人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
    --:-- | Top

カボチャ畑でつかまえて【戦国BASARA:小政】


辺鄙な田舎に鎮座する“鳴神神社”を護る宮司、片倉小十郎は、境内の一角にある趣味と実益を兼ねた畑で南瓜の収穫に勤しんでいた。
御社の内に畑を設けるなど罰当たりとは思うが、御社からあまり離れた場所に畑を持ってしまうとこの地の土地神でもあり御社の御祭神でもある龍神様の怒りを喰らう―――というより拗ねられてしまうので、仕方なく境内の一角に設けることにした。確かに拗ねて暴走されては困る。龍神の暴走など徒人には手に余るというものだ。
何の娯楽もない雛の地である。若人に似合わず晴耕雨読の日々を愛している小十郎であったから、当然畑作業に力が入った。お蔭で順調に畑は規模を拡大し、境内の境界が怖ろしいくらいに曖昧になってしまっている。そのうち逆転して畑の一角が境内になりかねない勢いだ。
龍神様を祀る御社がそんな状況でも、土地の者達は然程気にした様子もない。元々おおらかな気質もあるが、それ以前に人口が減って氏子の数が少ないのである。
それでも龍神が鎮座する限り、御社と御祭神を護るのは小十郎の務めであった。それこそ遥か昔、先祖の血が脈々と伝えてきた役目。そして、その役目を小十郎は心から誇りに思っている。誇りに思い、気難しくて高慢でへそ曲がりで我儘で気まぐれで淋しがりの愛しき竜に巡り逢えた僥倖を生涯の光栄と思っていた。
そんな訳で氏子数の少ない神社の宮司は、宮司というよりも百姓の方がよく似合う有様だ。慣れた手つきで収穫をする姿が様になっている。
「よし、今年もいい出来だぜ」
作業の手を止めて一旦立ち上がると、首に引っ掛けていたタオルで汗を拭う。足許の籠には形の良い南瓜が入っていて、その出来のよさに思わず目尻を下げた。そうすると、左頬の傷も相俟ってその筋の男かとつい誤解されがちな強面が、こんな貌もできるのかと驚くほどに甘くなる。
籠の中の南瓜をひとつ手に取り、じっくりと見分をして、口許を綻ばせた。
「この大きさなら政宗様も喜ばれるだろう」
政宗―――小十郎が仕える鳴神神社の御祭神、龍神である。
南瓜の用途―――飾りカボチャはJack-o'-lantern。普通の南瓜は今日の夕食の膳を彩る予定だ。デザートにつけるパンプキンパイかプリン用に残してもいいだろう。小十郎の畑の収穫物は沢山あるので、素材をどう生かそうかと考えるのも楽しい。
「ランタンは俺が作るとずっと息巻いていたからな」
何年か前からこの季節になると必ず『カボチャのランタンを作りたい!』と政宗は言い出した。幸い南瓜なら畑で育てている。それならばと手ごろな大きさのものを与えてみたのだが、どうやら西洋と日本の南瓜では勝手が違うらしい。日本の南瓜は硬すぎて、生のまま彫刻するには向かないようだ。結局その年はランタン作りを挫折して、無残な姿となった南瓜は小十郎の腹に納まった。
『そうだ、小十郎!来年のランタン用におばけカボチャを畑で育てろよ』
何のために此処に畑があるんだと言わんばかりの表情で政宗が言う。
Good idea!と子供みたいな無邪気な笑顔に絆されて―――言うとおりに翌年に向けて南瓜を育てることにした。小十郎としても政宗の笑顔が見られるならば、そのための努力は惜しまない。それくらいこの竜に己を捧げているのだ。
ところが。
おばけカボチャというのは―――種や苗から育てるのは難しいらしい。いとも簡単に政宗は『畑で育てろよ』と言ってくださったが、いざ作るとなると大変なのである。小十郎は小十郎でずっと失敗続きの挫折続きだった。
政宗に劣らず実は負けず嫌いの小十郎は、畑を耕す者として失敗のままで終わって堪るか――政宗に残念な男と思われたくないという見栄もあった――と奮起し、今年になって奮起の成果が漸く現れたのだった。
なかなかの出来に満足げに肯いた小十郎は、南瓜を傷めないようにそっと籠の中に戻すと、母屋兼社務所に戻るべく腰を上げた。
(―――ん?)
母屋の入り口に宅急便のトラックが停まっている。宅急便が届くような予定があっただろうかと思考を巡らせてみたが、小十郎に思い当たる節はない。
そもそも自給自足を旨とする小十郎は宅急便のお世話になるような生活をしていないのだ。宅急便のお世話になっているのは寧ろ政宗の方で――――――。
「………政宗様か」
小さく嘆息をして肩を落とす。
高位の龍神でありながら長く人界に留まり続けている所為か、妙に人間臭くなってしまった竜――しかも人型――は、昨今ネットショッピングがお気に入りだ。つい先日もウサギとネコとどちらが好みだ?などといきなり意味不明な問いを向けられ、答えに窮した小十郎を後目に『面倒だからどっちも買うか』と軽い口ぶりでバニーガールと猫耳の衣装を注文されてしまった。
当然購入は小十郎名義になっている。注文履歴を見て『この男、一体どんな趣味しているんだ』と思われていたら最悪ではないか。下手に世俗に通じている龍神も困りものである。
「まったく…今度は何を頼みやがったんだか」
お願いだから小十郎の名誉だけは守ってほしいものだと―――切に思う。



「小十郎っ」
畑から戻って来る小十郎の気配を察したか、政宗が玄関まで迎えに出てきた。しかも―――トンデモナイ恰好で。
「ま――――…っ、」
人は想像を超えた衝撃を受けると思考が停止する。まさに今の小十郎がそうだった。
あまりの衝撃に大事に此処まで抱えてきた籠を取り落とし、収穫したばかりの南瓜たちがゴロゴロと土間に転がる。
「Hey,小十郎。小十郎?」
「ま、政宗さまっっっ!貴方、なんて恰好しているんですかっっっっ」
驚愕に声が可笑しいくらいにひっくり返った。
「An?なんて恰好って見ればわかるだろ。魔女っ子コスだぜ」
可愛らしい魔女のコスチュームを着ている。魔女ということで元々が女性物なのだろう。下はミニスカートで、黒地の衣装の所為かすらりと伸びた白い脚がやけに強調されている。
政宗は半分放心気味の小十郎に見せびらかすように、短いスカートの裾を摘んでその場でくるりと回ってみせた。
「なあなあ、可愛いと思わねェ?思うだろ?なあ、魔女っ子」
悪びれずに言ってにっこりと笑う。せっかくのハロウィンだから俺も仮装しないとな、などと言って。
「ネットで頼んだんだぜ。これともっとsexyなヤツと。昼間だから自重してcuteな方を着てみたんだが…何だ、小十郎。ひょっとして夜用にとっておいた悩殺系の方が良かったか?」
(の、悩殺系……?!)
そんなコスチュームをどこで注文したのだ?
「政宗様………お願いですから、少しご自重ください。仮にも龍神ともあろうお方が」
「Why?いいじゃねェか、ハロウィンなんだ。少しくらい羽目を外したってどうってことねェよ。だいたい辺鄙な田舎なんだから、少しくらい楽しませろよな」
都会だったらハロウィンパーリィとか仮装して行けるのに、と口を尖らせて拗ねている。土地神でもある彼は此処に縛られて動けないことを承知のうえで言っているのだ。
「お前だって…少しくらい羽目を外して楽しめ」
「―――政宗様」
既に標準装備となって久しい眉間の皺を解すように、政宗の指が擦っている。甘えるように「こじゅうろう」と名を呼ばれれば、此方がどんなに怒っていてもどんなに呆れていても降参である。
竜には敵わぬ。それは先祖代々〈片倉小十郎〉の血に深く刻み込まれたものなのかもしれない。これもまた御先祖が血に施した呪なのだろう。
「あ、カボチャ」
不意に政宗が声を上げた。足許に転がった南瓜に漸く気が付いたらしい。
その中に日本の南瓜とは明らかに異なる―――ハロウィンの装飾で見るようなオレンジ色の南瓜を見つけた政宗の貌がパッと輝いた。
「ランタン用のだなっ、これ?」
「ええ。漸くいいのができました。ランタンをお作りになるのでしょう?」
「Ya!」
「政宗様がランタンを作られている間に小十郎は夕食を用意いたしましょう。政宗様の仰るとおり…せっかくのハロウィンですから」
「小十郎っ」
魔女っ子が飛びついてきた。
「夜は“Trick or Treat”もするからな」
「お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ、ですか?」
どちらかと言えば、政宗はそれが楽しみならしい。
「でしたらデザートにパンプキンパイを用意いたしましょう。可愛らしい魔女に悪戯をされぬように」
「No!小十郎テメエ野暮なことを言いやがって…っ!菓子をくれても俺は悪戯するからな!」
どちらにせよ悪戯をする気満々のようだ。尤もベッドの中で悪戯をされるのはいつも政宗の方なのだが。
思わず、くすりと笑ってしまう。それが面白くなかったのだろう。頬を上気させた政宗に睨まれてしまった。
「小十郎っ、覚悟していろよっ」
「………はいはい」
「今夜は悩殺コスでお前のことメロメロにしてやるっ!」
(まったく―――)

可愛いことを言ってくれる。
そんな衣装に手伝ってもらわなくたって―――とっくに小十郎は溺れているのだ。




ハッピーハロウィン。
31日がハロウィンということで、ちょっと早いですがハロウィンネタ。
今年のお誕生日月間リクで先月書いた「宮司小十郎×龍神政宗」です。
相変わらず、現代科学に詳しい政宗がコスプレ好きです(苦笑)。
そしてそんな龍神様に小十郎が振り回されています。
Comment







(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
Trackback
http://sinners.blog13.fc2.com/tb.php/1675-829645b8
プロフィール

安曇

  • Author:安曇
  • 今日も元気に生きてます。
カレンダー(月別)
08 ≪│2017/09│≫ 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブロとも申請フォーム
ちびギャラリー
 

presented by.●○紅羽のTWぶろぐ○●
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。