人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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207.ほろり【戦国BASARA:家政+孫市】

「そういえば…孫市は独眼竜とは知り合いだったな」
雑賀孫市を頭領とする傭兵集団雑賀衆と契約を結んだ家康は、来るべき“天下分け目”の合戦に向けて、徳川にとって最大級の戦力となるであろう奥州の伊達軍と同盟を結ぶべく、雑賀衆を伴って一路〈竜の棲む地〉へと向かっていた。
「…ああ」
孫市はそれがどうした?といわんばかりに頷く。訊けば、彼女も独眼竜に逢うのは久しぶりのことらしい。尤も、家康とは異なり「だからといって特段深い感慨はない」そうだが。
考えてみれば、雑賀衆はその才覚を金で買う傭兵集団である。家康の与り知らぬところで伊達と雑賀に結びつきがあってもなんら不思議ではない。
「しかし、あの暴れ馬と同盟を結ぶとはな。確かに戦力としては大きいが…徳川、お前苦労するぞ?」
「ハハハ。若いうちの苦労は買ってでもしろ、というではないか」
相手が独眼竜なら苦労を苦労とも思わない。そんな家康の懐深い言いっぷりがまさか惚気とは思いも至らず、孫市は怪訝そうに首を傾げた。
「それに、な。独眼竜を傍においておかないと…どうにもワシが心配なのだ」
「心配?それはどういう意味だ?」
独眼竜こと〈奥州筆頭〉伊達政宗とは、過去何度か戦場にて激突している。
あの怖ろしいほどに苛烈な蒼き稲妻は、戦場にあっても目を惹かずにはいられない───至高の輝きだった。
命と命を火花として散らすような場だからこそ残酷なまでに輝きを帯び、そして目を奪われる。その様を灼きつけておくためならば、いっそこのまま時間を止めてしまいたいと切望するほどに。
戦場にて相見えるたびに、家康は憧憬とも恋情とも知れない複雑な感情を覚えていた。尤も、政宗は早々にそれを恋慕と看破していたようだが。
あの頃は三河を背負い立つとはいってもまだまだ子供で、両手に抱えきれないものを欲していた気がする。
その後、様々な経験が家康を大人に成長させた。そして、今では東軍の総大将に担ぎあげられ、三河一国を背負うどころか日の本の東半分を背負い立つまでに至っている。
家康は石田三成と並んで日の本を二分する勢力のひとつとなっていた。
そんな中で。
政宗には以前から同盟話を持ちかけていた。此度のように一団を率いてではなく、忠勝のみを伴い忍んで奥州を訪ねたことも幾度かある。
同盟話を持ちかけたのは勿論その戦力を必要としていたこともあるが、政宗に再び逢うための体のいい口実だったといってもいい。過去の彼は子供の己など眼中にもなかったから。
竜に相応しい、釣り合う男に成長したのだと認めてもらいたかったのだ。認めてもらったうえで、過去に口にできなかった想いを伝えたかった。
月日を経て子供特有の甘さが抜け、男臭さが滲むようになった家康の相貌に目を瞠ったのは、政宗の方だった。
そうして、認めてくれた。
誰のモノにもならない、といっそ憎らしいまでに言い放った政宗が。たまには誰かのモノになってやるのも悪くない、とこの腕の中に堕ちてくれた。
家康の、なによりも愛しい存在。
愛しいと口にするのは些か面映ゆいのだが、家康とそうした仲になっても、彼は同盟話に関しては態度を保留していた。それとこれとは話が別、と言わんばかりの頑なさだ。
誇り高い竜は、小田原の役で石田三成ひとりに殲滅に近いほど手酷い敗北を喫している。
将であれば、戦場での勝ち負けの経験はそれこそ数え切れないほどあるだろう。どんな戦巧者であっても常勝などあり得ない。勝ち戦からも確かに得るものはあるが、負け戦ほど学ぶことが多く自身を成長させるものはない。かくいう家康もそれを繰り返して成長を遂げた者の一人だ。
政宗にとって、殲滅に近いその敗北は屈辱以外の何物でもなかった。竜の矜持を傷つけられた───それは憎しみとなり、或いは激しい憤怒となって竜を支配していることだろう。
だからこそ心配なのだ。
「独眼竜は三成を憎んでいる筈だ。ともすれば…いや、あの〈右目〉が傍にいる限り、諫めて然様なことにはならんだろうが、万が一…憎しみに衝き動かされて、三成に挑むかもしれん。孫市も独眼竜の性格を知っておるなら、かの竜の動きなど容易に想像はつくだろう?」
「…ああ」
言葉どおりに容易く想像がつくのか、孫市は溜息混じりに頷いた。
「憎しみだけではダメなんだ。だからワシの傍に…せめてワシの目の届く範囲に独眼竜がいてくくれば、三成を前にして万が一竜が憎しみに身を任せても止められるかなと」
戦では冷静さを欠いた方が致命的な負けなのだ。
「〈右目〉といい、徳川…お前といい、アレの周りにいる者達は皆アレに対して過保護すぎる。だからあんなとんでもない暴れ馬になるんだ」
御せる相手が限られるなどまったく以て使いものにならんぞ。
心底呆れ果てている風情の孫市に向かって、家康は鷹揚に笑ってみせた。
「まあ…そこはあれ、だ。惚れた弱みというヤツでな」
「───は?」
あまり表情を変えない孫市にしては珍しい。一瞬、ぽかんとした顔になった。
「徳川。お前、今なんと言った?」
「うん?だから、『惚れた弱み』なんだよ。ワシは独眼竜に惚れておるからなぁ」
「………」
「どうした、孫市」
「…そうか。徳川…やはり、お前は苦労する」
そう告げて肩を竦めた孫市は。
誇り高き雑賀衆は己らの腕を高く評価してくれる者につく。誰が誰に惚れていようが、その方針は永劫に変わりない。
雑賀が徳川と契約を結び、赤い鐘を鳴らしたのは、徳川が何よりも雑賀の働きに相応しく、そして雑賀の腕を高く評価したからだ。
ゆえに、契約を交わした者として今耳にしたことは総て忘れよう───と思った。


「おーい、独眼竜。同盟の協議に出向いてきたぞ」
「よォ、家康。…って、そっちにいるのは三代目じゃねェか。久しぶりだな」
「お前も元気そうだな」
竜の住処に現れた徳川と雑賀勢を馬上の人である政宗は快く出迎えた───ように見えた。
「で、家康。テメエは『女』を伴って何しにきやがったっ!」
旧知の仲である孫市と雑賀衆に向かっては愛想よく中へ通した政宗だったが、家康に対しては大層な豹変ぶりで、一歩たりともこの先は跨がせねェと言わんばかりの迫力で馬上から睨みつけている。
「ど、どうした?独眼竜。だからワシはお前との同盟の協議にきたと…。それにワシは女を伴ってきてなど…」
おらぬ、と主張しようとしたが、よくよく考えてみれば雑賀衆現頭領雑賀孫市は女性だった。だが、政宗と孫市は昔馴染みなのだ。孫市が女性であるという事実は、当然彼も知っている。
それを。
「It’s no more discussion!(問答無用!)」
「ま、待て。独眼竜!」
気まぐれな竜である。何が原因で起爆スイッチを押してしまったのかは判らないが。
とにかく落ち着いて話を聞いてくれと宥めてみても、目ざましい効果はなく。
「俺を捕まえられたら話ぐらいは聞いてやるっ」
そう吐き捨ててぐるりと愛馬の首を返し家康に背を向けるや、馬の腹を蹴ってもの凄い勢いで走り去っていく。
「おい、独眼竜!だから───、」
奥州の人間はみな馬の扱いが巧みである。政宗に至っては神技の域といってもいい。
とはいえ、とにかく。
「やれやれ。捕まえんことには話もできんな…」
(せっかく此処まで来たんだが…どうにもワシの竜は甘い雰囲気になってくれんらしい)
溜息をひとつ零した家康は、まずは恋人の恪気を鎮め、それから話を聞いてもらうべく、手入れの行き届いた白馬に跨ったのだった。

孫市姐さんの1巡め。奥州の独眼竜のもとへ同盟に向かう時の家康と孫市の会話の中で、姐さんが政宗のことを暴れ馬扱いするんですね。
「あの暴れ馬と云々、苦労するぞ云々…」
それを聞いて、「うっわあ」と思ってしまいまして…そのまま文字に落としてみました(苦笑)。
苦労するぞ云々のひと言でここまで妄想が話が広がるってステキだと思います。
ちなみに。
奥州走竜陣では政宗に追いつけず、小十郎にも追いつけず…な人でしたorz
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