人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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小十郎の日【戦国BASARA:小梵】

ぱたぱたと廊下を走ってくる足音が背後から聞こえてくる。
この足音は幼い主のものだ。小十郎にはすぐに聞き分けられてしまう。
「こじゅーろー!」
元気の良い声がしたと同時にどんっという衝撃に見舞われた。踏ん張りきれずに不覚にもよろめいてしまう。走ってきた勢いのままぶつかってこられたのだから仕方がない。
「梵天丸様、危のうございますぞ」
やれやれと見下ろせば、袴にしがみついて此方を見上げている幼い貌がポンッと花が咲いたかのような笑顔になる。小十郎はこの笑顔に滅法弱い。
とはいえ、小十郎は傅役である。幼い主に分別をつけてもらうのもその役目。時には厳しく窘めなければならない。
だが、今回は小言を繰りだす前に機先を制されてしまった。
梵天丸は飲み込みの早い聡明な子供で、どうやら日々の小十郎とのやり取りの中で巧くあしらう要領を覚えてしまった節がある。仕える主が聡明なのは喜ばしいことだが、この場合少々複雑だ。
「こじゅうろう、come on」
「ぼ、梵天丸様?」
最近興味を覚えた南蛮言葉を舌に乗せた――少しばかり舌足らずなのがなんとも可愛らしい――梵天丸は、幼子特有の丸みを帯びた柔らかな手で小十郎の武骨な手を掴むと、ぎゅうぎゅうと引っ張った。
何処へ連れて行くつもりなのかと問うても、梵天丸は手を引っ張って「いいから!」と言うばかりだ。これは何か企んでいるなと思ったが、せっかくの上機嫌なのでおとなしく従うことに決めた。
連れて行かれたのは梵天丸の部屋。
「梵天丸様?」
小十郎の手を離した梵天丸は、ちょこんと正座をすると「こじゅうろう」と呼んだ。
「―――?」
主は一体己に何を求めているのか。怪訝そうに梵天丸を見下ろした――この行為は臣下として無礼にあたるかも知れない――小十郎は必死になって考える。
「こじゅうろう」
突っ立ったままの小十郎に焦れたのか、今度は少しばかり語気強く呼んだ梵天丸は、トントンと傍らの畳を叩いた。どうやら此処に座れというらしい。
仰せに従って座ると、今度は「No!」と言われてしまった。目を丸くすると、「違う!」と焦れったそうに言われる。
「あたま」
「は?頭―――がどうしたと?」
「あたまを梵天のひざにのっけろ」
膝枕をしてやる、と言うのだ。この幼い主は。
「今日は“こじゅうろうの日”だからな。特別に梵天に甘えさせてやる」
再び目を丸くする。我ながら間抜け面を晒しているのだろうと小十郎は思った。
「梵天丸様。憚りながら、その…小十郎の日というのは一体?」
「さっき梵天がきめた。こじゅうろうが梵天に思いっきり甘えてもいい日だ」
「―――はあ、」
膝枕、というのは梵天丸が昼寝の時に小十郎がしてあげているところからきているのだろう。
「こじゅうろう、早くしろ」
催促するように小さな両の手が小十郎に向かって伸びた。
甘えろ、と臆面もなく幼子は言う。
(思いっきり甘えてもいいなんて―――俺は毎日のように甘えているんですがね)
貴方は知らないだろうけれど本当は。
そんなことを思って、小十郎は苦笑を浮かべた。



小十郎の日。
それは以後も主従の間で長く続く習慣となる―――。



5月16日―――小十郎の日につき、急いで書いてみました。
(どれくらい急いでいたかって、仕事前の僅かな時間で文字どおりの“殴り書き”)
いっそのこと今週を『小十郎週間』にして毎日書きたいくらいの勢いなんですが、
原稿が今からホントマジヤバイな状況なので(苦笑)。

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