人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
    --:-- | Top

178.みえないチカラ【戦国BASARA:小政】



───お前の声には力が宿っているから…どうにもいけねェ───


「政宗様、」
政宗は先ほどからつんと顎を上げてそっぽを向いたまま、小十郎を見ようともしない。声をかけても口を“への字”に曲げるばかりで、返事ひとつしない有様だ。
相当臍を曲げてしまったらしい───というのは、小十郎の経験から導かれた推測である。
政宗が幼少の時分より傅役として仕えている小十郎だ。主張と主張がぶつかり合った挙げ句に臍を曲げられた経験は数え切れないほどある。
幼少時の彼は置かれた環境の所為かひどく気難しいうえに癇癪持ちで、こんな風に小十郎の前で臍を曲げられるのは、むしろ日常茶飯だった。
「政宗さま」
頑として口を利かないつもりのようである。やれやれ…と内心溜息をつきつつ再度呼びかければ、今度は。
「It’s useless even if you’ll call me many times!(何度呼んだって無駄だっ!)」
小十郎には理解できない南蛮語──意味は判らずとも、凡そ好意的なものではないことは不思議と察せられる──で毒を吐くので、流石に腹に据えかねて語気を強めて言い返した。
「小十郎にも判る言葉で仰っていただきたい!」
「Ha!悔しかったら理解できるようになってみやがれっ」
「政宗様!」
政宗の売り言葉に買い言葉で釣られて言い争っていたら、いつまで経っても無限ループのように現状から抜け出せない。それも傅役の頃より経験で小十郎が学んだことだ。
冷静になれ、と一度心の中で唱えて緩く首を振った小十郎は、相変わらずそっぽを向いたままの政宗に向かって静かに口を開いた。
「…何がお気に召さないのですか」
「お気に召さねェ?ああ、お気に召さねェなァ。つーか、小十郎!なんで俺の言うことがきけねェんだよ!」
「───はあ、」
やっとこちらを向いたと思えば、小十郎の怪訝そうな表情が面白くなかったのか、政宗はそれこそ地団駄を踏みそうな勢いで吼えた。
「Shit!」
はあ、と腹の底から長い息を吐く。
政宗が己に対して望んでいること。それは───。
「如何に政宗様の望みであろうと…この小十郎、叶えて差し上げられることと差し上げられぬことがありますれば」
「Why?俺の望み、なんて至極簡単なコトじゃねェか」
「簡単なこと、ではございません!臣下が主君を呼び捨てるなどっ」
『政宗様』ではなく『政宗』と呼んでくれ。
それが小十郎に対する政宗の命令であり、望みだった。早い話がそれを小十郎に聞きいれて貰えなくて、拗ねてそっぽを向いていたという訳である。
小十郎は政宗に対して僭越を許される唯一の人間であるが、だからといって常に政宗に甘えるつもりはない。情人、というのはふたりだけの、あくまでも秘めごとだ。
大多数の目に映るのは、自分達が主従であること。主と従は対等ではない。対等ではないのだから、従である己が主である政宗を敬称抜きで呼ばうなど許されざること。
政宗も頑固だが、小十郎も相当な頑固者である。
「小十郎っ」
癇癪を起こした政宗は、それまで苛立たしそうに開いたり閉じたりしていた扇子を抛り投げると、ズカズカと大股で居住まいを正して相対している小十郎の前にやってきて仁王立ちになった。
「いいじゃねェかよ、減るモンじゃねェんだから!第一、お前にはそれ以上のことを許してるんだぜ?たかが呼び方ひとつに今更拘ったってなんの意味もねェだろうが」
「ま…っ、」
そういう問題ではないでしょう!と反駁した小十郎を見下ろした政宗は、ぐっと上体を傾けてその秀麗な顔を小十郎に近づけると、ガウと牙を剝いたのだった。
「バカこじゅ!この石頭!カタブツ!」
「政宗様!」
散々に拗ねて、まるで駄々を捏ねる幼子のように吼えたてる政宗を真正面から受け止める。強い眼差し──むしろ普段より凄味が増しているかもしれないが──で見据えられた政宗は幼い時分の経験が脳裏にでも甦ったのか、僅かに怯んだ。
そこで、再度小十郎は我に返る。
さきほど『冷静になれ』と自身を戒めたばかりなのに、またもや政宗のペースに乗せられて無限ループに囚われるところだったではないか。
「小十郎…?」
(ったく、しょうのねぇ我儘ばかり言いやがって…)
心の裡でぼやいてみても、そこをひっくるめて可愛いと思うのだから仕方がない。
(ここは折れてやるか。一度、だけ)
小さく嘆息した小十郎は渋々といった体で、「一度だけですよ?」と答えた。
あえて一度だけ、と枷を付けたのは、そうでもしないと自身の中で収拾がつけられなくなると思ったからだ。
途端に政宗の顔が期待に満ちて満面に輝く。
ああ、そんな期待に満ちた眼で見つめられても…と内心苦笑しつつ、小十郎は政宗を引き寄せた。
そうして耳許に唇を寄せ、吐息とともに低く囁いてやる。
あくまでもさりげなさを装って。

「───政宗、」

「───っっ!?」
ヒッと声にならない声を上げた政宗は顔を真っ赤にして耳を押さえると、それまで躰を密着させていた小十郎からもの凄い勢いで飛び退いた。
「政宗様?」
「お、おま…っ、お前、それ…っ」
珍しく狼狽えている政宗を不思議そうに見つめ返す。顔は相変わらず熟した果実のように真っ赤だ。
「お前っ…それ、反則っ…」
喘ぐように漸くそれだけを口にした後、政宗はへなへなとその場にへたり込んでしまった。
慌てて傍らに寄り、手をとって支えてやる。
「政宗様?」
「もう、いい…。俺が悪かった」
掌を返したように今度は殊勝になった彼の態度が不思議で、竜の気まぐれは今に始まったことではないにせよ、これは一体どういう心境の変化なのかと小十郎は目を瞬かせた。
「Shit!こんなに威力があるとは思わなかったぜ…俺としたことが、腰が抜けちまった」
「は?」
「お前の声には力が宿っているから…どうにもいけねェ」
すっかり脱力しきった政宗は傍らの小十郎に躰を預けたままで億劫そうに呟いた。


───小十郎は声だけで俺のことを殺せるな…。





昨日は家政をアップしたので、今日は小政を。
サイトを更新するほどのまとまった時間は取れないんですが、その代わりちょこちょこ書ける時間があるのでブログの方でアップです。←最近ブログでSSのアップが多いのはその所為(笑)。

政宗と呼べ、話は実は成政でもやっているんですが、小政だったらどうなるのかなと思って書いてみた次第です。
小十郎のあの声で耳許で名前を(様抜きで)呼ばれたら…そりゃ腰も砕けますね。


Comment
2010.10.11 Mon 22:04  |  RONO #C1fHLXVw
小政いいですねー!
HPにリンクしてもいいものでしょうか?
小政メインですか?
  [URL] [Edit]







(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
Trackback
http://sinners.blog13.fc2.com/tb.php/1123-1e63cfda
プロフィール

安曇

  • Author:安曇
  • 今日も元気に生きてます。
カレンダー(月別)
04 ≪│2017/05│≫ 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブロとも申請フォーム
ちびギャラリー
 

presented by.●○紅羽のTWぶろぐ○●
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。