人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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手袋を半分こ【戦国BASARA:小政】

天気予報ではちょうどクリスマス頃に今年一番の寒波がやってくると言っていた。天気予報だからあまり真に受けるつもりはなかったのだが…なるほど予報どおり数日前からどんどん寒くなってきている。雪が降らないのが不思議なくらいだ。
街はイルミネーションが綺麗だ。赤や緑、様々な電飾が街を彩り、軽やかなクリスマスソングが雰囲気を盛り上げている。行き交う人誰も彼もが皆幸せそうに見えるからこの季節は不思議だった。
(まア…クリスマスは一種の魔法みてェなモンだからな)
そういう自分も魔法とやらにかかったみたいで、ずっとそわそわしている。ガラじゃねェんだけど…と苦笑した。
両手に白い息を吹きかけ、政宗は駅の改札口の方を見遣った。
改札口が見えるこの場所は、目印となるモニュメントがあることも手伝って待ち合わせ場所によく使われていて、政宗の他にも待ち合わせらしき多くの人がいた。電車が来て改札口からどっと人が出てくるたびに待ち合わせ相手を見つけた人が去っていき、また新たな人が待ち合わせにやってくる。
そのつもりはなかったのだが、半ば時間潰し―――と退屈凌ぎに人間観察を楽しんでいた。
(遅せェなア…)
比較的時間を自由にできる学生の政宗とは違って、年上の恋人は会社勤めをしている。クリスマスとはいっても今日は平日なので、恋人は普通に出勤だ。それでも今夜は早く帰るから一緒に過ごそうという内容の短いメールが入っていて、政宗を喜ばせた。
月末に年末が重なる12月である。その上付き合いなどもあって仕事はそれでなくても忙しいだろうに、政宗のことを大切に想ってくれている。短いメールでもそれが伝わってきてなんだか嬉しくなった。
何度かメールの遣り取りで時間を決める。元々は政宗が直接部屋に行くという約束だったから――合鍵も渡されているし――本当は此処で待っていなくてもいいのだが、驚かせてやろうという悪戯心が芽生えて、駅で待ち伏せる気になったのだった。約束の時間から逆算して凡そこの時間帯に駅に着くだろうという当たりをつけると、その前に小さなクリスマスケーキとちょっとした惣菜を買って駅に向かった。
左眼を改札口にぴたりと据えたまま、政宗は再び両手に息を吹きかける。手袋をしてこなかったのは失敗だったかもしれない。おまけに、しんと冷えた真冬の夜の空気が足許から這い登ってくる。少しでも暖かくなるようにとその場で小さく足踏みをした。
尤も、サプライズを仕掛けるのだ。驚いた相手の顔を見られるのなら、こんな寒さくらい我慢してやる。なにしろ政宗の恋人は大人の余裕全開で、滅多なことでは驚いてくれないのだ。政宗ばかり驚かされたり喜ばされたりというのは―――正直面白くない。自分だって同じように驚かしたり、喜ばせたりしたいのに。
電車がホームに入る音が聞こえてくる。
ちら、と腕時計を見るとちょうどいい頃合いだ。もしかしたらこの電車に乗っているかもしれない。恋人には此処で待っているとは――当然サプライズなので――言っていないので、いくら見通しがいいとはいっても気付かないかもしれない。それではこの寒空の中待っていた意味が全くなくなるので、改札口を出てきたらすぐに声をかけるつもりで、政宗は眼を逸らさずじっと改札口を見つめた。
改札口からどっと人が溢れ出てくる。今夜何度目かの光景だった。
その中に。
「小十郎っっっ」
改札口から出てくる人々の中からコート姿の愛しい偉丈夫の姿を見出した政宗は、大きな声でその名を呼ぶと「こっちだ」と手を振った。
「政宗様?!」
政宗の予想どおり、心底驚いたような表情を浮かべた小十郎は慌てて政宗の許へ走ってきた。
「おかえり、小十郎」
「このような寒いところでお待ちいただかずとも…合鍵を渡しているでしょう?」
「Ha!部屋で迎えるよりも此処で待っていたい気分だったんだ。ついでにケーキと惣菜をちょこちょこ買っておいたぜ」
「気分って…ああ、政宗様。斯様に冷え切って……お待たせして申し訳ありません」
「No problem.待ったというほど長い時間待った訳じゃねェから気にすんなって」
眉根を寄せる小十郎を見上げて、にこりと笑ってみせる。
すると、何に気付いたのか、小十郎の眉間の皺が一層深くなった。その鮮やかな変化に「どうした?」と首を傾げると。
「―――政宗様。この寒さの中、斯様な薄着で」
元々厚着を好まない政宗は、真冬であっても比較的薄着で通していた。とはいえ、天気予報で今年一番の寒波が襲来と言っていたから、手持ちの洋服の中で一番厚地の洋服を重ねている。確かに手袋を忘れてしまったのは痛手だったが、政宗としては充分に厚着だと思っているのに、小十郎から見るとまだまだ薄着ということらしい。
「No,お前が厚着過ぎるんだよ」
厚着を好まない政宗と対照的に、この時期の小十郎は重装備である。上から下までスマートに決めているクセに、実は何枚も着込んでいるのだ。なのに、外見からはそうと気取らせないから不思議だった。
どうにも寒さが苦手らしい。というか、とんでもない寒がりなのだ。暖かな部屋で一枚一枚脱いでいく様が玉ねぎの皮を剥いているみてェだ…と呆れたことがある。
「早く帰りましょう」
小十郎の申し出にうんと肯く。ケーキの箱と惣菜の入ったビニールバックを持って歩き出そうとした小十郎は、だが立ち止まった。怪訝そうにしている政宗の前で一旦ケーキの箱とビニールバックをベンチに置き、それから徐に嵌めていた手袋を外そうとする。政宗が手袋をしていないことに気付いたのだ。
大丈夫だと、それより早く帰ろうぜと言っても聞く耳を持たない。大体寒さが苦手な人間が手袋を貸し与えてしまって我慢できるのかと思う。大人の余裕を見せる男だが、殊寒さだけは政宗の前であっても絶対強がらないというのに。
(しょうがねェなア…)
小さく嘆息した政宗は、左手の手袋だけ寄越せと告げた。
「右はお前が嵌めていろよ。手が冷たくなるだろ」
当然だが小十郎の手袋だ。政宗には少し大きい。しかし、今まで嵌めていた小十郎の温もりが伝わってくる。まるで、彼の手に包まれているようだ。
「ですが政宗様…」
右手はどうするのか、と小十郎が問うてくる。ふふ、と口許を綻ばせた政宗は同じく素手となった小十郎の左手を取ると指を絡めた。
またもや小十郎が驚いた表情をする。この男が驚く様を幾度も見られるのは出し抜けたみたいで嬉しい。
「ほら、こうして手ェ繋いで…なあ、小十郎。ポケット借りるぜ?」
「――――――、」
コートのポケットへと差し入れた。
ポケットの中でしっかりと繋がれる―――右手と左手。
見上げる政宗の瞳と、見下ろす小十郎の瞳が重なる。
ふわりと微笑んだふたりは、ゆっくりと家路についたのだった。



お題配布元:love is a momentさま


転生ものでお互いの記憶があって…という設定で書いてみたくなった小政。
でも、そういう設定はここではどうでもいいみたいです(苦笑)。
現代小十郎がもの凄い寒がりだったらどうかな、と思って。←結局、その部分だけ残ったというか。


そういう設定(=転生ものでお互いの記憶があって)はまた別の機会に。
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