人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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361.一年後、忘れてしまう出来事【戦国BASARA:家政】

なんだよ、いきなり呼び出しやがって。
恨み言のひとつでも言ってやる───と言わんばかりに、家康の顔を見るや開口一番にそのひとは綺麗な顔を思いっきり顰めて言った。
寒さの所為か鼻の頭が微かに赤い。時間よりも少し早めに来たつもりだったのだが、待たせてしまっただろうか。
「す、すまん…」
相手の都合など考えず半ば強引に呼び出しておきながら──なにしろクリスマスなんて一大イベントの日である──最後まで強気に出られず、やや不機嫌そうなその顔を目にしただけで急に弱気の虫が頭を擡げてくる。
同年代の友人達の間では器が大きくて威風堂々としていると──そういうこともあって高校では生徒会長を務めていたりもする──評判の家康だが、どうしてだろう。そのひとの前に立つと手も足も出ない。自分がひどくちっぽけで、幼い子供のように思えてしまう。
決して卑屈になっている訳ではない。本当にそう思うのだ。
はあ、とあからさまに溜息をつかれて、家康は成長期も手伝って健やかに育ち、眼前のひとよりもひと回り大きく逞しくなった躰を小さく縮こめて、まるで飼い主に怒られた犬のように項垂れた。
そのひとの名を伊達政宗という。四歳年上の政宗とは幼い頃よりの付き合い、謂わば幼馴染みたいなものだ。
常に自分よりも前を歩く彼に、家康は幼い頃からずっと憧れていた。憧れて、ずっとその背を追い続けていた。
四歳差というのは悲しいもので、小学校を卒業してしまうと中学校も高校も全く被らなくなる。家康が中学に上がる時には政宗は高校生になっていたし、追いかけて同じ高校に進学すれば彼は既に大学生だ。どれだけ一途に追い続けても、決してその背には届かない。
子供の頃からやんちゃだった政宗は、天性の人タラシでもあった。無意識に人を惹き寄せる力を持っていて、彼の周りにはいつも友達がいた。それでも彼は四歳年下の自分を構ってくれて、それがとても嬉しかった。
「ガキのお守りなんて…」と面倒臭がりながらも最後は自分を選んでくれる、そのことが明らかに周囲と差別化されているようで、幼心に優越感を抱いたものだ。
今思えば、家康の政宗に対する執着は初恋からくるものだったのだろう。初恋が政宗であることに不思議と抵抗感はなかった。同学年の女の子には、残念ながら彼に対する想いのようなものは全くといっていいほど抱けなかったし、彼ほど鮮烈なものを感じることはなかったから。
憧れが恋情に変わるのもわりと早かった。たぶん早熟だったのかもしれない。自分よりずっと先を行く彼に相応しくあろうと必死だったのだ。
自覚してからは青少年の悩みよろしく、悶々とした毎日を送っていた。もちろん片想いだから行き場がない。片想いはその過程も楽しいものだ、と何かで聞いたことがあるが、流石に楽しいなどとそんな余裕は家康にはなかった。
見つめるだけでも苦しいのだ、今となっては。
「で?何の用だ」
両手に息を吹きかけながら、つっけんどんに訊いてくる。
世間はクリスマスである。大学生ともなれば、彼だってそれなりに付き合いはある筈だった。なにしろ天性の人タラシである。悔しいかな、高校生の家康に政宗の大学生活など知る由もないが、おそらく大学でも天性のそれを如何なく発揮しているのだろう。
例えば自分が知らないだけで、実は彼女がいたりするのかもしれない。その彼女と一緒に過ごす約束を交わしていたのかもしれない。
(じゃあどうして…)
確証のない妄想だけが暴走していく。
「家康?」
妙に空々しく聴こえるクリスマスソングも人々のざわめきも華やかに彩るイルミネーションも。今の家康には耳に入らなければ目にも入らない。
「あの、な…独眼竜、」
「An?」
「ワシは…」
お前が好きなのだ、とこの場の勢いを借りて言ってしまえればいいのに。肝心な言葉が喉の奥に貼り付いて出てこない。
どうした?と怪訝そうに政宗が首を傾げた。切れ長の涼しげな瞳が間近でぱちぱちと瞬いている。彼は睫毛が長いから、瞬く時の睫毛が触れる音まで聞こえてきそうだ。
「家康、」
「ワシは………お前には不釣合いな〈コドモ〉か?」
漸く口を衝いて出てきた言葉は、自分でも思ってもみなかった言葉で。そんな家康の言葉に、政宗の眼が大きく瞠られた。
年の差をどうすることもできない悔しさやらもどかしさやらが溢れた結果なのだろう。政宗にはいつまでも子供扱いされている。それもまた家康がずっと腹の中に溜めてきた想いだ。
「なあ、独眼竜。ワシではお前の隣に立つのは駄目なのか?」
「テメエは…この寒空の下、人を呼び出しておいて言うことはそれか」
「え…?」
低い、声。ひょっとして怒らせてしまったのだろうか?
「………さんざん待たせて意気地のねェ」
「待たせた?す、すまん。時間よりも少し早く来たつもりだったんだが…やっぱり待たせてしまっていたんだな」
「No!そういう意味じゃねェっ!」
「ど、独眼竜」
このガキが!と吼えられ、ギンッと睨みつけられる。駄目だ、本気で怒らせてしまった。
「帰るっ!テメエになんざ付き合ってられねェ」
「な…っ、ちょ、ちょっと待て。待ってくれ、独眼竜!」
有言実行。くるりと背を向けて帰ろうとする政宗の腕を慌てて掴んだ。
「Damn it!放しやがれっ、このど阿呆が!」
日本語と英語のちゃんぽんで口汚く罵られるが、だからといって素直に放してやる訳にはいかない。暫く二人の間で、「放せ」「嫌だ」の応酬が続く。
「そういう意味じゃないって…ではどういう意味なんだ、独眼竜」
「───っ、」
「───?」
一瞬の間があった。
それから、見る見るうちに政宗が赤くなっていく。耳朶までが紅く色づいてしまった。
「え…?」
独眼竜?と彼のその変化に家康の方が戸惑えば。
「Shit!」
瞳を合わせるのも居た堪れないと思ったのか、わざとらしく仏頂面を作って、ぷいっとそっぽを向かれてしまった。


「………ということが昨年はあったなあ」
「あァ?憶えてねェなァ、そんなこと」
ふふ、と口許を緩める家康の腕の中で、鬱陶しそうに政宗は答えた。昔から記憶力のいい政宗である。口ではそう言うが、間違いなく憶えている筈だ。
(可愛いことを言う)
年上のそのひとが聞いたら烈火の如く怒り出しそうなことを胸中でひっそりと思う家康である。
昨年は結局のところ失敗に終わった家康だったが、それからほぼ一年をかけて口説き落とし、長い片想いを脱して漸く念願の恋人へ昇格した。お蔭で今年受験生の家康だが、毎日が薔薇色である。
もちろん年上の恋人は何事にも厳しいので、あまり浮かれてはいられなかった。「テメエは自分の立場というものを考えろ」のひと言で、恋人同士らしいことは大学へ進学する春まで全部お預けだ。年頃の青少年にとっては苦行にも等しいが、それに耐えてこその『春』である。晴れて大学生になったらあれもこれも…と想像を巡らせるだけで今は精いっぱいだが、そうやって考えるのも案外楽しいものだ。彼が自分のものになったことで、きっと心に余裕が生まれた所為かもしれない。
「年が明けたら、すぐに入試だろ?こんなことしてて大丈夫なのかよ」
「何事にも息抜きは必要だからな。なに、大丈夫だ。ワシには絆の力があるからな」
「Ha!都合のいいこと言いやがって。桜が散っても知らねェぞ」
そんな意地悪なことを言ってくれるが。
「お前の〈男〉が………そんな不甲斐ない真似をする訳なかろう?」
「ば…っ、」
政宗の左の瞳が大きく見開かれる。その隙に唇を奪ってやった。
小さく唸りながら睨みつける政宗の貌をにこにこと見つめる。心に余裕が生まれたことで、どうやら図太く──言葉を換えれば喰わせ者に──なったようだ。これもまた成長だろう。

「ああ、早く春にならないかなあ───」

やがてくる春を心待ちにしつつ、腕の中の政宗をぎゅっと抱きしめた。





もともとクリスマスに合わせて書いていた家政ですが…。
なーんか気が付いたら、いつの間にか27日だし(苦笑)。
一応時季ものなので来年までお蔵に入れておこうかとも思いましたが、来年の今頃はきっと忘れてる(タイトルどおりに)と思い返して遅れ馳せながらアップとなりました。
クリスマス~とか言ってるのは軽く流してやってください。


家政では初めての現パロになります。高校生×大学生。
きっと春になったら「サクラサク」ですね。
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