人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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11.愛なんて知らない【戦国BASARA:三政】

己を見る眼は大概が〈怖れ〉か〈怯え〉か───それ以外ものをかろうじて拾い上げるとすれば、〈媚諂い〉か。
どちらにせよそういったものが大半を占めていたのだが、三成の精神を揺るがせるものにはなり得なかった。
(秀吉様へと捧げた身だ。総ては秀吉様の御為に…、)
己が想いも己が眼が見るものも。総ては主君である〈豊臣秀吉〉へと向けられている。それゆえに、周囲の瑣末な事柄に一々煩うつもりはなかった。
いっそ潔いほどに、たったひとつ〈豊臣秀吉〉以外のものを削除してしまっていたのだ。だから、三成は揺らがない。
揺らぐ必要がなかったのだ。
だが。
対峙した『それ』が己を見る眼は、〈怖れ〉でも〈怯え〉でもなかった。今まで己に向けられたもの、どれとも違う。
己の前に──否、己は秀吉様の代行者なのだから秀吉様の前が正しい──無様に屈し、地に這い蹲った『それ』に、止めを刺そうと思えば刺すことはできた。
寧ろ、冷静に考えれば刺すべきだったのだ。『それ』は秀吉様が唱える覇に仇為す者。秀吉様が進む道の邪魔となる者であれば、迷わず斬ずる。それが己に与えられた使命。
なのに。
向けた切っ先を躊躇わせたのは、『それ』が己を見る眼だった。
地に這い蹲ってもなお、屈しない。矜持を失わない。立ち向かおうと───ぼろぼろに傷ついてもなお、前に進もうとする強い光を湛えた眼。
真っ直ぐに、射抜くように、或いは射殺すように。
ありとあらゆる感情が『それ』の左眼から噴き出したかの如く。
(───?)
今まで己に向けられた、どれとも違う感情。
今まで冷徹に、決して揺らぐことのなかった筈の三成の胸中に、僅かばかり波紋が生じる。

『それ』が誰だったのか。
三成はその名を知らない───。


「三成」
背後から呼び止められて歩みを止めた三成は、ゆるりとふり返った。
「刑部か、」
徳川家康の手によって秀吉を斃されて後、指針を喪った三成は家康への憎しみだけで生きてきている。
家康は己から何もかもを奪ったのだ。絆がつくる世界、などと綺麗事を並べ立てておきながら───三成が最も大切にし、指針として、そして縁としてきた秀吉との〈絆〉をその拳で断ち切った。
赦されていい筈がない。
(赦さない───ッ)
断罪する。この手で。この刃で。
憎き家康を斃すという尽きることのない凶気によって生かされている三成は、凶気に殉じているといっても過言ではなかった。
抜き身の刃の如き鋭さは、最近益々拍車が掛かってきている。元来人を寄せ付けない男だったが、ここに至ってそれが更に強くなった。そんな三成を気安く呼び止められる者はこの大谷吉継か、今は袂を分かった徳川家康ぐらいしかいない。
「奥州の伊達が」
「伊達?誰だ、それは」
淡々と訊き返す。伊達、という響きに憶えはなかった。
秀吉を喪ってから三成の空ろを埋めるのは、家康への憎しみしかない。それ以外の物事を心に留めるつもりはなかったので、伊達と告げられても当然響くものはない。
「伊達政宗。小田原にてお前が地に堕とした奥州の〈竜〉よ」
「伊達、政宗……」
伊達政宗。
初めて聞くその名を口の中で転がしてみる。
と同時に、小田原で己に向けたあの〈眼〉───迸るような激しい感情を思い出した。
射抜くような、射殺すような。
怖れでもなく。怯えでもなく。
今まで己に向けられた、どれとも違う感情。
(『あれ』が…)
「伊達───」
もう一度あの〈眼〉を見てみたい、と三成は思った。
あの〈眼〉は、この身の空虚を埋めてくれそうな気がする。『あれ』は凍ってしまった三成の〈感情〉を揺り起そうとする。
激しく。
「───政宗」
ほう?と僅かに吉継の眼が細められた。お前が他者に興味を持つとは珍しいことだ、とでも言いたそうだ。
「その伊達、だ。徳川と同盟を結んだそうだぞ」
「………な、に?」
徳川家康。
また、あの男か───ッ!
「家康…いえやすっ……家康ッッ」
また、あの男が。
あの男が奪うというのか。
「おのれ、家康………ッ、」
三成はギリッと奥歯を噛んだ。
凶気が満ちる。
この後に及んでもこの手から何もかもを奪おうとする、あの男が憎い。
憎かった。


「おのれ………ッ、」




三政初陣。
自分の中での家政のスタンスを決めようと思って書いたのが「閃光」でした。これは三政のスタンスを決めるために書いたもの。
うちの三成は政宗の「眼」に拘ったようです。
三成本人は気付いてないでしょうが、政宗の眼は鏡なんです。
政宗の眼と三成の眼は同じ。どちらも憎しみに満ちた眼。
私の三政はそういう関係性です。
(このカップリングは幸せを追求できなさそうだ…。)
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