人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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280.毒【戦国BASARA:三政】

―――天下分け目の関ヶ原。
日ノ本を二分した大戦は徳川家康率いる東軍が勝利を収め、力の豊臣から絆の徳川へと世は移り変わった。
家康が望んだ泰平の世は、〈覇王〉豊臣秀吉の右腕たる石田三成の敗北によって具現化されることとなった。
敗残の将は表舞台から姿を消すのみである。
今の世に秀吉の名残はない。秀吉の名を口にする者もいなければ―――彼の人を惜しむ者もいない。否、前田慶次は彼の人との思い出を大事に抱えているだろうが、それは彼の人に最も近しい人間の一人だった――認めたくはないけれど――からで、大多数の者はきっとその存在すらも忘れかけている。
(どうせならひと思いに止めをさせば良かったのだ。そうしたら私も秀吉様の御許へ逝けたものを…)
死を選べずに敗残の将として生き長らえるのは、誇り高い三成にとって何にも勝る屈辱だった。
家康は友を死なせたくなかったのだと――どういう訳かあの男は三成を“友”と思っているようだ――言うが、それは違う。
あの男は、こうすることで己を〈殺した〉のだ。そして、この先も殺し続ける。
寛容な笑みが似合う太陽のような男だと人は言うが、あの男はとんでもなく狡猾だ。人懐こいあの笑みを剥がせば、黒い人格が現れることだろう。
(そんなに私が憎いか――――――家康…っ、)
秀吉が道半ばで斃れ、その後を引き継ぐ形で成した世を、秀吉の懐刀たる三成に見せつけることによって家康は。
「………何故私の命を奪わない」
「An?」
日ノ本の頂に立つ家康に刃を向けた人間として、或いは大戦を引き起こした一方の大将として、三成は断罪に処されるべきだった。拠りどころとなる秀吉を喪い、虜囚の身となって生き恥を晒すくらいならば戦場に死に花を咲かせる―――その覚悟を以て三成は関ヶ原に立ったのに。
何故命を奪わない、と三成が問うた相手は隻眼の竜。
かつて秀吉が誅される以前、小田原合戦において相対したことがあった。あの折はその名も知らず、また覚える気もなく、三成はただ路傍の石を斬って捨てた程度にしか思っていなかった。
竜と三成。
当時の三成にとって秀吉の障害となる者は総て斬滅の対象だった。その力強い意志と圧倒的な力の前に竜は屈し、一度は地を這う竜となった。
「得物もねェヤツの命を獲っても意味がねェだろう。それに…あの時、俺は俺のケジメってヤツをつけたんだ。今の俺にアンタの生殺与奪権はねェよ」
関ヶ原で再び翔竜となった眼前の男。憐れむでもなく、淡々とその左眼が三成の姿を映している。
「あるとするならそれは―――家康だけだ。You see?」
「…………、」
「家康がgoと言えば、いくらでもアンタに竜の爪を揮ってやるがな。たぶん、アイツはgoとは言わねェだろうよ」
だからアンタもいい加減諦めろ。と、竜は笑った。
(家康、家康、家康―――っ!)
お前はどこまでも私を―――。
固く結んだ拳が震える。
「………石田?」
家康は眼前の竜に執着していた。それはあの男が豊臣軍にいた頃からだ。三成が秀吉に抱く想いとはまた異なった執着の名、おそらくそれは恋情だろう。
力弱き竜に何を執着するのかと思ったものだ。それよりも秀吉様の御世のために為すべきことがいくらでもあるだろう、と。
だが。今三成が改めて見る竜は、綺麗な顔立ちをしていた。〈独眼竜〉の二つ名の所以たる右目が欠けていても尚、その気性が滲み出た美しい貌だった。
あの男は〈これ〉に惚れたのか。
家康は竜を憚ることなく「ワシの竜」と呼び、片時も離そうとはせず手許に置いている。明国では竜は皇帝の象徴とされているそうで、だとすれば家康もそれに則っているのかもしれない。
(あの男の〈竜〉、か)
「石田、どうした?」
突然黙り込んだ三成に、どうしたのかと竜が手を伸ばしてきた。全くの警戒心もなく。
六本の刀を自在に操る手のくせに、なんとも整った――さすがに白魚のようなとまでは言わないが――手だと思った。
「石田?」
この竜を得たら―――この竜をあの男から引き剥がしたらどうだろう。あの男が執着し、なによりも大切に想っているという竜だ。
三成は警戒心の欠片もなく伸ばされた竜の手を掴んだ。
不思議そうに竜の左眼が瞬きを繰り返す。
「―――?」
友であるお前を死なせたくないと言った綺麗事の裏には、お前の望みどおりにはさせぬという意味が込められている。おそらく、小田原合戦で己が竜に深手を負わせたことが起因だ。
己から秀吉を奪ったあの男を己が恨むように。あの男もまた大切に想う竜が己に傷つけられたことを恨んでいるのだ。
恨み、と恨み。
「伊達、政宗」
掴んだ手をぐいっと引っ張る。予期せぬ行動だったのだろう。竜の眼が大きく見開かれた。構えてもいなかったから、存外呆気なく引き寄せられる。
「な―――っ、テメ…何、を―――っ」
そのまま頤を掴んで仰向かせ、朱唇を貪った。
人の唇がこんなに甘いものだとは思わなかった。柔らかく温いものだとは。
どん、ともの凄い力で竜に突き飛ばされた。三成自身、口吸いに酔っていた所為もあってか、よろめいてその場に尻もちをついてしまう。茫然と見上げれば、手の甲で口許を拭い、潤ませた眼で竜が己を睨みつけていた。
「テメ…エっ」
「家康に言うがいい…私はお前を奪う」
「あア?」
「家康が私から秀吉様を奪ったように………家康からお前を奪ってやる。伊達、政宗」
竜の睨みを真正面から受け止め、三成はそう宣した。
胸の裡に火が燈る。

(竜を―――奪う)

忘れていた呼吸を思い出した気がした。



今日は9月15日。関ヶ原の日です。
という訳ではないんですが、いきなり三政が書きたくなったので(スイマセン仕事中なのに)衝動のままに書きなぐってしまいました(苦笑)。
三政というよりは三→政で家康も交ぜて歪な三角関係のできあがり、な構図でしょうか。
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