人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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364.だからキスして【戦国BASARA:家政】

六爪を鞘に収める。傍らでは家康が拳を解き、両の手を軽く振っていた。
「……粗方片付いたみてェだな」
ふたりの周りには倒れ伏した敵兵の山が築かれていた。
「ああ。怪我はないか、独眼竜?」
「Ha!誰に訊いている、家康。俺はまったく以て無傷だぜ?」
不敵な笑みを──ああ、こんな殺伐とした場所にあっても彼の笑みはなんて人を惹きつけずにはおれないのだろうと家康は場違いなことを思っていた──投げて寄越した政宗に、家康は「良かった」と心から応えを返した。
ぐるりと首を巡らせた政宗が、「小十郎!」と己が右目の名を呼ぶ。
「小十郎、勝鬨をあげろ!」
「承知っ」
よく通る小十郎の声に呼応して、其処彼処でいくつもの野太い声が上がった。
勝鬨の声に身を任せるのは気持ちいい。
「ところで、テメエはどうなんだ?家康」
不意に水を向けられて、ハッと我に返った家康である。顔を上げると、早々に戦闘態勢を解いたのか脱いだ兜を脇に抱えた政宗が思いのほか間近にいて、思わずどきりとした。
「…どう、とは?」
緩く瞬いてから首を傾げる。政宗は軽く仰いで額に手を当て、なにやら南蛮語を口にした後で──響きからしてたぶん罵られているような気がする──、ギンっと家康を睨みつけた。
「だからっ、怪我だよ!怪我!お前はしていないか…っ、て」
威勢良く吐き出したものの次第に尻窄みになっていく様が、威風堂々とした常の彼らしくなくて、こんな時にどうしようとついこちらが狼狽えてしまうほど可愛かった。
「独眼竜…っ、」
「Shit!締まりのねェツラしてんじゃねェっ」
無闇に悪態を吐くのは、なかなか素直になれない彼が照れている証拠だということを傍にいることで知った家康である。
「ワシなら大丈夫だ、ほら」
ニコリ、と笑ってみせる。
「───、」
だが。目敏い政宗は再び左眼に力を込めて睨みつけると、六爪を軽々と操ることが可能な握力を持つその手で家康の手をぐいと掴みあげた。
「じゃあ、コイツはなんだってんだ!」
家康の両手。
家康は武器を持たない。
武器は持たず、己の拳ひとつで戦うのだ。己の躰を張って、己の拳を揮って敵を屠るのだ。
だから。
「Hey,誰か!薬を持って来い!」
ったく…とぶつぶつ口の中で呟きながら、その態度とは裏腹に政宗は傷ついた家康の手をそっと撫でた。
「テメエの拳が武器…ってのはテメエのstyleだ。俺がとやかく口を出す筋合いはねェがな。だが、あんまり過ぎると大事な拳を潰しちまうぞ」
「ハハ。心配してくれるのか?」
傷ついた己の手を優しく撫でる竜の手を見、それからゆっくりと視線を上げて政宗の顔を見た。
「家康。お前、確か昔は長物が得物だったよな?それがどうして…」
「うん?ああ、それはな…」
撫で続けてくれる政宗の手に己の手を重ねて。
「〈拳〉の方が痛みを直接感じることができるだろう?」
「痛み?」
「屠られる者の痛み」
そして、命の重さ。
「家康、お前…」
「ワシは屠る者として、その痛みを背負う責がある。だから、な」
政宗が少し困ったような顔をした。それから大きな溜息をつく。
「どうした、独眼竜?」
「……いつの間にかデカくなりやがって」
「デカい?うん…まあ、そうだな。背はあっという間に独眼竜を追い越したなあ。ついでに言えば、昔に比べて力も強くなったぞ?今はお前のことを軽々抱き上げられるものな」
「No!そういう意味じゃねェっ!」
フフと口許を緩め、相好を崩した家康を直視する恰好となった政宗は顔を真っ赤にして否定し、慌てた弾みで家康の手を叩いてしまった。
ぺしっという破裂音で我に返った政宗は、同時に家康の手が傷ついていたことを思い出して、「…Sorry」と謝って労わるようにそっと手を撫でる。
「とにかく、だ。家康、テメエの覚悟は判った。だがな、少しはテメエ自身のことも労われ。テメエの拳が潰れちまったら俺が困る───」
政宗の手にほんの少しだけ力がこもった。それから身を屈めて家康の手に唇を寄せる。
その突然の行為に家康は目を瞠った。
「ど、独眼竜」
家康の狼狽を余所に。
指先に吐息が触れる。まるでそこから愛しさを注ぎ込まれるみたいだ。
「───俺、お前の手が好きだから。お前の手が潰れちまったら困るんだよ。だって───」
この手は唯一竜を暴ける手だろう?
続けてそんな言葉を投げられ。
「───ッッッ!」
それまで政宗の行為を前にして狼狽えていた家康は───とうとう撃沈したのだった。


書きたいと思っていた家康の手の話。
実は今、小政を書いているんですが、それと並行して書いてみました。
(そして小政はいつもの如く長くなりそうなので、家政の方が先に仕上がったという次第。)
最近ブログの方は家政話の更新が多いんですが、これは個人的に家政まつりなのとどうしたことか小政が意図せず長い話になってしまうためです(苦笑)。
小政はじっくり書いてマス。




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