人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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40.いつかを夢見て【戦国BASARA:家政】



―――手が届いているのだけれど、でも本当はまだ届いていない。


「なあ、独眼竜」
「Ah?」
筆を走らせていた手を止め、面倒臭そうに政宗が「どうした?」と家康の呼び掛けに応じる。面倒臭そうな素振りながらもちゃんと応じてくれるのは、政宗が心優しいからだ。
戦場では苛烈さばかりが目立つ竜であるが、本当はひどく繊細で優しい生きものたということを果たしてどれだけの人間が知っているだろう。
背後から回した両手を腹のあたりで組み、細い肩に顎を乗せる。
相変わらず綺麗な字だ。字には性格が表れるというが、なるほど政宗の字には彼の繊細さが浮かび上がっている。ちなみに家康の書く字はのびのびと大きく、実におおらかな文字だと言われているが。
筆まめで知られる政宗は、祐筆を立てずにこうして自ら筆を取ることが多い。今も何処ぞへ文を認めていたようだ。
右目殿にか、と当てずっぽうで家康が訊ねると、ふ、と零れた柔らかな吐息とともに肯定の返事が返ってきた。
「なかなか向こうには帰れねェ身だからな」
「…スマン」
「Ha,別にアンタを責めているわけじゃねェよ。適材適所っていうヤツだ。俺が江戸にいても、小十郎ならば安心して奥州を任せておける。なんて言っても俺の右目だからな。たとえ竜が不在でもその睨みひとつで奥州をまとめられるだろうよ」
日ノ本を東と西、二分する大戦は家康率いる東軍の勝利で幕を閉じた。
あれほど欲した泰平の世は、今度こそ等しく皆の前に広がるのだ。その世を築き上げるのは他ならぬ家康である。
無論、家康とてそれこそ残りの全人生を懸けても成し遂げられるかというような大事業を己ひとりの力で為せるとは思っていない。為すためには多くの絆の力が必要だ。
国を興す、国を創る―――己の理想に共鳴してくれ、時には叱咤し、時には聡明なる助言を、或いはこれまでにない大きなものを相手に回してともに闘ってくれる人物。家康の周りを見回した時に最も相応しいのは政宗しか思いつかなかった。
そこに願望が全くなかったとは言えない。けれど、ともに新たな国創りをと頭を下げて家康が懇願すると、彼は乗りかかった船だから仕方ないとばかりに了承してくれたのだ。
『アンタが築く泰平の世とやらを見届けさせてもらうぜ』
と言って。
政宗を江戸に留め置くことになれば、当然彼の国許が空座となる。奥州の守護として独眼竜に匹敵する者を据えるとしたら、竜の右目以外にいなかった。
竜の右目、である。本来ならば、竜本体から離れて然るべきものではない。しかし、右目は不満ひとつ零さずに――腹の裡がどうであれ――奥州の地へ独眼竜の名代として座している。まるで彼の代わりに奥州の地を護ることこそが務めであり、誇りであると言わんばかりに。
理想の世のためとはいえ双竜の絆を犠牲にし、それを別った罪悪感がないわけではないが、それでもなお揺るぎなさを見せる彼らが少しだけ羨ましく、少しだけ妬ける。
双竜の絆は隔てる距離などなんということはないらしい。それほどに確固ということだ。
「なあ、独眼竜」
「だから―――何だ?」
ふう、と溜息をついた家康はふとずらした視線の先にある白い首筋にちゅうと吸いついてみた。途端、「ひゃあ」と素っ頓狂な声が政宗の口から転がり落ちる。
「テ、テメエ…っ、なにしやがる!!!」
「うーん………」
中途半端な返答ぶりに業を煮やしたのか、政宗にごつんと叩かれた。加減をしたのだろうが――たぶんしてくれたのだろうと思いたい――、痛いものは痛い。目からチカチカと星が散るかと思った。
なにしろ六爪を自在に操る手だ。武器を地に伏せて久しいとはいえその握力たるや健在である。
「ったく、甘えてんのかよ」
呆れたように言い、先ほどはごつんと叩かれたその同じ手で今度はぐしゃぐしゃと頭を撫でまわされた。
「ハハ、そうかもしれん。なんだかお前にはいつまでも敵う気がせんなあ……」
「An?アンタ、俺に勝つつもりでいたのかよ」
「そりゃあまあ………惚れた方が負けだとは言うが、そうは言ってもこう…なんというかワシばかり負けっぱなしというのも」
「負けっぱなし…だ?Ha,よく言うぜ」
「――――――独眼竜?」
政宗の言葉に家康はくるりとした瞳を大きく瞬かせた。
どういうことだ。
「………わからねェならいい」
ぶすりとした口調で呟いた政宗は、それきり何も言ってはくれなかった。





くっついているんだかいないんだか…微妙な二人の話。家康の天下統一後です。
家康は惚れている表明を政宗にしているんだけど、(年上の狡さで)毎度政宗に上手くあしらわれているため、彼に本当に気持ちが伝わっているのか、わかっていません。ついでに自信もない。
でもね、政宗が傍にいること自体が既に“答え”だと思うのですよ。
自信がないものだから気が付かない…そんなお話でした。

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