人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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123.優しさの方程式【戦国BASARA:チカダテ】

頬を撫でる海風と潮の香り、遥か沖にはうっすらと水平線。どこか霞がかった春の海は穏やかだ。無論、外洋の様相は違うのだろうが、岸壁からぐるりと目の届く範囲の海はそのように見える。
港の先端に立って海を眺めることが政宗の日課だった。
周囲の者達はそんな政宗の姿を見て、「もうすぐ帰ってくるからなァ」などとにこにこと笑いながら口々にひやかしていく。最初のうちこそひやかされるたびに「そ、そんなんじゃねェッ!」と過剰なくらいに否定──顔を真っ赤にしていたので、あまり効果はなかった──していたのだが、最近ではすっかり慣れてしまった。自分の待ち人が帰港するのはもうすぐで、それを心待ちにしているのも確かなことだ。更にはその待ち人と自分は周囲の者達も公認の仲なので、こうして微笑ましく見守られているのである。
「何事もなければ明日には帰港だったな…」
遠洋漁業船に乗る男にとっては、久しぶりの陸になる。政宗とは約半年ぶりの再会だ。
(恋しくなるのもしょうがねェよなァ…)
うーんと大きく伸びをして潮の匂いを胸一杯に吸い込んだ政宗はくるりと踵を返すと、今日で最後になるであろう日課を終えた。

「おうおう、政宗!元気だったか!」
開口一番、政宗は海の男らしい逞しい腕に抱きしめられた。広くて厚みのある胸板からは懐かしい男の匂いがして、安堵感に不覚にも涙腺が緩みそうになってしまう。
どうにかそれを押し止めて、改めて顔を上げた政宗は男に向かって微笑むと「おかえり、元親」と言って両腕を首に巻き付かせた。
「逢いたかったぜ。んー、半年ぶりだ」
「No,元親。くすぐってェ」
そう言いながら元親はまるっきり大型犬のようにクンクンと鼻をひくつかせて、政宗の首筋に顔を埋める。それがくすぐったくて逃れようと身を捩らせるが、逞しい腕にしっかりと捕まえられているので叶わない。
元親が政宗の許へ帰ってきたのは、早朝に元親の船が帰港してから随分時間が経った───そろそろ日も暮れようかという時分だった。
仲間が気を利かせて早く政宗の許へ帰れと言ってくれたらしいが、一応船長である元親はその言葉に甘えることなく、きっちりと事後の仕事を片付けてきた。
公私のけじめはちゃんとつける。それは政宗の躾でもある。てめえの責任を放り出してまでプライベートを優先させるような男など願い下げだ、と常々言っているので、こういう時でもちゃんと己の責任を果たしてから戻ってくるのだ。
元親のことだ。政宗の言いつけなどなくとも公私の線はきっちり引き、己が責任を果たすことだろう。さすがは俺の惚れた男だと密かに心の裡で絶賛してやる。口に出して言ってやらないのは恥ずかしいこともあるが、あまり調子に乗らせないためだ。
「相変わらず震えるような美人だぜ。俺の政宗はよぅ」
「Thanks.お前はまた逞しくなったな。それに焼けて一段とワイルドになったぜ」
政宗の瞳とは対となる右の瞳を細めた元親の頬に手を添えて口の端を撓めた政宗は、俺の好みだと囁くように告げる。すると、嬉しいことを言ってくれるじゃねぇかと元親は笑って、またもやきつく政宗を抱きしめた。
「俺のいねぇ間、他の野郎に誑かされたりしなかったか?」
「Ha!誰に誑かされるってんだよ」
一年の半分を陸と海に分かれて暮らす政宗と元親である。ある意味遠距離恋愛である所為か、元親は陸に残した政宗が心配で堪らないらしい。政宗にすれば心配無用なのだが。
「第一、この辺りの連中は皆俺達のこと知ってるだろうが」
「でもよぉ、心配で堪らねぇのよ。政宗美人だから」
「元親、」
政宗と元親の仲を知っている者達が、元親不在の間政宗にちょっかいを出してくるなどあり得なかった。なにしろ元親は頼れるアニキとして慕われている男だ。その元親が伴侶と見定めた政宗もまた同様に慕われている。ちょっかいを出されるというのなら外の者だろうが、その時は周囲の者達が防波堤となって政宗の身を守ってくれるのだ。尤も、それ以前に政宗自身武道を嗜んでいるので自分の身は自分で守れている。
それよりも、元親の方だ。
船乗りは港の数だけ女がいるとよく言われる。
「お前の方こそ俺の知らねェところで誑かされてンじゃねェだろうな?」
「おいおい、俺を信じられねぇか?俺は政宗に一途な男だぜ」
補給と称して外国の漁港に寄港することもあるのだ。その時に女と、という可能性はある。なにしろ元親という男は惚れた欲目を差し引いたとしても大層魅力的なのだ。
「叶うことならお前を常に傍におきてぇとまで思ってるぜ。それこそ漁に同伴してな。それが叶わねぇから、半年間は政宗を想いながら淋しく一人寝よぅ」
「元親…」
「俺が帰る港は政宗ひとりだぜ」
きゅうと胸の辺りが締めつけられるようだ。
「俺だってお前に一途なんだ。そんな余計なヤツに誑かされたりするもんか」
「まさむねぇ」
三度ぎゅうと抱きしめられる。さすがにこれには苦笑を隠せなかった。
「そうだ、政宗!」
「An?」
がしっと政宗の両肩を大きな手で掴み引き離した元親は、大声を発するや無邪気な子供のようにパッと顔を輝かせた。突然大声を出されたので、政宗はきょとんとしてしまう。
「土産っ、土産があるんだ!」
「土産?」
おうよっと満面の笑顔で答える元親に向かって、「釣ってきた魚とか言うんならpassだぜ」と投げ返す。例えばカジキマグロ一匹…と言われても、ちょっと困る。捌くのが大変そうだ。
そんなんじゃねぇよと言いながら、元親はごそごそとズボンのポケットを探った。そして、何かを取り出す。箱、だ。
「元親?」
元親の手にすっぽりと収まる小さな、箱。
元親は政宗の目の前でパッと掌を広げてみせ、更にはちょこんと乗ったそれの蓋をパカッと開いて見せた。
「Wow!」
箱の中に収まっていたのはプラチナリングだった。中央には小さな蒼い石が埋め込まれていて、光の角度でキラキラと輝きを放っている。
「補給で寄港した時にな、政宗に似合いそうだなあと思って…買ったんだ」
「元親…」
ぱちぱちと忙しなく右目を瞬かせる。そんな政宗の姿を見下ろしながら、元親は少しばかり自信なさそうに続けた。
「…だが、もし気に入らねえっていうなら売って換金しても構わねぇぜ。質は間違いなく折紙付きだから、高値で売れる筈だ」
「Are you serious?なんで売らなきゃならねェんだよ。それに気に入らねェとはひとっことも言ってねェぞ」
小さく口を尖らせてから、政宗は元親の手からそっと箱を取り上げた。
愛しげにそれを見つめる。
「Thanks,元親。大切にするぜ」
「おうおう」
「なあ、元親。せっかくだからコイツを填めてくれよ」
元親の嬉しそうな顔を見上げて、そうお願いしてみる。もちろん、元親が断る筈もなかった。政宗は目許を撓めながら、そんな元親の前に左手を差し出す。
「おい…政宗?」
「An?いいから早く填めろって。Hurry!」
「でもよぉ、左手って…それってつまりその…あれ、だよな?」
「Ha!ここまで準備しておいて往生際の悪い男だな。一生添い遂げてやる覚悟をみせてやってんのに。それとも竜を御せねェほど弱虫鬼か、テメエは」
「政宗っ。そんなことあるかよっ、竜を娶れるのは世界広しといえど、この〈西海の鬼〉だけだぜ」
「Good.」
元親の手でリングを填められた左手を改めて翳し、政宗はうっとりと笑ってみせた。
「そういう訳で幸せにしてくれよ、darling?」



元親の不在を守る、そんな政宗の左手薬指には今日もキラキラとリングが輝いている───。



ずっと小政か家政(か時々三政)という365題だったので、たまには違うのも書いてみよう!と思い立って書き出したチカダテ。
漁師(遠洋漁業)元親と陸で待つ恋女房(?)政宗、という構図でお願いします。
チカをもっとかっこよく書きたかった!

Comment
2011.03.03 Thu 22:54  |  緑猫 #-
こんばんわ、緑猫です。
相思相愛の東西アニキですね。そうですとも、そうですとも。もちろんですとも。猫は右目の次にアニキが好きです。お土産いっぱい抱えてアニキは帰ってきます。恋女房ですからっ///
ゲームのアニキも男前なので、好物です。確かに胸板は厚そうですね。子供の姫若子と梵天も遊んでいると良いと思っています。
ステキなお話ありがとうございました。
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