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人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

206.希望通りの結末を【戦国BASARA:家政】

石田三成率いる西軍との激戦が繰り広げられた大坂城を臨む東軍方伊達軍本陣。
それまで腕組みをしたまま険しい眼差しでじっと一点を見据えていた政宗が、ふっと息をついた。
「どうやら…アイツもアイツなりの決着をつけたみてェだな」
「政宗様?」
アイツ、とは東軍総大将徳川家康である。
政宗自身、小田原の役で石田三成一人に対し殲滅に近い敗北を喫している。お蔭で伊達軍は戦力の大幅減を余儀なくされ、統一した奥州の弱体化を招くこととなった。
豊臣軍によって地に堕とされた竜が力を蓄えて奥州をまとめ直し、再び天を狙うにあたって、どうしても必要だったのは、三成によって傷つけられたままの竜の誇りを取り戻すことだった。
そのために政宗は豊臣軍に対して反旗を翻した家康と同盟を結んだ。あくまでも5分と5分───対等な同盟関係である。
政宗が三成に対して激しい怒りにも似た執着を持っていたように、家康もまた彼に対して決着をつけるべき何らかの執着を持っていた。それが家康の心の何を占めているのか、政宗が口を出すつもりはない。ましてや嫉妬心や独占欲を振り翳すつもりもなかった。
執着というならば、三成も同じだ。あの男は誰と刃を交えていようと家康しか見えていなかった。狂気じみた憎しみに支配されたあの瞳は、初めから家康しか映していなかったのだ。
愛憎は表裏一体、という。
家康も三成も。互いに気づいていないだろうが、名付けるというならば、おそらくそれは限りなく恋情に近いものだったのだろう。
家康が己に一身に傾けている、確固たる“想い”と似ているけれども非なるもの───擬似的な恋情。
天下分け目にも等しいこの合戦で、政宗は三成に対して政宗なりの決着をつけた。竜の誇りをこの手に取り戻した。
そして「あとはテメエの番だ。テメエなりの決着をつけてこい」と告げて、後事を家康に託し、本陣に退いたのだ。
その決着も───どういう形かは此処からでは知るべくもないが、一応ついたらしい。
小十郎、と政宗は傍らに控える自身の右目の名を呼んだ。
「ウチの連中に陣払いの下知を。奥州に戻るぜ」
「はっ。して、政宗様は…?」
「An?俺、か?俺はアイツを迎えに行ってくる。どうせ、あの場から動けずにいるだろうからな」
どんな形であれ、あれだけ執着していたのだ。今頃家康は喪失感が一気に押し寄せて、足を取られて一人では動くこともできないだろう。
全く以て手のかかる男だが、仮に己があの男の立場にあったならばおそらく同じような強い喪失感を味わっている筈。
判っている。だから、迎えに行くのだ。
ですが…となおも小十郎が言い募ろうとしたのは、単身で向かおうとする政宗の身を慮ってのことだ。いくら東軍が勝利を収めたとはいえ、城内にはまだ戦意喪失していない豊臣方がいないとも限らない。そして、そのような残党に徳川方である政宗が命を狙われるとも限らないのだ。
「Don’t worry.撤収までには戻る」
「政宗様、」
小十郎は、行かせたくないという表情だ。だが、強く言って聞かせたとて頑として譲らない政宗の性格を一番よく知っているのは、他ならぬこの男である。
だから、最終的には小十郎が折れる形で政宗を送り出してくれたのだった。
家康の許へと向かう途上。
政宗は大坂城から続々と自陣へ撤収する徳川軍と出喰わした。家康の様子を問うと、皆一様に「家康様ご勝利」と安堵した様子で答えてくれたのだが。
「家康は…まだ上、か?」
「はい。家康様は暫しの間ひとりにして欲しいとの仰せにて、本多殿も含めてお人払いをされておりますゆえ…」
睨んだとおりだ、と政宗は思った。
「Ok,判った。Thanks.」
礼を言って上層を目指そうとする政宗を家康に忠実な家臣達は留めようとしたのだが。
如何せん相手は苛烈を誇る奥州の独眼竜である。元より留める術を持たない彼等は、家康の許へ向かおうとする政宗に向かって、遠回しに再度人払いをしているからと言ったものの、それ以上は強く引き留めようとしなかった。


硝煙と血臭。折り重なるように斃れている夥しい数の兵士の骸。折れて踏み躙られ、最早どちらに属する軍のものかも判然としない旗指物。
その光景は総て自分達が生んだものだ。
目は逸らさない。延々と───一度は政宗も己が誇りを取り戻すために三成と刃を交えた決戦の場である最上層まで続くであろうそれを乗り越えて行く。
決戦の場へと続く階段を上がっていくと視界が開けた。
中央に黄の戦装束を纏った家康が蹲っている。傍に横たわるのは、政宗の位置からだとはっきりと視認できないが───おそらく三成の骸だろう。
戦である以上、そこには必ず勝者と敗者が存在する。判ってはいるが、目映いばかりの光にも似た男がただ一人蹲るその光景に、理由もなく哀しみを覚えた。
決着をつけた今、彼の胸に去来するものは一体何だろう。
声をかけるのは憚られて、政宗は静かに家康の隣に立った。フードを目深に被って、項垂れている家康の表情は、政宗からは窺えない。
「どこで…間違ってしまったんだろうなあ…」
気配で政宗だと察したのだろう。家康はぽつりと呟いた。
「ワシは三成を友と思っていた。三成との間に友情という名の絆を結べると思っていたんだ…」
「家康…、」
「どうしてこんな形でしか…っ」
何故。
何故こんな形でしか決着をつけられなかったのか。或いはもっと別な道、別な方法があったのではないか。判り合うこともできたのではないか。
それは悲痛な叫びだった。
「違えちまったモンは戻らねェよ。お前にはお前の信ずるものがあるように、石田にだって譲れないモンがあったんだろう。その信ずるものに従って互いに突っ走った結果、だ。避けられはしねェ」
最初からそれは相容れぬものだったのだろう。
喩えるなら、光と闇───のように。
「独眼竜…」
傍らに蹲って喪失感を耐える家康がとても弱く、そしてとても愛しく思えた。
そっと手を伸ばす。
「どんな形であろうと、お前は石田との決着をつけたんだろう?お前はお前なりの決着をつけた。違うか?」
「独眼竜…、」
政宗は。
目深に被っているフードごと家康の頭を撫でた。
傍らに寄り添い、ずっと───ずっと撫で続けた。


家康1巡めエンディングから。
三成の骸を前にひとりで蹲っている家康のシーンが妙に印象的でした。
あの光景は切ないなあ…と思いつつ、作ったお話です。
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