人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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きんいろの、ぎんいろの【戦国BASARA:小政】

出陣前―――戦支度をしているときが一番緊張する。かの独眼竜も戦を前にして緊張するのか、と笑われるのも癪だから決して表面には出さずに余裕の振舞いをしているけれど。
初陣を果たして暫くは子供だった所為もあるが、血気に逸っていた憶えがある。それが原因で痛い目に遭ったことも数知れずだ。戦が何たるか頭では理解していても本当の意味でわかっていなかった子供の己を思い出すにつけ、苦い笑いがこみ上げてくる。あの頃だって全く緊張していなかったといえば嘘になる。血気に逸っていたのは、緊張の裏返しだ。
生来好戦的で闘争心に溢れた独眼竜である。無論、戦を前にした緊張感とは対極の、全身の血が沸騰するかのような恍惚感に充たされるのも事実だ。前者ばかりに傾倒しては軍を率いる大将としてはあまりにも弱く、後者にばかり傾倒してはただの命知らずでしかない。己の中にある弱さと強さ、両方を知ってこそ戦人である。
「政宗様、きつくはありませんか?」
「No problem.ちょうどいいぜ」
政宗の戦支度は小十郎が務めている。本来は小姓に任せるものだが、小十郎が頑として譲ろうとしないのと政宗がそれを許しているのとで今日まで伊達軍では当たり前のように為されていた。
余人を遠ざけて二人で行うそれは、戦を臨む前の一種儀式のようでもあった。竜が天をその手で掴む日まで、ずっと続けられるのだろう。
(いつまで―――?)
いつまで。
その先、続けようとした言葉が見つけられず、政宗は微かに息を零した。
いつまで、の先どう続けようとしたのか。

いつまで戦が続くのか――――――か。
いつまでこの大きく武骨な、政宗の愛おしい手が戦装束を着付けてくれるのか―――か。
いつまで喪わずに、いつまで傍に、いつまで―――………。

「―――政宗様?政宗さまっ」
拾い上げた小十郎の声。思考の淵に沈みかけていた政宗はその声でハッと我に返った。目の前に心配そうな表情を浮かべた小十郎が立っている。
「政宗様、如何為された」
「いや……なんでもねェ」
ふるりと首を左右に振って口許を緩めても、長年己が右目を務めるこの男の表情が晴れることはない。小十郎は政宗がこの歳になっても心配性なのだ。傅役気質が未だに残っているのかもしれない。
だとすれば、この心の裡もとうに見透かされているのかもしれないな。そう思えば、知らず苦笑が浮かんだ。思えば幼い時分より政宗は小十郎に隠し事ができなかったのだ。
「政宗様、」
労わるように頬を撫でられる。その仕種で「やっぱりお見通しか」と政宗の苦笑がい一層深まった。
「敵わねェな、お前には」
「―――はい?」
思わずといった体で目を丸くした小十郎に戦装束のまま抱きつく。抱きついてきた主君を無碍に突き飛ばすわけにもいかず、結果として小十郎は政宗を抱き留める形になった。
政宗様、と諌める色合いが濃くなった声が耳許を掠める。小十郎は表情よりもその声により感情が出易い。
「なあ、小十郎。もっと呼んでくれよ」
俺の名前をもっと呼んで。
そうねだると、「どうしました?」と言いながらも名を小十郎は呼んでくれた。
もっと。もっと。
「政宗さま、」
戦を前に昂ぶった心を落ち着かせるため、とでも思っているのかもしれない。或いは、身の裡に潜んでいる不安と緊張を拭い去るためか。

政宗様。政宗様。政宗様―――。

愛を語る抱擁には些か殺伐としすぎる場で、それでも政宗はそんな抱擁と何ら変わることなくうっとりと瞳を閉じ、微かに開いた唇からゆるゆると息を零した。
「不思議なモンだな。お前に名を呼ばれると落ち着く。こう…力が入っていても、すとんと抜けるみてェだ」
「然様にございますか」
政宗を抱き留めた小十郎の手がゆっくりと背を撫でている。小十郎、と瞳を合わせれば、揺るぎない強さを秘めた男の眼差しと絡み合った。
刹那、ふ、と短く息を吐き、小十郎の腕の中から飛び出す。まるでそれを心得ていたように、腕の中から逃した小十郎は一拍置いて仕上げとなる蒼の陣羽織を差し出した。
「政宗様」
「Ok,」
陣羽織に腕を通し、身を翻す。
「楽しいpartyにしようじゃねェか。俺の背は任せたぜ、小十郎」
「御意。御身の背はこの小十郎がお護り致しますゆえ、どうぞご存分に」
小十郎の言葉に不敵に微笑む。
「政宗様、」
出陣を前にした一連の密やかな儀式の最後の仕上げとばかりに、二人は短い抱擁とくちづけを交わすのだった。



お題配布元:love is a momentさま





今日は…あまりクリスマスとは関係ない話です。
小十郎が名前を呼んでくれただけで安心する。
政宗にとって、小十郎の言葉は金色や銀色にきらきらと輝いているんです。

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