人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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64.猫の目が笑う【戦国BASARA:小政】

畳の上に寝そべり、立てた肘を支えに頬を乗せた政宗は「なあ」ともう一人の自分を呼んだ。小十郎がこの場にいれば、気の抜け切った今の姿を見咎めて小言を言われるところだが、幸いなことに小十郎はこの場にいない。いるのはこの部屋の主―――政宗が二人である。
どういう奇蹟でこうなったのか、数日前に突然十年後の政宗が現れたのだ。彼の言葉を信ずるならば『飛ばされた』そうで、いつ元の時間軸に戻れるかも知れないということで現状を楽しむことにした。
切替が早いのは政宗の美点でもある。
「An?」
「そっちの小十郎って…アンタが十年後の俺なんだから、その十歳年上だということは…三十九なんだよな」
「Ya.」
好奇心たっぷりに輝く隻眼に視線を当て、もう一人の―――十年後の政宗はニヤリと笑った。その笑みは悪戯を思いついた悪童のようなそれだ。同一の人間なのだから互いの考えていることなどお見通しである。究極の以心伝心で大変助かる。
「三十九の小十郎って、どんな感じなんだ?」
そうだなアと呟いた政宗は暫く遠くを見るような目をした――たぶん三十九の小十郎の姿を脳裏に思い浮かべたのだろう――後、徐に紙と筆を要求してきた。
「おい、何をするつもりだ?」
素直に文机に一式を用意してやると、手許を覗き込む政宗の傍らで黙々と墨を摺り、紙面に筆を走らせ始める。
「ま、こんな感じだな」
「Wow,」
もう一人の政宗が描いたのは、小十郎の似顔絵だった。政宗から見たら二十歳年長の小十郎である。
写し絵ではないので細部まではわからないが、さすがは多趣味な己である。簡単な描き方でも雰囲気は充分にわかるものだった。
「…渋いじゃねェか」
「Yeah.色気と渋さがイイ具合に混ざって凄いぜ?歩く凶器みたいなモンだ。お蔭でどうにも腰が疼いて仕方がねエ」
「Oh,そんなに凄ェのか?」
「凄ェもなにも。お前からすりゃア今の小十郎だって凄ェだろうが、十年経つともっと凄ェぞ。テクからナニから半端ねェ。今のお前じゃすぐに腰が砕けてknock downだろうよ」
自分自身に子供扱いされて思わずむっとする。それでなくとも小十郎との如何ともしがたい年齢差は政宗の中で大きなもので、日々足掻いているのだ。
焦りにも似たその想いは当然もう一人の政宗にも伝わっている筈である。彼だって同様に想ってきたのだから。
「Ha-ha,お前の想いは誰よりも俺がよくわかる。だって“俺”なんだからな。なに、お前だって十年経ちゃア嫌でも思い知るさ。三十九の小十郎は凄ェってな。ま、そん時俺は四十九の小十郎の味を知ってることになるけどな」
「Shit!“俺”にガキ扱いされるなんざ面白くねェ」
「Han,拗ねんなって。でも、考えてみろよ。俺がこっちに飛ばされたってことは、お前が向こうに飛ばされるってことだってあり得るんだぜ」
口をへの字に曲げて拗ねている政宗にぐいと顔を近づけて、もう一人の政宗はとろり、と嗤ってみせた。
なるほどそういうこともあり得るのか。
「Fum…」
「な。だから、その日が来るまでコイツをお守り代わりに持っておけよ」
そう言って、もう一人の政宗は先刻手ずから描いた小十郎の似顔絵を政宗に与えた。まじまじともう一度描かれた小十郎を見つめてからThanksと礼を述べ、きちんと折り畳んで懐へ仕舞う。
「政宗様方、此方においでですか?」
障子戸の向こうから小十郎の声が聞こえた。「ああ、いるぜ」と二人の政宗の声が仲良く重なる。
綺麗な所作でスと戸が引かれ、端座した小十郎が現れた。
今でも充分見惚れる男ぶりである。これが十年後もっと凄くなる、ということなのだろうか。
傍らの年長の政宗に眼でそう問えば、彼はそのとおりだと言わんばかりに左眼を緩く撓めてみせる。今でも充分凄いのだが、十年後更に凄くなるというのなら―――確かにそれは凶器だろう。
楽しみなような怖いような。
「どうなされました?」
「いや…、ちィと俺同士、十年後の楽しみについて語り合ったのさ。なあ、政宗?」
「ああ、まあ…な」
然様にございますかと少しばかり訝しげな眼差しで答える小十郎に向かって、二人の政宗は示し合わせたようににこやかな笑みを浮かべたのだった。





1日に更新した「みんな愛のせいね」の後日談、というか。
39歳小十郎の男ぶりについて、政宗同士語り合うもの。
当初考えていた『企み』とは微妙に話が変わってしまいました(苦笑)。
そう言えば、39歳小十郎の渋さにあたふたする話をお誕生日月間リクでいただいていましたね。
39歳小十郎の登場はそちらの方でお披露目しようと思います。
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