人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
    --:-- | Top

68.赤い意図【戦国BASARA:小政】

父親のオフィスに置かれた革張りのソファに腰を沈ませ、分厚い報告書を捲りながら、政宗は「ふうん」と左眼を細めた。
未成年―――まだ高校生である彼のそうした仕種は、時として他者には傲慢に映るかもしれない。だが、彼は生来“上に立つ者”の資質を持ち合わせていた。事実、社会に出て経験を積んだ後には、政宗は父親の跡を継ぐことになる。
「…勿体ねェな」
左眼を報告書から逸らすことなくぼそりと「勿体ない」と呟いた政宗の言葉を、傍らにいた従弟の成実が――彼らは伊達家の次代を担う御曹司だ――拾い上げ、「何が?」と不思議そうに訊き返してくる。
「An?成、お前“片倉小十郎”って憶えているか?」
「片倉…?片倉…かたくら…、えーと」
憶えているかという政宗の言葉を受け、記憶を辿って暫し首を捻っていた成実は、漸う思い当たったのか、ポンと手を叩いた。
「ああ、アレだ。昔、梵が一押ししていた選手だよね?無名だけど、凄い選手だって。なんで誰も注目しねェんだって」
「Yeah」
確かまだ政宗が小学生だった頃だ。父親に無理を言って、チームのスカウト活動に同行させてもらったことがあった。
企業グループの総帥である父は、プロサッカーチームのオーナーでもある。日本のプロスポーツを世界に通用する強さに育てあげようと、特に力を入れているのがサッカーだった。ゆくゆくは欧州や南米のチームにも劣らない、強いチームをと考えている。
父は息子にも幼い頃から選手としての期待をかけていたようだが、才能を開花させる直前に大病を患ってしまった政宗は、それが原因で右眼の視力を失うという、選手としては致命傷を負ってしまった。
けれど。残された彼の左眼には、埋もれている才能を見出す能力が備わっていたらしい。素質を見抜くというその能力は父をはじめとするフロント陣も高く評価していた。
『なあ、アイツを採ってくれよ。アイツ、絶対化けるぜ』
隣にいたスカウトの袖を引っ張って「採ってくれ」と常になく強く言った、その選手が当時大学生だった片倉小十郎だった。
政宗の言葉を受けてチームは小十郎の獲得に動いたのだが、条件面の折合いがつかなかったらしく、結局契約に至ることはなかった。
小十郎に注目したのは政宗だったが、全体的に見れば、彼は無名の選手と言ってもよく――なにしろあの年代は黄金世代と呼ばれるほど国内選手は逸材揃いだった――、それゆえどこのチームも彼には声をかけなかった。他の大勢のアマチュア選手と同じように、徒人としてこのまま埋もれていく運命だったのだ。
政宗はあれだけ執着した小十郎の動向をその後も気にしていて、伊達の情報網を使って彼のことを探らせていた。
大学卒業後、彼は単身南米に渡ったらしい。サッカーを諦めきれなかったのか。年齢的には完全に遅咲きだったが、南米の下部チームに入団したという情報を得た。
そして、現在。
政宗の手許にある報告書には、彼が短い選手生命を終え、異国の地で現役を引退したという報せが簡潔な文章で書かれていた。
「これ、屋代の報告書?相変わらず詳しく調べてるねえ」
「伊達の中では一番の情報通だ。俺も随分助かってる。今は情報戦の時代といってもいいぐらいだからな」
「片倉小十郎、か。珍しいよね。梵がここまで他人に入れ込むなんてさ」
「そうか?」
「そうだよ。いくらチームのためとか言ったって、ここまでひとりに執着するのなんてないでしょ?梵はさ。でも…これからどうするんだろうね、このひと。日本に戻ってくるのかな?」
「………さあな」
そう答えて、政宗は肩を竦めた。
どのプロスポーツでもそうだが、引退後もその世界に残っていられる人間は僅かひと握りだ。その僅かひと握りの中に彼が残るか否か、それは未知数である。
(………いっそライセンス取って、監督にでもなってくれりゃア面白ェんだがな)
テクニカルエリアに立ったあの男がどんな采配を揮うのか、実に興味深いところだ。
あの男が監督の道を選ぶとして。一人前の監督となるまでには、それなりの年数を要するだろう。
同じように、まだ高校生である自分がチームの経営に携われるようになるまで、かなりの年数を要する。つまり、お互いに経験を積まなければならないのだ。
(Ha!面白ェ)
互いに成長した先で、今度こそ道が交わるということもあるのかもしれない。監督と―――そして経営者として。
面白い。
「梵?」
なに笑ってんの?と訝しがる成実を余所に、「教えねェ」と答えた政宗は機嫌よく笑い続けた。


それから10年後―――。
ふたつの道はひとつに交わることとなる。


筆頭、(旧暦)お誕生日おめでとうございます!!!
ということで、お誕生日仕様の話でも書こうかと思ったのですが、あえて別のお話を。
「サッカー監督小十郎×オーナー子息政宗」です。

お誕生日月間リクに参加してくださった方が、監督×オーナー子息もいいなあと仰っていて、最終的にリクは別のものだったんですが、そのシチュエーションは個人的にやらせてくださいということで、書かせていただきました。
なんか…そもそもの始まりっぽく、「監督×オーナー子息」の関係にまで至っていません。
この時点のふたりの年齢は、小十郎→26~27才 政宗→16~17才くらいで考えています。
これから小十郎は監督になるために最終的にS級までのライセンスを取っていくので…彼が監督になる頃には政宗もオーナーになっています。(とりあえず、10年後くらいの設定で。一線級の監督になっているという設定はBSR界なので大目にみてやってください/苦笑)
…という基本設定があっという間にできあがりました。
Comment







(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
Trackback
http://sinners.blog13.fc2.com/tb.php/1373-160ce326
プロフィール

安曇

  • Author:安曇
  • 今日も元気に生きてます。
カレンダー(月別)
09 ≪│2017/10│≫ 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブロとも申請フォーム
ちびギャラリー
 

presented by.●○紅羽のTWぶろぐ○●
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。