を伸ばし、閉じゆく世界を抉じ開けて彼を再び光の下へ連れ出した。
政宗には小十郎が必要だったのだと思う。そして、小十郎には政宗が必要だった。正しく彼等は惹かれるべくして惹き合ったのだ。
幼い政宗の心根に巣喰う闇を祓うためとはいえ、一歩違えれば命さえ奪いかねない行為を───腐り果てた右目を抉るという行為を小十郎以外の誰があの時に覚悟を以て為し得ただろう。
自分にはできなかった。政宗を護る、と云いながら幼い成実には凄絶な、そこまでの覚悟はなかったのだ。
だから。
小十郎には敵わない、と悟った。たぶんどんなにみっともなく足掻いても、小十郎には一生敵うことはないと思った。
だから、政宗が小十郎を己が〈右目〉に据えても。
小十郎が政宗を己がものとして──誰よりも傍近くに在るものとして──自分の許から攫ってしまっても。
そのことに一抹の淋しさと妬ましさを感じてしまっても、小十郎なのだからしょうがないと思ったのだ。
「十年…かあ」
思えば長いよねぇ、と苦く笑った成実に、傍らの綱元は訝しげに首を傾げた。今更何を言い出すのだろう、という心境なのだろう。
「成実?」
「梵にとっての一番は小十兄で、それは揺るぎないモンだって判ってるけどさ…でも小十兄ばっかズルイなぁ、って」
「なんだ、お前。今更小十郎にヤキモチか?」
可愛いじゃないかとばかりに綱元は笑って成実の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。すると、そうした子供扱いの仕種に「綱兄!」と抗議の声を上げて、成実が口を尖らせる。
綱元は小十郎よりも更に年長だから、そんな彼から見れば成実も政宗も───更には小十郎さえもひっくるめて皆子供扱いだろうが。
「ズルイなぁって思うから…ついイジワルしたくなるんだよね」
なんて云うの。小舅根性ってヤツ?
は?と綱元が目を丸くしたその時、向こうから政宗が小十郎を伴ってやってきた。
「Good morning.成、綱元」
政宗は二人の姿を認めるや、にこりと笑って右手を挙げた。彼の背後に控える小十郎は、二人に目礼をしてくる。
「おはようございます、政宗様。小十郎も」
「おはよう、梵ー」
つい今しがたまで綱元に揶揄われて拗ねていた成実だったが、政宗の顔を見た途端どうでも良くなってしまったらしい。人懐こい笑みを浮かべてパタパタと政宗の許に駆け寄った。
「おはよう」
「おう」
極々自然にぎゅうと抱きしめて、成実は政宗の頬に接吻した。擽ったそうに瞳を細めた政宗も同じように成実の頬に接吻を返す。
南蛮では親しい者同士で交わされる挨拶らしい。初めて政宗にされた時は流石に面喰った成実だが、なるほど親しい者同士というのならば自分達は〈兄弟〉にも等しくて。
好奇心を擽る南蛮文化はなにやら胡散臭いものも満載だが、これは気に入ってしまった。
そんな訳で、南蛮式の挨拶は毎朝の習慣となっている。
もちろん、政宗も誰彼構わずやっている訳ではない。親しい者、と限定されているのだから当たり前だ。それゆえ、優越感に浸れる。
加えて。
ぎゅうと抱きしめた政宗の背後には小十郎がいる。
無関心を決め込む小十郎を政宗の肩越しに見、にいっと口角を引き上げて見せると、僅かに小十郎の表情が揺らいだのだった。見れば眉間の皺がいつもより深く刻まれていて、己の行為が思った以上に効果的だということを成実に教えてくれる。
掻っ攫われて十年だ。十年分の意趣返しとしては可愛いものではないかと思う。
無論、本気で彼等の仲を引き離す──まあ、引き離そうにもそう簡単に引き離せるような軟な絆でないことくらい傍で見ているから知っている──つもりはないから、どこまでも『可愛い意趣返し』の域だ。
小十郎も大人だからその辺りは弁えているのだろうが。
(小十兄ばっかズルイんだからさ、これっくらい許して貰わないとね)
正直面白くない、と顔に書いてある小十郎をほんの少し意地悪く見つめ、成実は密かに溜飲を下げたのだった。



「政宗様…、」
「An?」
どうした、不機嫌そうなツラして。そう云って政宗は傍らの小十郎を見遣った。
「少々……妬けます」
「What?」
どういう意味だ?と目を大きく瞬かせた政宗は、やがて合点がいったのか呆れたように溜息をつき、それから笑って小十郎の耳許に顔を寄せ───こう、囁いた。

「お前とは毎朝毎晩欠かさずdeepなのをしてるだろう?」



ウチの小政における成実は、年若いのにまァ良き理解者…といった立ち位置で。
そして小十郎にとっては、ともに「政宗を護る」という同志。
でも、基本「筆頭大好きー」なので、たまにこういう意地悪をしたくなっちゃうワケですね。>小舅根性(苦笑)。

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