人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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291.必ず【戦国BASARA:小政】

目の前には戦禍に飲まれ、荒廃した大地しかなかった。
「Jesus…」
奥州は未だ統一されていない。
細々と分かれた国が領土拡大を目論んで戦を続けている。伊達もそのひとつだ。
休戦をしてはまた戦を繰り返す。中途半端に戦を繰り返すばかりでどこの一族も決定打を出せないのは奥州の均衡を崩したくないという思惑も確かにあるのかもしれないが、突き詰めれば血縁同士で争っているためだ。所謂〈身喰い〉である。それゆえに刃が鈍るのだ。
伊達も同様である。
遡ること政宗の曽祖父、祖父の代までは己が子供達を続々と他家へ嫁や養子に送り出していた。周囲の豪族と婚姻を結ぶことで伊達の血を送り込み、勢力を拡げていくという典型である。そのため伊達の周りを見渡せば、必ずや伊達の血が喰い込んでいた。
父にすれば兄弟姉妹、政宗にすれば伯父伯母、或いは叔父叔母である。情に流される訳にはいかぬと頭では理解していても、血の繋がった者達と戦をするのは複雑なものがあることは事実。
それが負の要因になって、奥州では漫然と戦が繰り返されているのだ。
戦が頻繁に起これば土地は荒廃していく。その土地を耕す民草もまた同じ。漫然とした戦を引き起こせば引き起こすほど───それは広がってゆく。
非情と謗られようと身喰いと忌避されようと、どこかで断ち切らねば永劫に続くであろう負の連鎖。
唯一視覚が通ずる左の眼に広がる光景を焼き付けながら、政宗は一文字に口を引き結び、両手をぎゅっと握りしめて拳を作った。
「政宗様、」
耳に馴染んだ低い声に呼応して、ゆっくりと自身の死角となる右側へ首を巡らす。
〈竜の右目〉と自負しているこの男のことだ。政宗の心中などとうに察しているに違いない。だから政宗も初めから取り繕うことはしなかった。
逆に言えば、それだけ心を許している証拠でもあるのだが。
小さく息を吐いてから、神妙な面持ちで控える己が右目───片倉小十郎に向かって声をかける。
「なァ、小十郎…」
「はい、」
「俺たちが此処に在るのは、地を耕す民があってこそだ……」
小十郎は黙って耳を傾けている。
「………なのに俺たちは中途半端に休戦しては戦を繰り返し、俺たちを生かしてくれる民草から全てを奪い、田畑を踏み躙ってばかりだ」
「政宗様…」
侍が嫌われる筈だよなァと自嘲気味に笑うその脳裏には、最北端の農村で戦人ではないのに民を守ろうとする少女の幼い面差しが浮かんでいる。
『民草を守るため』と口にしながら自分たちの都合で戦を引き起こす戦人に比すれば、よほど彼女の方が『民草を守る』という気概に溢れていた。
そこまで一旦告げて、政宗は口を閉じた。左眼の瞼を下ろし、再びゆっくりと見開いて、強い声音で「小十郎、」と彼の名を呼ぶ。
「温い真似はやめだ。俺は奥州を喰らうぜ?」
「政宗様!?今なんと…、」
「俺は奥州を喰らう。最上、南部、葦名、相馬…奴らを全部平らげて、先ずは奥州を統一する。その後は天下、だ」
奥州を喰らう。
それはたとえ血縁であっても容赦なく刃を向ける、ということだ。戦を起こしながらも奥州の者たちが長く躊躇っていた『情』を断ち切る、と。
そんな政宗の決意にさしもの小十郎も驚いたのだろう。
珍しく驚きに表情を崩した小十郎を見、こんな時ではあったが『してやったり』という思いが湧き起こる。
「Hey,どうした?そんなに驚くことか?」
問われて我に返った小十郎は慌てて──とてもそんな風には見えないだろうが──常の表情に戻した。そんな彼に思わず苦笑を洩らす。
「何も奪われない。誰もが笑って暮らせる平和な世を創る。そのためにはこの手で天下を獲るしかねェ。奥州統一はその第一歩だ」
「政宗様…」
「大それたことを言っているとお前は思うか、小十郎?」
いいえ、と小十郎は首を振る。
「それが政宗様の決意というならばこの小十郎、政宗様のお心に従うのみ。たとえ万人が異を唱えたとしても、この小十郎は最後まで政宗様に従いましょう」
「Ha!いい心意気だ。さすがは俺の〈右目〉」
ふ、と口許を緩める。
「小十郎、忙しくなるぜ?」
「元より承知。政宗様の背は小十郎がお護りいたしますゆえ、どうぞご存分にお駆けください」
「Good.どこまでもついてこいよ?」
「───はっ」
いつか、必ず。
目の前の光景を変えてみせよう。



奥州の〈竜〉が───目覚める。
一週間ぶりに話らしい話を書いた気がします。
いろいろあって暫くは書ける状態ではないなあ…と思ったんですが、こうしてお話をお届けすることで少しでも元気になってもらえればと考え直しました。
できることなんて微々たるものですが、元気をお分けできれば嬉しい限りです。

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