人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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227.真ん中には君が居た -2-【戦国BASARA:家政】

「うーん、寒いなあ」
「当たり前だ。今何時だと思っていやがる。夜明け前だぞ、夜明け前!」
家康の羽織に包まったまま、政宗が文句を言った。刺すような冷えた空気の所為で、さすがに眠気が醒めてしまったのだろう。先ほどまでは欠伸混じりだった文句も、今でははっきりした形で溢れるように口を衝いて出てくるのだ。
だが、家康にとってはそれもまた愛すべき遣り取りに他ならない。おそらく政宗もそうだろう。ともすれば凍えかねない厳冬の夜明け前。寒さに身を震わせながらも、寄り添って互いの温もりを分け合うこの時間を大切に思っている。
「ははは。だが、こうしていると…やはり温い。独眼竜の温もりがワシを芯から温かくしてくれるな」
温い温いと笑いながら、ぎゅっと抱き竦める。と同時に「家康!」という声が上がった。このニュアンスは抗議ではないからさらりと聞き流し、更に背後から廻した腕に力を入れる。
「独眼竜、そろそろ夜明けだぞ」
黎明の刻限を迎えた東の空が薄明るくなり始めていた。紫色の空が徐々に燃えるような色合いに変化していく様を、瞬くことすら忘れて、ただ黙って見つめる。
綺麗だな、と白い息とともに零れ落ちた声は、果たしてどちらのものだったか。
「一年前…」
「うん?」
「………一年前は思ってもいなかったぜ。こうしてお前と…新しい年を迎えるなんざな」
家康の腕に包まれながら政宗が呟いた。
「そうだなあ…」
一年前はまだ家康と政宗の道は交わっていなかった。家康は政宗を密かに想い、恋焦がれるだけだったし、政宗に至っては家康など全く眼中になかった頃だ。
人の縁とは───絆とは不思議なものである。
「まさかテメエがこんなにデカく育ってるなんて、思ってもいなかったしな。いろいろと予想外だったぜ」
絆されるとも思わなかった、と少しばかり悔しそうに続ける。ガキのお守りはゴメンだ、と一度は素気無く袖にした相手なのだ。その男にオトされるとは、政宗の性格を考えれば微塵も思っていなかっただろう。
「ははは。お前に相応しい男に成長せんと頑張ったからなあ。これも一途な愛の成果かもしれんぞ?」
「Shit!図体ばかりだけでなく、喰えねェ男に成長しやがって」
「竜をワシの許に繋ぎ止めるには、これくらい喰わせ者にならんとなあ。本音を言えば、まだまだこれでも心許無いくらいだが」
「Ha!言ってくれるじゃねェか。どこまで喰わせ者に成長するつもりだ?」
「それは……」
独眼竜次第だなあ。
「は?俺次第だァ?」
「竜がワシのものだとワシが心から安心できるまでは、な」
なにしろ魅力的な竜なのだ。目を離した隙に、何処ぞの輩に攫われては敵わない。虎視眈々と竜の隣を狙っている輩は大勢いるのだ。それらを丸ごと蹴落として、今いる位置を死守しなければならない。
「まったく…竜を繋ぎ止めるのは天下を治めるより難しい」
腹の底から息を吐いて言う家康の、その吐息を擽ったく感じながら、政宗はふふ、と笑ってみせた。
「………でも、惚れちまったんだからしょうがねェよなァ」
「まったくだ」
惚れてしまったのだから仕方がない。
「まあ、お前がどこまで喰わせ者に成長しやがるか…一番近くで楽しませてもらうぜ?」
「独眼竜、それって…」
家康のどんぐり眼が大きく瞬かれる。
「独眼竜、なあそれって…」
「さてなァ」
クスクスと笑う柔らかな声は、白い息となって黎明の空へと消えていった。



「真ん中には~」の後半部です。
1年前は思ってもいなかった云々のあたりが書きたかった部分です。
未来で道が交わるなんて、家康はともかく政宗は思ってもいなかったでしょうね。
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