人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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冬の匂いがする【戦国BASARA:家政】

四季を通じて温暖な三河ではあまり感じることのない、キンと冷えた空気が頬を撫でる。衾の下で身震いをした家康は、冷気ですっかり冴えてしまった瞳を申し訳程度に擦り、むくりと起き上がった。薄い夜着一枚では、やはり寒さが堪える。羽織に袖を通してみたものの、奥州の冬の寒さには敵わないようだ。
吐く息の白さに子供みたいに感動する自分がいて、家康は笑みを浮かべた。
「さすがに寒いなあ………だが、悪くない」
凛と冷えた空気に背筋がしゃんと伸びる思いがする。なるほどこういう空気の下で育った竜が強いわけだ。ほんの数日ではあるが、冬の奥州に滞在して性根を叩き直されたような気がしてならない。
ぶるりと小さく身を震わせて床から立ち上がると、庭に面した障子戸を開け放ってみた。たった一枚隔てたものを取り去るだけで、更に冷たい空気が室内に入り込んでくる。それこそ冷気の手に全身を撫でられて、家康は無意識に首を竦めた。
「―――奥州の冬か。北の地の冬とはこんなにも厳しいものなのだな」
日ノ本の広さを改めて思う。
「だが、厳しい反面……美しい」
ふ、と口の端を緩めた家康は、桟に軽く背を凭れて庭を眺めた。冷気に体が慣れてくれば、これもまた心地良い。
一応は客人待遇の家康に宛がわれた部屋は、伊達屋敷で二番目に眺めの良い部屋とされている。勿論、一番は伊達屋敷の主であり、奥州筆頭であり、更には家康の竜と公言して憚らない政宗の私室だろう。伊達の者の政宗に対する心酔ぶりは半端ではない。それがわかる待遇である。
(まあ、客人待遇にしてくれただけでもありがたいと思わねばならんだろうな)
なにしろ伊達の者が心酔する竜を――本人の同意がそこにあったとはいえ――家康が奪ったようなものである。特に〈竜の右目〉の自分に対する心証は最悪で、正直なところ身の危険を未だに感じることがあった。
尤も、障害が多いほど恋情とは燃え上がるものと相場が決まっている。政宗も自分もどこかそんな現状を楽しんでいた。
「アンタ………こんなところで何をしている?!」
「ああ、独眼竜か」
驚いて目を丸くしている――こんな竜を見ることができるのは滅多にない――政宗に「おはよう」と返すと、途端に呆れたような溜息を吐かれてしまった。
「Well, I'll be damned!アンタ、奥州の冬をナメてんのか?」
「別にナメているつもりはないぞ?」
夜着に一枚引っ掛けただけのそんな薄着で、障子を開け放って早朝から呑気に庭なんざ眺めているヤツのどこがナメていないって?
右目並みの小言を繰られ、家康の顔に苦笑が浮かんだ。
「いや、ほら…こういう凛と澄んだ空気に満ちた朝の庭も美しいと思ってな」
そうかよ、と答えた政宗に腕を取られ、引っ張りあげられる。
よくよく見れば、政宗もまだ夜着姿だ。尤も、出歩いても寒さを感じないように此方は上に何枚も羽織っている。
朝を告げに来るのは滞在中家康の世話を言いつかっている小姓の役目だし、このような早朝の時分に政宗本人が此処にいるのは不自然だと思った。
「それよりお前は何故?」
「Ah?」
今まで自分が突いていたのに急に矛先を自分に向けられて、政宗は言葉を詰まらせた。寒さの所為ばかりではないだろう、頬が紅潮している。
「夜這い、しようと思ったんだよ」
「夜這いって………もう朝だぞ?いや、ワシはどんな時間だってお前に忍んで来られるのは嬉しいが」
「Shut up!」
頬の紅潮どころか、目許までほんのりと桜色に染めてそっぽを向き「寒いっ」と吐き捨てるので、きっと人肌が恋しかったのだろう。奥州の寒さは確かに人の温もりが恋しくなる。
なるほどそういうことかと察して、立ち上がった家康は竜の細い体を抱き寄せた。途端、「冷てェ!」と腕の中で抗議の声が上がる。
「アンタ、一体どれだけ此処にいたんだよ」
「さて、なあ」
「お前のところで暖をとろうと思ったのに、とんだ計算違いだった…って、冷てェって言ってんだろ!触んなっ」
首筋に鼻先を押し当てたら、冷たいと散々に悪態を吐かれてしまった。全く以てつれない。
「こんなところでいつまでも突っ立ってたら凍えちまうだろっ!ほら、寝直すぞ!」
ぐいぐいと室内に引っ張られ、衾の中に抛り込まれる。褥はすっかり冷えてしまっていたが、政宗は隣に潜り込んできた。暫く落ち着く位置を求めてごそごそしていたが、漸く居心地の良い位置を見つけたのか、おとなしくなる。
「まだ朝早ェからな」
吐息がくすぐったいと思いながら、政宗に促されて目を閉じる。どうやら竜は本格的に二度寝を決め込むらしい。となれば、二度目の目覚めは此処になる。
(起こしにきた小姓が卒倒するかもしれんなあ………)
のんびり思ったが、それ以上に右目の殺気への対処方法を考えねばなるまい。寝所ががら空きだと右目が知れば、間違いなくその殺気は此方に向く筈だ。
頭が痛いな、と考えながらも「まあ、なんとかなるだろう」と思い直し、家康はゆっくりと訪れた二度目の眠りに身を委ねた。



お題配布元:love is a momentさま



2日目は家政戦国ver.です。
冬の早朝です。
伊達屋敷に逗留中の家康と(あまりに寒いので)家康の寝床に潜り込もうと自分の寝所から移動してきた政宗の話。
戦国ver.だと、どうしてもクリスマスとかけ離れちゃいますね(苦笑)。

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