人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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111.これも貴方の計画だった?【戦国BASARA:小政+孫市】

二人分の茶を運んできた小姓が一礼をして下がったのを機に、政宗は客人の許へにじり寄った。部屋は政宗と客人以外に余人はいない。間を詰めて顔を近づければ、密談の体を為す。
客人は雑賀孫市である。先日、商談相手に茶の一杯も出さないのかと皮肉られたからではないが、今日はちゃんと茶を出した。独眼竜は礼儀も知らぬ、などと吹聴されても困る。尤も、孫市がそんな人間ではないということぐらいわかっているが。
「なあ、三代目」
別に声を潜めることもないのだが、なんとなく政宗は声を潜めてしまった。茶を啜った彼女は、目顔で「何だ?」と答える。
「なあ、小十郎の奴にどんなmagicを使ったんだ」
「Magic、とは?」
孫市は政宗の南蛮言葉を正しく理解できる数少ない一人である。当然、今も正しく理解しての応えだ。しれっと訊き返しているが、間違いなく政宗の意図を汲んでいる。なかなか喰えない女だ。
「だから………っ」
どう言っていいものか、政宗は言葉に詰まった。明け透けに“小十郎と情を交わす仲となりました”などと報告するのも如何なものか。
上手く言葉を選べずに、結果として「うー」とか「あー」とかはっきりしない物言いになる政宗だったが、そんな彼も孫市の眼には単に“恥じらっている”としか映っていない。政宗自身気付いていないが、かつての傅役である右目の教育の賜か、ある意味純粋培養で育っているところがある。奔放なようでいて色事には奥手だった。
「だから小十郎が…その、」
相手に対する想いを抱えきれなくなって、先に告白したのは政宗の方だった。主と従。立場も背負うものも違いすぎる。堅物の小十郎は右目の立場を生涯貫くと答えて、当然の如く政宗の想いを受け止めることを拒んだ。無論、主君という立場を利用して命じれば小十郎のことである。そのように振る舞ってくれるだろう。だが、それは結局紛い物に過ぎない。命じて受け入れられる想いなど、自分が惨めなだけだ。
次第に心の均衡を崩してゆく政宗を案じてくれたか――それともまとまりかけの商談が破談になっては困ると思ったか――孫市が一つの案を提示した。
案、といっても具体的なものではない。小十郎の真意を探ってやるからお前達の仲を預からせろ、というものだった。無論、彼女がどんな手段を以てして小十郎の真意を探るのか、政宗は知らされなかった。あの時の政宗はそれでも構わないから、と心境的に縋ったのだ。
お蔭で改めて想いを受け止めてもらい、相愛となって今に至っているのだけれど。
「わざわざ種明かしをする必要があるのか?」
す、と孫市の双眸が細められる。
「だって知りてェじゃねェか。アイツの良識を覆したんだぜ?俺が意を決してコクった時は拒んだクセに」
「フン。それがあの男の本心ではなかった、というだけのことだろう。良かったじゃないか」
「まあ、な」
良かったな、などと孫市に祝福されて、政宗は照れ臭そうに笑った。


“人よ恋せよ”が口癖みたいな前田慶次ならば、飛び上がって喜ぶことだろう。照れ臭そうに笑う政宗を見ながら孫市は思った。
終始いい顔をしている。きっと仲が上手くいっているのだろう。
(結構なことだ)
口許を綻ばせる。
「三代目?」
「いや…、」
孫市は頻繁に政宗の許を訪れている。武器の売買で伊達家と商談を進めているということもあるが、双竜の仲が気になっていたからだ。右目を焚き付けたはいいが、あらぬ方向に迷走した挙げ句壊れてしまっては元も子もない。万が一そんなことになれば、その時は焚き付けた側として相応の責任を取るつもりではいたが、この分だとそれも無用となりそうである。
(それにしても、)
何をどう勘違いているのかは知らないが、ここ最近の伊達の男どもの狼狽えぶりはどうだろう。あまりに孫市が頻繁に政宗の許を訪れ、更には商談と称して人払いをしているから――それは別段なんの意図もない。ただ当人同士で話を纏めた方が早いからだ――いろいろと勘繰りたくなるのかもしれない。
特に顕著なのが右目だ。
孫市が焚き付けた所為もあるだろうが、今も人払いしたこの部屋を視界に収められる程度離れた位置でまるで熊のようにウロウロしている。孫市も政宗と同様、他人の気配に鋭いので、実際その光景を目にせずとも気配でわかるというものだ。
結んだばかりの赤い糸の片方を持つ身としては気が気でないのだろう。しかし、あの強面で熊の如くウロウロと行ったり来たりされては鬱陶しくて堪らない。
ああ見えて、あの男はなかなかに独占欲が強い。なにしろ目の前の竜が弱き仔竜だった時分から想いを抑えて傍に居続けたのだ。その年季が違う。
また面白いのが政宗だ。
例えばこうして人払いをして二人でいても、全く警戒心を抱いていない。警戒心を抱くどころか、右目にあらぬ誤解を与えかねないということに全く思い至っていないのだ。その無防備さが益々右目の不安を煽っているのだろう。右目が招いたこととはいえ、純粋培養にも困ったものである。
孫市は呆れたように小さく嘆息してみせた。
「さて、今日はこの辺で帰ろう。所望の品についてはすぐに手配させる」
障子戸を引けば、表の爽やかな空気が流れ込んでくる。ついと視線を投げれば、案の定、この部屋からそう離れていない位置に右目がいた。眼が合うと途端に苦虫を噛み潰した表情を浮かべたので、不安を煽るのを承知でフフンと鼻先で笑ってみせた。
「Thanks」
南蛮言葉で感謝の意を伝えた政宗は柔らかな笑顔を作る。それがあまりに無防備なので、孫市に少しばかり悪戯心が沸き起こった。
「伊達、」
An?と首を傾げる彼に向かって手招きをする。素直に寄ってきたところでその頬に軽くキスしてやった。
「――――――っ!?」
キスをされた頬を押さえて反射的に「なにをしやがる!」と大声を上げた彼に双眸を細め。
「駄賃代わりだ。別に減るものでもあるまい?」
「そ、そりゃあそうだけど…」
離れた位置で放つ右目の気配の色が変わる。
これはあの男の反応が面白そうだ、と孫市は内心ほくそ笑んだのだった。




先日アップしたお誕生日月間リク「アンコントロール」の後日談。
リクいただいた方からコメントをいただきまして、そこから話が膨らみました。
短いつもりでいたのですが、気が付いたらそれなりの長さになってしまったので二分割です。
今日は政宗と孫市、続きの小十郎は明日の更新です。

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