人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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180.君がくれたから【戦国BASARA:三政】

「い~え~や~す~ッッ」
三成は荒れていた。
いつかこの手で懺滅してやる、と誰憚ることなく大声で罵りながら、半ば八つ当たり気味に刀を振り回し、手入れの行き届いた見事な庭をめちゃめちゃにしていた。
乱心、と疑われてもおかしくない行為である。なにしろ血走った眼で刀を振り回しながら罵倒しているのだ。これを乱心と思わない方が逆に不思議だ。
だが、三成にとっては日常茶飯のことで、別に乱心はしていない。確かに怒りに我を見失いかけているが、これもまたいつものこと。過ぎれば憑物が落ちたかのように冷静さが戻ってくる。
早い話が感情の振り幅が常人に比べて大きいのだ。
周囲の者は皆心得ているので、「ああ、またか」と思うくらいで。よほどの事態でない限りは三成の感情が過ぎるのを待つ。慣れたものだった。
三成が乱心紙一重の、こんな状態になる―――その大概の原因は「徳川家康」にあった。
家康という男は三成とは真逆の位置にいるような男で、根本的に相容れない。
向こうは三成を友と思っているらしいが、三成はあの男を一度たりとも友などと思ったことはなかった。生憎そんな許容力のある心を持ち合わせてはいない。
けれど。
見てくれお日様男に騙されて実は腹黒策士の家康とはとことん相容れない三成だったが、何故か『好み』だけは一致することが多かった。己と同様の感覚と言おうか―――言葉を借りるならセンスというヤツかもしれないが、とにかくそれだけは認めてやってもいいと思う。
尤も、『好み』が一致するということは―――それはそれで困ったことだった。つまりは己が好んだものは、相手も同じように好むということだからだ。
書画や茶器あたりならば、まだいい。たとえ好みがかち合っても、「フン、お前もか」と鼻を鳴らして受け流すだけの冷静さがある。
だが、懸想する相手までもかち合うとなれば、どうしたって心穏やかにいられなかった。『好み』が一致する、ということは究極そこまで完全に一致してしまうのだ。
何の因果で同じ相手に揃って懸想してしまったのか。今となってはどちらが先に相手に惚れたのかなど――「私が先だ」「ワシが先だ」と角突き合わしても勝敗がつかないのだから不毛なだけだ――わからない。
いっそ相手がどちらかに心を傾けてくれれば――家康に傾かれるのもやはり腸が煮えくり返るのだが――いいのに、目下どちらの想いも相手には届いていないらしい。お蔭で互いに牽制し合い、隙あらば先んじての日々が続いているという訳だ。
「家康め…っ、」
家康という男は、生来人の心を掴むことが上手かった。とにかく生き方が器用なのだ。おまけに人懐こくて押しが強いから、大概の者は絆されてしまう。
それに比べて三成はお世辞にも器用な生き方をしているとはいえないし、気難しいし、冷徹な外見から誤解されることも多い。口を開けば物騒な言葉ばかり零れるから―――それもまた誤解に拍車を掛ける。
思えば、三成が懸想した相手ともそんな出逢いで、相手に対する己の印象は最悪だったようだ。今となっては、あの負けず嫌いの性格に救われたのかもしれないが。
「家康!」
そこに家康の幻影を見て、三成は刀を薙いだ。薙いだ力を利用してそのまま刀の切っ先を返す。心底憎々しげに一点を見据えるのは、やはり家康の幻影を映しているからだろう。
憎き家康に見立てたらしい見事な庭木がまたひとつ犠牲になって、三成の前に無残な姿を晒す。
その時だった。
翻った切っ先に驚いて「うおっ?!」という声が上がった。それから追いかけるように呆れたと言わんばかりの溜息を吐かれる。
「相変わらず…テメエは物騒だな。刀なんか振り回しやがって」
「だ、伊達…?」
伊達政宗。〈独眼竜〉の二つ名を持ち、目下、家康と三成との双方から想いを向けられている――なのにそれを知ってか知らずか、な――当人である。
隻眼の竜は真っ直ぐに三成を見、それからぐるりと周囲の惨状を見渡して、やれやれと肩を竦めた。
「何があったかは知らねェが…いや、凡その察しはつくんだが………モノに当たるのはやめろよな。せっかくの庭が台無しじゃねェか」
「うるさい。貴様に言われる筋合いはない」
むしろ貴様の所為だ、とそれこそ筋違いな八つ当たりをしてしまう三成である。さすがにこれにはムッとしたらしい政宗が顔を顰めた。生来堪え性がなく、また短気な性分の彼である。三成の不器用な物言いが逆撫ですることも間々あって、決して望んでいないのにいがみ合いに発展してしまうことが多かった。
こういう時は家康の寛容さと小賢しいまでの器用さが羨ましく思える三成だ。
はあ、と露骨に溜息を吐かれ、今度ムッとしたのは三成の方だった。しかし、政宗はそんな三成になど構うことなく、三成の手討ち―――一刀のうちに斬られて辺りに散った花を丁寧に拾い集めた。
「せっかく庭師が丹精込めて育てているんだろうに…勿体ねェことをしやがる」
「………、」
「Oh,boy.作っても作っても…テメエがそんなじゃ追いつかねェな」
「何…をっ」
言っている?
表情険しく言い募ろうとした三成の額にベシッと何かが押し当てられた。
「独眼竜!貴様…っ」
ひらりと目の前に落ちてきたのは、小さな短冊だった。それには押花があしらわれている。
貼りついた険しい表情をなかなかすぐには解けなくて、つい睨みつけるように見つめてしまった三成だ。
「テメエにやるよ。毎度毎度…花木に当たり散らして、散らされた花が可哀想だからな。こんなモンでも利用してやれば、少しはマシだろ?」
「独眼竜…?」
「An?ガキの頃に小十郎に教わったんだよ。押花の作り方。こんなところで役立つとは思わなかったがな」
くつくつと喉を震わせて政宗が笑う。
「テメエが今しがた散らしたこいつらも早いトコ押花にしてやらねェとな」
さすがにこれだけ大量に押花を作ることになったらプレゼント先を探すのも大変だ…とぼやく。
「Hum…家康にでも押しつけるか。あいつなら拒まねェだろうし」
(家康、だと?)
家康という名を耳にするだけで、三成の中に再び対抗心が燃え上がった。絶対に渡してなるものか!
「独眼竜!」
「What?」
「家康にくれてやるなど許さん。それら総て私に寄越せっ」
「Ah~、それは別に構わねェが…」
「ひと欠片たりとも家康なんぞにくれてやるのは許さんからなっ。絶対に、だ!」
きょとんとする政宗に向かって吼える。

彼がくれるものは、総て自分のものにしたいのだ。



光政というか…光→政。(そして家→政)
がっつり光政も書いてみたいんですが、結構難しいんですよねえ。
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