人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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248.甘い空気【戦国BASARA:小政】

思い出したように苦笑を浮かべながら、つと楽しげな声が響く大広間の方角に視線をやった小十郎を訝るように政宗が「どうした?」と声をかけた。
「なんでもありません」
そう答え、後ろ手で静かに障子戸を閉める。そうすることで遮音された其処は、二人だけの世界を構築する。
「さてはあっちにまだ未練があるか?」
「滅相もない。適度なところで中座した方があいつらも清々と呑めるでしょう。せっかくの無礼講だ、気持ち良く呑ませてやらねえと。それに、」
ふふ、と口許を緩ませる。
酒宴を中座するまでにそれなりの酒量を腹に収めている小十郎だったが、酔った様子を少しも匂わせない。しかし常の雰囲気とは違い、今の彼はそこはかとなく色悪の気を滲ませていた。
おそらくそれもまた疑うべくもない彼の本性なのだろう。
そんな小十郎を前にすると政宗はどうにも抗いがたく、無性にゾクゾクするのだ。
「政宗様の申し出を断るほどこの小十郎、野暮にできてませんで」
「Ha!言ってくれるじゃねェか」
小十郎の婀娜な口ぶりに落とされるものか、と強気に返してやる。こんな些細なやり取りひとつから既に二人の色事は始まっているのだ。
一年を締め括る晦日の日。一年の労いを込めて、夜通し盛大な酒宴を催すのが伊達の慣わしとなっている。政宗が音頭をとるこの酒宴は、このときばかりは上下の関係なく皆酒を酌み交わす無礼講となっていた。
政宗は人の心を掴むことに長けている。こうした酒宴も伊達軍が強固な結びつきを育むひとつのツールとなっていた。
もちろん主催者として政宗も酒宴に同席するが、それも初めの頃だけで小十郎を伴ってさっさと中座してしまう。それは小十郎が言うように周りの者たちが清々と呑める──伊達の者がその程度で萎縮するとも思えないが──よう便宜を図ってやるためだが、それ以上に政宗もそして小十郎も二人きりの時間を持ちたいためだった。
どうせ彼らはいつ自分達が中座したかなど覚えていまい。呑んで騒いで───それでいいのだ。
夜が明ければ、大広間に在るのは酔い潰れた伊達の猛者達ばかりだろう。
「河岸変えだ。まずは呑み直そうぜ」
大広間から徳利を何本か持ってきたらしい政宗が小十郎に座るように促した。
「政宗様?いつの間に…」
「Ah~、わざわざ小姓に用意させて此処まで運ばせるのも悪いし、なにより時間が惜しくてな。面倒なんで、あっちから拝借してきた」
ぺろりと舌を出して悪びれずに言う。
奥州筆頭ともあろうお方がなんと手癖の悪い…と、ここは小言を繰るべきだろうかと考えた小十郎だが、そんなことをしてせっかく上機嫌な政宗の機嫌を損ねるのも忍びない。なによりこの雰囲気でそんな野暮な真似をしたくはなかった。
せっかくの政宗の誘いである。まずは双竜水入らずで呑むのも悪くはないだろう。
「今宵は冷えますゆえ、まずは暖を取るのもよろしいでしょうな」
「Oh,小十郎。どうせ夜は長いんだ。そう急くな」
とろりとした口調で政宗に窘められ、小十郎は一本取られたとばかりに「尤もです」と笑って、徳利を傾け政宗が差し出した盃に酒を注いだ。続いて、政宗が手ずから酌を返す。
酒を酌み交わしつつ、そうして暫し他愛のない会話を楽しむ。
「この冬はいつにもまして雪が多いですな」
「この分だと雪解けが遅れるかもしれねェなァ。冬籠りが長いぞ?」
北の地、奥州の冬は厳しくそして長い。
雪に閉ざされたこの地に根付く者達は冬ともなると息を潜めて籠り、長い冬の果てに巡ってくる暖かな春をじっと待つ。それは政宗達も同様だ。
春になれば山々の息吹とともに百姓達は挙って田畑を耕し、政宗のような武人達は戦へと目を向ける。息を潜めて籠る長い冬はまた、彼らにとっては束の間の休息とも言えた。
「長き冬の果てには春が巡って参ります。それまではこの地でゆっくりと御身をお休めください」
「春になれば…再び竜は天に向かって飛翔するぜ?」
「御身はこの小十郎がお護りいたしますゆえ、政宗様はご存分にお駆けくださいませ」
「Ha-ha.さすがは俺の〈右目〉だ。俺の総てはお前に預けるぜ、小十郎」
「御意に、」
不意に。
盃を手にしたまま、ほうと吐息を洩らした政宗が小さく肩を震わせた。殊、政宗に関してはどんな些細なことも見逃さない──なにしろ元傅役であるから筋金入りだ──小十郎である。政宗の身を案じて、すぐに腰を浮かせかけた。
「政宗様?」
No problemと制してから政宗は「今宵は確かに冷える…」と呟いた。
「…ああ、でも奥州の寒い冬は嫌いじゃないぜ?」
政宗の目許に朱が差しているのは酔いの所為か。それとも?

───寄り添う人肌がとても温かく感じられるからな。

酒器を脇に退けた小十郎が膝を進めて政宗との距離を縮める。ふ、と笑った政宗は甘えるように両手を小十郎に向かって伸ばした。
「然様なことを仰るとは…人肌が恋しくなりましたか、政宗様?」
「No,お前の肌が恋しくなった」
「やれやれ…この一年で男をその気にさせる言葉がまた一段と上手くなりましたな」
「Really?そりゃア、手本とするセンセイの仕込みがイイんだろうよ」
「政宗様に悪いコトばかりお教えするとは…とんでもねえ先生だ。この小十郎がきつく叱らねばなりませんな」
「まったくだ。ちィと雷を落としてやれよ、小十郎」
クスクスと笑いながら小十郎が政宗の躰を抱き上げる。襖ひとつ向こうは政宗の寝所だ。
「小十郎、竜の抱き納めに………抱き初めだ。存分に味わえ」
「ありがたき幸せ、」
小十郎の厚みのある広い胸板に鼻先を摺り寄せて甘える政宗を愛しげに抱えて、ふたりは襖ひとつ隔てた向こう側へと姿を消したのだった。


あけましておめでとうございます。
2011年の始動です。
今年の一本めを飾るのは、やっぱり小政でした。
こう、年の初めは小政を書きたい気分なのですよ!

思えば小政にハマって…もう4年になります。
きっと今年もどっぷり彼らに浸かって、思う存分彼らを愛でることと思います。今年は銀幕でびゅーもあるしな(笑)

至らぬ点は多々あるかと思いますが、どうぞ今年もよろしくお願いいたします。
Comment
2011.01.01 Sat 21:36  |  緑猫 #-
あけまして、おめでとうございます。
こちら奥州・仙台もみぞれの降る新年を迎えております。
新しい年にとても艶やかな双竜のお話を読めて本当に幸せです。
どうこか今年もお二人にとって良い年でありますように・・・
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