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人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

116.花に託す【CR戦国乱舞:成政】

お試しに戦国乱舞ver.で書いてみました。成政になります。
BASARAとは勝手が違うので…いろいろ手探りです。
まず一人称が、「俺」なのか「私」なのか「我」なのかも判らないし(苦笑)。
でも目先が変わって、なかなか楽しかったですね。
次は乱舞ver.小政に挑戦してみよう!←更にいつもの小政とは勝手が違います(苦笑)。
その気になって「乱舞もやるよ!」になったら、一応大元が遊技台ですので…なんの絡みがなくても〈乱舞〉のみ年齢制限を設けることになりそうです。
なので、今回もそういう趣旨から畳んでおきますね。



奥州にも遅い春がやってきた。
雪が解け、水が温み、花々が一斉に咲き乱れる。寒くて長い───総てが白一色に塗り潰される厳しい冬を耐え、生命という躍動感溢れる今が一番いい季節だ。
「今年も見事な桜だ」
ほう、と吐き出す溜息とともに、広がる桜色に思わず理知的な左眼を細める。
居城である黒川城からほんの少しばかり愛馬を駆って、政宗は毎年見事な桜花を咲かせる老木の許へとやってきた。
もちろん手ぶらではない。仮にも花見、と称するのだから酒持参である。
此処は政宗の気に入りの場所だった。
地形的にも彼が生まれ育った米沢の地に似ていて、だからだろうか。此処の桜を眺めていると、米沢の地とそして過ごした幼き日々を思い出す。
幼き日々の思い出は、決して政宗に優しいものばかりではない。寧ろ諦念に塗り潰された暗い、それの方がより鮮明だ。
その中で。
『梵っ、』
大事な右目を欠いた、隻眼という容姿に幼心に引け目を感じていた政宗は、そのために部屋に閉じこもって外に出ようとしない子供だった。
戦人としては致命的な隻眼と内向的な性格ゆえに、斯様な若君を伊達の嫡男として押し戴くのは如何なものかと廃嫡論まで出たほどだ。むろん、〈独眼竜〉の二つ名を轟かせる今の政宗には見る影もないが。
そんな自ら内向きに閉じていた世界を強引に抉じ開けて外へと連れ出したのが、ひとつ年下の従弟である成実だった。
『梵、桜が咲いてすごい綺麗なんだ。なあ、見に行こう!』
背を向けて拒否しようとする政宗の手を強引に引っ掴み、表へと引っ張り出す。
これが大人ならば、廃嫡寸前とはいえ一応は嫡男である若君を無理強いてまで外に連れ出すうな無謀な真似はしないだろう。
だが、同じ子供。それも血が近しく兄弟同然に過ごした相手ならば、容赦がない。実力行使だった。
『どうだ!綺麗であろ?』
無理矢理に連れ出した成実は目当ての場所に辿り着くや、エヘンと胸を張って隣の政宗に感想を求めた。
『ずっと見せたかったんだ。梵天は部屋に閉じ籠もってばかりゆえ…』
うわあ、と思わず目を瞠らんばかりの見事な桜だった。
別に遠出をした訳ではない。城内である。
しかし、世界を閉じていた政宗は城内にすらこんな見事な桜の木があったとは知らなかったのだ。
『見事、だな』
『梵?』
桜を見上げ、それから成実を見遣った政宗が「ありがとう」と告げると、成実は一瞬驚いた表情をしたが、すぐに擽ったそうに笑った。
その日、久しく忘れていた笑顔が政宗に戻ったのだった。
「………」
此処の桜を眺めていると、成実とともに見た米沢城のその桜を思い出すのだ。
黒川城は米沢よりも南に位置するため、桜の開花が幾分早い。おそらく米沢の桜はまだ蕾だろうが───あの頃と少しも変わらず、今年もきっと見事な花を咲かせてくれるのだろう。
「済まぬな。我が身のみでは咲き誇る張り合いもなかろうが、待ち人が来ぬゆえ暫し一人で楽しませてもらうぞ」
労わるように老木の幹を撫でてやる。
そこへ「お館さま、」と姿なき声が降ってきた。
政宗直属の忍集団である黒脛巾組のくの一、凍夜である。彼女の腕は黒脛巾の中でも一、二を誇り、今日もお忍びで城を出た政宗の護衛を影ながら務めていた。
「もうすぐ成実様がお見えになります」
今、麓から此方に向かって馬を走らせておられます───と続けて告げる。
「存外早く気づいたようだな、あれも」
凍夜の報告を受けた政宗は、フフと悪戯っぽく笑ってみせた。
「お館さま、私はこれで」
「ああ、大儀だった」
ふっと気配が消える。彼女の役目は、成実が此処に来るまで。
伊達の双璧の一人であり、猛将と怖れられる伊達成実が主の傍に居るのなら、なんの心配も要らなかった。
彼は何にも勝る〈独眼竜〉の守護者なのだから。
気配を消した凍夜と入れ替わりで成実が現れた。その姿を認めるや、自然と政宗の顔が柔らかく綻ぶ。
「梵。もしやと思ったが…やはり此処におったか」
「よく気がついたな」
「此処は梵の気に入りの場所だろう?それに、毎年ともに此処で花見をしようという約束ではないか。この俺が梵との約束を違えると思うか?」
「いいや」
笑みを浮かべたまま、フルリと首を横に振った。成実の言葉は真実で、少しも疑う余地などないからだ。
「俺は梵が何処に行こうと必ず見つけ出す自信があるから良いが、まあ…せめて城の連中に行き先くらい告げておいてくれ」
お蔭で「お館様のお姿が何処にも見当たらぬ」と方々から泣きつかれたぞ?
「一応書き置きはしておいたのだがな」
「『出掛ける 政』だけではなんの意味もないだろうが」
竜に小言を繰るなどお前か小十郎くらいなものだ、と肩を竦めて告げれば、伊達の双璧を斯くも容易く振り回すはお前だけだ、と返され、互いの顔を見合わせた二人はなるほどそれもそうだと笑った。
政宗にすれば己以外の誰かが成実を振り回すなど見たくもないし、成実にすれば己と並んで伊達の双璧である小十郎には百歩譲るとしても、それ以外の誰かが政宗に小言を繰って彼が従順と聞く様など同様に見たくはない。
「それはさておき。今年も見事に咲いたなぁ」
目を細めて桜を見上げた成実に向かって「だろう?」と政宗は頷いた。
「綺麗だ、」
「成?」
そんな言葉とともにふわり、と成実の腕に囲われる。
「本当に。綺麗だ」
どんなものよりも。
「───!?」
彼の目は桜の方を向いていない。真っ直ぐに政宗の姿だけを映している。
途端、鼓動が跳ね上がった。
(この男は───ッ)
目尻を薄紅く染めた政宗は「阿呆」とぶっきらぼうに云うと、視線から逃れるように俯いた。
「…そういう感想は桜を見て、云え」
「俺の〈桜〉は目の前にいるゆえ、では存分に云わせてもらうぞ?」
「成っ」
悪びれずにそう切り返した成実は、政宗の動揺を余所に男臭く笑ったのだった。


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