人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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手袋を半分こ【戦国BASARA:関ヶ原組+政宗】

「家康。貴様、いつまで此処にいるつもりだ」
寒いのなら我慢をすることなど少しもない。とっとと帰れ!
カチカチと歯を鳴らしながら三成が言う。勿論、そんな強がりを言う三成も、足許から這い上がってくる寒さを前に心なしか涙目だ。
「なあにこれしきワシはなんともないぞ。ワシよりも三成は大丈夫なのか?歯の根が噛み合っていないようだが」
「う、うるさいっ」
寒さで鼻頭を真っ赤にしながら、肩を並べた家康が「ははは」と朗らかに笑う。息は白くて、吐き出した端から冬空に昇ってゆく。
「顔色も良くないし、三成こそ我慢せずに帰った方がいいんじゃないか?政宗だっていつ仕事が終わるかもわからんし。風邪などひいたら困るだろう?」
「私は惑わされんぞ、家康!貴様、そのような心にもないことを並べ立てて…私を追い返し、その隙に伊達を独り占めするつもりだろうっ」
「人聞きの悪いことを言うなあ三成は。お前の眼にはそのように映るのか?」
「それ以外に映りようがないっ」
二人は帝都大学附属中学に在籍している。中学校は既に冬休みに入っていて、時間を持て余し気味の二人は冬休みに入ると同時に毎日のように帝都大学へ通っていた。
中学生の彼らが大学に出向いても何があるというわけでもない。勉強は自分達の習う範囲のことで手いっぱいだ。別に大学で学ぶことを前倒しで学びたいわけではない。
三成も家康もお互いを牽制しながら――普通ならば通う必要などない――大学に足繁く通っているのは、共通の目的があったからだ。
家康は三成を友人と思っているようだが三成にとっては片腹痛い話で、そのために常に二人はこれが通常運転である。決して仲良しではないと三成は自負しているのに、大学に通う目的がまんまと被っているあたり周囲からは仲が良いと思われているらしい。勿論、冗談ではない。先を競うというのであれば、三成の方が先に目的として設定したのだ。家康は二番煎じ、三成の模倣ではないか。
二人の共通目的―――それは帝都大学附属図書館で働く超絶美人司書様に逢うことだった。
美人司書様の名を伊達政宗という。思春期只中の中学生二人の憧れの人だ。家康は運命の人と憚ることなく公言し、三成にとっては初恋の人にも等しい。だが、どちらをとったとしても同性という時点で残念な結果ではあったが。
「そもそも私だけであれば附属図書館で勉強しながら待っていられるのだ。貴様が伊達の仕事の邪魔をするからだろうっ」
「だがな、三成。お前一人では迷子になるじゃないか」
「―――っ」
極度の方向音痴である三成は一人だと未だに大学構内で遭難しそうになるのだ。そのため、しれっと放たれた家康の言葉にぐうの音も出ない。
「お、おのれぇぇぇ。いぃぃぃえぇぇぇやぁぁぁすぅぅぅぅ」
「ははははは」
館内は暖かいというのにこうして外にいなければならない、そもそもその原因を作ったのは隣で満面の笑みを浮かべた家康だ。
仔犬のように政宗に纏わりつくこの同級生を最初の頃こそ微笑ましく思ってくれた政宗と附属図書館の人達だったが、さすがにそれが毎日となると笑顔も引き攣ってくる。結局、堪忍袋の緒が切れた政宗に邪魔だと追い出されてしまったのだ。
尤も、そんなことでへこたれる家康ではない。三成としてはへこたれてさっさと戦線離脱をして欲しかったが、家康という男の神経は無駄に図太かったのだ。
お蔭で三成もまた甚だ不本意ながら仲良く――断じて言うが本当に仲が良いわけではない――肩を並べてこうして館外で政宗を待っているのである。
この健気さ、一途さを少しは汲んで欲しいものだ。
ちなみに家康など見捨ててしまっても三成的には全く構わないのだが、なんとなく自分だけ暖かな館内に身を置くのも後ろめたい気がするのだった。
「お前ら……いい加減なところで帰らねェと本気で風邪をひくぞ」
「政宗!」
「伊達!」
寒空の下、外でじゃれ合う――三成的にはいがみ合っている――二人が心配で様子を見に出てきた政宗が呆れたように口を開いた。
「政宗の仕事が終わるのを待っているんだ。なあ、仕事は終わったのか?」
「阿呆、終わるかよ。今日は夜間開館のカウンター業務があるから残業なんだよ。ほら、いいから今日はもう帰れ」
「「えーっ」」
「えーっ、じゃねェよ」
伸びてきた手に二人の頭はぐしゃぐしゃと撫でられる。
「ったく、全身冷え冷えになりやがって」
長嘆した政宗は二人の前に自身のものと思しき手袋を差し出した。右手を家康に左手を三成に―――片方ずつを渡す。
「それを嵌めて今日のところは帰れ。ちなみにくれてはやらねェからな、あとで返せよ」
「ちぇっ、ワシの宝にしようと思ったのに。こう頬ずりをしたりな、時々はこれで慰めたりな」
「家康。テメエ、それ本気でやらかしたら図書館出入り禁止にするぞ」
手袋を渡された時に見せた嬉々とした表情で企みを察したらしい政宗に釘を刺された――そうでなければ本気でやっていただろう――家康はぶーと頬を膨らませた。そんな同級生を三成は冷ややかな目で見る。ざまあみろ。
「伊達、片方の手袋など全く以て用を為さんではないか。私の右手はどうするのだ!」
「Ah?」
ぱちりと切れ長の左眼が瞬く。
「そんなの、素手の方は仲良く手ェ繋げば互いの手の温もりであったけェだろうが」
「――――――っ!?」
本気か。本気で言っているのか。
「じょ、冗談ではない。私がなぜ家康と手を繋がねばならんのだ!おのれ、家康ぅぅぅぅ」
「ははは、それが政宗の望みならば男として叶えんとなあ。三成、さあワシと手を繋ごう!」
有無を言わさず家康が手袋を嵌めていない方の手を掴む。
「だ、伊達っ」
三成の一途さも健気さも―――政宗には届かない。
「Okey, boys.気を付けて帰れよ」
「伊達ぇぇぇぇぇ」

悲愴な三成の声だけが寒空に響いた。




お題配布元:love is a momentさま


司書ムネです。
(超)一方通行な恋模様中坊関ヶ原組と司書様のお話。
家康は通学途中で見かけた政宗にひと目惚れ、三成は構内で迷子になりかけていたところを助けられた政宗にひと目惚れ、という設定で進んでいます。
小十郎にとっては元親同様彼らも害虫扱いです(苦笑)。

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