人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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23.かごめの見る空【戦国BASARA:家政】

手渡された握り飯を頬張りながら、家康は「やっぱり凄いなあ、」と頻りに感心していた。
「家康様、お慎み下さいませ。仮にも我らは豊臣配下なのですぞ」
「然様にございます。そして、伊達は豊臣の敵」
徳川譜代の家臣達が代わる代わる声を潜めて窘める。
小牧・長久手の戦で豊臣に降った徳川である。
一国の主だった家康は、これを境に豊臣軍を構成する一個の将となった。ゆえに、こうして食事の際は多くの兵と共に大広間で摂ることになる。今まで傅かれた立場にあった者がなんと哀れなことよ…などと見下し半分憐れみ半分で言う輩もいたが、正直なところ家康はあまり気にしていなかった。むしろ、このようにざわついた場の方が生きている実感が得られて好ましいと思えた。
此処は雑然としているが、その分様々な情報が耳に入ってくる。実際に戦場を駆け、敵方と刃を交える中下層級の将兵ばかりだから、たとえそれが雑談程度の些細なものでも信用に足る。
呑気に構えているように映るかもしれないが、その呑気な面の下で家康は徳川のために確実な情報を得ていたのだ。
「判っている。だが、凄いものを素直に凄いと言わずしてどうするんだ。ワシの心根はそこまで涸れてはおらんぞ?」
屈託なく笑いながら、二つめの握り飯に手を出した。家康のこの屈託のない明るさは、どんな逆境下にあっても変わらなかった。そのことこそが豊臣に降ることとなった彼の家臣達にとって救いであることを彼は知らない。
「流石は独眼竜…。人取橋の伊達勢不利を見事に逆転したか」
想いを馳せれば、容易く脳裏にその荒々しく猛々しくも凛々しい姿が浮かび上がる。
蒼き、竜。
戦場にて幾度となく目を奪われた。
無尽に空を駆ける蒼い稲妻の如く、苛烈で斯様に美しいものをそれまで家康は見たことがなかった。息をすることさえ苦しくなるような感覚に陥るのも初めてで、だからこそ網膜に、記憶に、鮮烈に灼きついたのだ。
時を経た今となっても少しも色褪せないほどに。
(独眼竜…、)
竜が目指す高みは、豊臣秀吉が掌中に収めようとしているそれと同じだ。
家康自身豊臣軍に組み込まれ、内側から見て初めて実感したことだが、豊臣秀吉が領土を拡げる速度はある意味で異常だ。嘗て、日の本に覇を唱えるに最も近いと目されていた〈第六天魔王〉織田信長が領土を拡げていった時よりもずっと速いのだ。貪欲に日の本全土を呑み込もうとさえしている。
無論、大将である秀吉自身の資質もある。あの男は確かに強い。
だがそれに加えて、秀吉の右腕と目される天才軍師、竹中半兵衛と左腕である懐刀の石田三成。この両名の存在があってこそのことだろう。
九州を制し、毛利の中国と長曾我部の四国もほぼ制圧したに等しい秀吉の目は、東国に向いている。小田原の手前までは既に秀吉の掌握下で、更に版図を拡げるべく、現在小田原に向けて軍を動かしているのである。もちろん、その軍勢の中には徳川軍も入っている。家康が師とも仰ぐ〈甲斐の虎〉武田信玄ですら攻めるのに手を拱いた、絶対堅固を誇る小田原城を、秀吉は大軍を以て攻め落とさんとするつもりなのだ。
その先に迫るのは関東。そして───竜の棲まう地、奥州だ。
(独眼竜……)
「伊達、政宗……」
そっと口に乗せる。その名に憧憬を覚えたのは、さていつからか。
家康が秀吉に従う限り。小田原城を落とせば、その先でいずれ相見えることになるだろう。
再び、あの苛烈なまでに美しい稲妻を目にするのだ。
その瞬間を思うだけで心が震える。
『Ha!テメエが竜を御するって?』
竜は誰のものにもならない。嘗て相見えた戦場で傲慢に言い放ったひと。
それは己が子供だからか、と応えることこそ子供の証拠だと理解している。そのひとに子供と見做されることが家康は一番悔しかったのだ。
片倉小十郎という〈右目〉でも真田幸村という〈好敵手〉でもなく、〈徳川家康〉として並び立ちたいと───絆を得たいと、そう願っていたから。
『───俺と釣り合うような男に成長してから出直してくるんだな』
竜に釣り合う男。
竜に相応しい、男。
あの時の家康は対等の立場に立つどころか、想うことも願うことも焦がれることも認めてもらえなかった。
軽くあしらわれて門前払いもいいところだ。
あれから幾年過ぎて、果たして己は彼に相応しい男に成長できただろうか。
自身のことは自身が一番判らないものである。
「独眼竜…、」
遠く想いを馳せる。
(ワシは今、此処にいる───)
再び戦場で彼と相見える、その瞬間を思う。



「閃光」とリンクするお話です。時系列的には「閃光」以前。
ウチの家康は、政宗の『俺に釣り合うような男に成長してから出直して来い!』発言がずっとトラウマのようです(苦笑)。
自分と同じレベルまで昇ってこれなければ認めねェ、という突き放し発言。
それが何年もしないうちに昇ってこられちゃって、或いは抜かされそうで…出来上がってからは「あン時煽らなきゃよかった…」と後悔する政宗です。>そんな家政。

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