人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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143.切なく痛んだ【戦国BASARA:家政】

松明の爆ぜる音が澄み渡った夜空に響く。
合戦を目の前に控えている所為か、妙に気が昂ぶって眠れない政宗は一人本陣にいた。床几に腰掛け、何を想うのか夜空を見上げている。
陣幕の外には不寝番の兵がいる。
何の気まぐれか、大将である政宗が一人でふらりと現れた時、当然見張りの役回りである彼等は慌てたのだが、「静かにしろ」と制されて漸く口を噤んだ。せっかく一人になりたくて──立場を考えれば、完全な一人にはなり得ないのだが──此処まで来たのに、此処で騒がれてしまっては元も子もない。すぐさま異変に気付いた小十郎が飛んできて、説教の洗礼を受けることだろう。
幸い、小十郎が飛んでくるという大事には至らず、こうして一人夜空を見上げているのだが。
それまで仰いでいた面を不意に伏せて、政宗は小さく嘆息した。
「それで上手く隠れているつもりか?気配がダダ洩れだぜ」
陣幕の外に向かって声を掛けると、ハハと辺りを憚ってか忍び笑う朗らかな声がして、バサリと幕が引き上げられた。
「テメエは忍にはなれねェな、家康?」
闇に紛れての出現だというのに何故か眩しそうに瞳を細め、政宗は皮肉っぽく笑ってやった。
太陽の如く、良くも悪くも目立つ男だ。忍のような闇稼業には決して向かないだろう。勿論、己と同じように一軍を率い、人の上に立つ身だから、常套手段としてそういう者を使うことはあっても、それ自身にはならないし、なるつもりもないだろうが。
「上手く忍び込んだつもりだったんだがなあ。本陣まで誰にも見咎められなかったんだが」
「仮にも伊達の陣だぞ?誰にも見咎められねェって…Shit!ウチの連中も何やってんだ。小十郎が聞いたら激怒モンだぜ」
伊達の警備の隙を衝いてやってきたというようなことをサラリと言われて、政宗は思わず苦笑いをしてしまった。陣の警備態勢に対してやや心配が生じるが、考えてみれば徳川軍は同盟相手だし、その大将である家康は人懐こい所為か伊達軍では誰もが見知った顔だ。そういうこともあって事実上フリーパス状態なのかもしれない。
「で?夜闇に紛れて何の用だ?」
「うん?陣中見舞いに来た」
「An?陣中見舞いだ?」
胡乱な眼差しを向ける。夜闇に紛れて単騎で陣中見舞いとは随分とまた。
「Ha!夜這い、の間違いなんじゃねェの?」
〈陣中見舞い〉よりは〈夜這い〉といった方が相応しい時間帯だろう。そんな意味を込めて茶化すと、一瞬両目を見開いた家康は『バレたか』と言わんばかりにぺろりと舌を出した。
相好を崩しながら政宗の許へと歩み寄ってくる彼を見据えながら、「呆れたヤツ…」と口の中で呟いて肩を竦める。
こんな時間にやってくるのだ。家康もまた政宗と同じような状況だったのだろう。
「独眼竜、」
ふっと意識を逸らした隙に、家康はもう政宗の目の前に立っていた。
伸ばされた大きな手が頬に触れ、ゆっくりと輪郭を確かめるように撫でられる。
「…逢いたかった、」
「Why?」
「ハハ、そう返すか?お前に逢いたい、という気持ちがあるだけで理由はいらんと思うがなあ」
「I see…」
なんの衒いもなく告げられる言葉に、政宗もまた艶やかに笑んだ。
逢いたかった。
こんな時に、否、こんな時だからだろうか。そう思うことは決して悪いことではない。己もきっと心の裡でそう思っていた。家康のように素直に口にはしないが、きっと彼のことだ。たとえ言葉足らずであっても、この想いを正しく汲み取ってくれることだろう。
「独眼竜」
抱きしめられる。少し早い心臓の音が聴こえる。
「明日は───戦だな」
「どうした?武者震いか」
抱きしめてくる家康の腕にほんの少し力がこもる。まるで離したくないと主張しているかのように。
「大切なものができると…どうしてだろうな、思い切ることができない。戦を前にしても揺らいでばかりだ」
見上げた家康の貌は、政宗が今まで目にしたことがないほど切なげで。
「あの男は…いつもこんな想いを抱いているのだろうな。お前の背を見送る時」
「あの男?」
「お前の〈右目〉殿だ」
どうして小十郎が出てくるのか?繋がりが見えなくて探るように目を細めると、彼は困ったように眉根を寄せた。
「右目の気持ちが判る気がする…ということだ」
なあ、独眼竜。
首筋に顔を埋めた家康がくぐもった声で政宗を呼ぶ。続いて告げられた「死ぬなよ」という切ない響きを持った言葉に軽く目を瞠った。
「Ha!なに言ってやがる。死ぬつもりなんざサラサラねェよ。覚悟はいつだってできているがな」
命の火花を散らす、あの戦場に立つのだ。元より死を怖れたことはない。だが、たからといって斃れるつもりもなかった。
そうだったな、と家康も頷く。
「ワシとて死なせるつもりはないし、死なせはしない。お前とは───この先も共に歩くのだからな」
「ああ…」
頼りにしているぜ、と呟いて政宗は笑った。



日々の日課、お昼のウォーキング中に降ってきた家政。
お昼のウォーキングはネタ錬成にちょうどいい時間です。
健康的でもあるし…一石二鳥(苦笑)。

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