人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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キャンドルライト【戦国BASARA:サスダテ】

滅多に雪が降らない地方では、少しでも雪が積もると大混乱である。まさに今夜はそうだった。
朝方から降り出した雪は止む気配はなく、お蔭で交通網はズタズタだ。高速道路は早々に封鎖されているし、幹線道路も渋滞している。電車は架線に雪が積もったとかで軒並み運転見合わせ。
更にひどいことに、数時間前から政宗の住む地区は雪による停電に見舞われていた。冬の夜に電気を全く使えない、なんて最悪である。オール電化にしていないことだけが救いだった。少なくともガスで暖をとることができるからだ。
とはいえ、いくら着込んでも凍えそうな寒さである。そろそろ世話役の男の許へ緊急避難をするべきか―――そんなことを真剣に政宗が検討し始めた、その矢先のことだった。
来客を知らせるチャイムが鳴る。
こんな夜に誰だ?と物好きな来客に胸中で文句を垂れつつ触れたドアノブのヒヤリとした冷たさに一瞬身を竦め、渋々とドアを開けた。
「ど、どうもー」
「………………、」
ガチガチと歯を鳴らしながら、愛想良い笑みを貼り付けている男―――猿飛佐助の予期せぬ来訪に、政宗は軽く目を瞠った。
「出先から帰ろうとしたんだけど、この雪で電車が運行中止になっちゃってさ。途中まで―――えーと、三、四駅くらい?頑張って歩いてみたんだけど、もうムリで。とりあえず一番近くにいる知り合いって考えたら…伊達ちゃんだったんだよねえ」
「アンタ、雪中行軍よろしくこの雪の中此処まで歩いてきたのか?」
傘すら持っていないのか――コンビニにでも寄って買えば良かったのだ――、佐助は全身雪塗れだった。なるほど雪中行軍だ。申し訳程度に肩に積もった雪を払い落として、佐助は「いやあ、ホント参ったよ」と答えた。その姿を目にしているだけでも寒気を催してくる。寒々しさに政宗の方がぶるりと躰を震わせてしまった。
そんなことより。政宗は佐助が政宗の自宅を把握していたことに驚いていた。少なくとも、互いの家を行き来するほど仲が良い認識は政宗になかった。現に政宗は佐助の自宅が何処にあるかなど知らない。それこそ知り合いというには余所余所しいが、かといって友人というには親しくも馴れ合ってもいなくて、なんとも微妙な関係をこれまで保ち続けていたのだ。
そんな佐助が事情はともかく、こんな雪の日に政宗を頼ってきた。ここで関係性を盾に追い返してしまうのは些か酷である。少なくとも、政宗はそういうことができる性格ではない。
「言っとくが、この辺りは雪の所為で停電だぜ?」
「あーなるほどね。道理でこの辺りが真っ暗なわけだ」
「いつ復旧するかもわからねェが、寒くても我慢できるっていうなら構わねェ。入りな」
「助かるよ。この際休めるなら、少々寒くたって我慢するし」
「…いや、かなり寒いレベルだと思うぜ。マジで」
拝み手でそう答えた佐助の発言を、白い息を吐き零しながらうんざりと政宗は訂正した。

暖房器具がエアコン、というのも考えものである。停電の日には全く使いものにならないのだ。電気ストーブも然り。今後のことを考えたら石油ストーブを買った方がいいかもしれないと政宗は思う。
濡れた衣服は体温を奪うばかりなので、佐助には自分の服を貸してやった。体格はそう変わらないから、たぶん大丈夫だろう。これが自分より遥かに体格のいい相手だったりしたら、コンプレックスを容赦なく刺激されて面白くないだけだ。
エアコンはそういう理由で使えないため、何枚も着込ませて、唯一使えるガスコンロでお湯を沸かしてインスタントのスープを飲ませてやる。
「はあ、この温かさ沁みるわー」
佐助はほっとしたように告げた。
ゆらゆらと揺れる蝋燭の頼りない灯り。目下室内を照らす光源となっている蝋燭は、昨年のクリスマスの時の残りものだ。確か懐中電灯が物置に転がっていた筈だが―――こういう時に限って見つからない。物置を大捜索するのも面倒で、結局食器棚の抽斗の中に仕舞われていた蝋燭の出番となった。これがなかなかの活躍をみせている。
「手なんか悴んじゃって、指先の感覚なかったもんねえ…ほら、」
両手で包み込むようにマグカップを持っていた佐助の手が、突然ぺたりと政宗の頬に触れてくる。突然触れてきた手のあまりの冷たさに――手の冷たさはなかなか戻らないようだ――政宗は「ぎゃっ」とらしからぬ悲鳴を上げた。悲鳴を上げてオーバーに飛び退く。
「テ、テメエ!冷たい手で触るんじゃねェっ」
「へー、思ったよりも伊達ちゃんって温かいねえ。なんだか暖がとれそう」
蝋燭の炎に照らされた佐助の顔に悪戯な笑みが浮かぶ。身の危険を感じた政宗は思わず後ずさった。あの冷たい手でべたべた触られたら、体温が一気に低下しそうな気がしてならない。
「伊達ちゃん、いっそのこと仲良くしない?」
「No!いきなり仲良くしようなんて胡散臭いこと言いやがって。テメエの魂胆が透けて見える」
「えー、わりと本気なんだけどね。俺さまこれでもさ」
此処に来た時から。
おどけたように告げたあと、瞳を細めてじっと政宗のことを見つめてくる。
蝋燭の灯りの向こうに見える佐助の顔が、この時の政宗にはなぜだか知らない人間のそれのように思えた。





お題配布元:love is a momentさま



思えば久しぶりにサスダテを書いたのですが……これはサスダテというよりは「佐助と政宗」みたい感じでしょうか。恋愛未満の話になりました(苦笑)。
この二人はこれから発展しそうです。
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