人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
    --:-- | Top

生クリームかチョコレートか、それが問題だ【戦国BASARA:小政】

誰にでも苦手なものの一つや二つあるだろう。苦手なものなど何ひとつないと豪語する完璧な者よりも、その方がよほど人間味溢れている。
だが、恋人の政宗の苦手とするものは、和菓子職人である小十郎にとって致命的としか他に言葉が見つからなかった。政宗は甘いものが駄目なのである。
本を辿れば殿様と殿様の許へ出入りする御用菓子匠という政宗の家と小十郎の家は、時代が下ってもその繋がりは深く、殿様から伎芸の家となった政宗の家へ今も変わらず出入りをしている。それゆえ小十郎と政宗は、それこそ政宗が物心つくかつかないかの頃からの付き合いだ。年の離れた幼なじみ、もっと言えば兄弟みたいなものか。
そんな二人の関係に変化が起きたのは、ごく最近のこと。
政宗が小学生だった頃に小十郎は彼と賭けをした。交わした賭けに期限はなく、随分と気の長い賭けだった。小十郎としては一生を賭してのそれであったから、勝負が決するまで気長に構えるつもりだったのだ。
政宗と交わした賭け―――己が作った和菓子を彼が食べられるか、否か。食べられれば小十郎の勝ち。いつまでも食べられなければ小十郎の負け、ということになる。そして勝った暁には、その願いごとを聞いてもらう。
成長とともに味覚も変わるものだが、政宗のそれはなかなか変わらなかった。小十郎は修行の傍ら毎日のように彼のために和菓子を作り、試食をしてもらっていたが、彼は申し訳なさそうにひと口齧るだけで、高校生になってもその味覚をずっと変えられずにいた。
それが最近、少しではあるが食べられるようになったのだ。賭けは小十郎の勝ちである。その時、初めて小十郎は己が願いを口にした―――どうか小十郎のものになっていただきたい、と。
小十郎にはずっと政宗が総てだったのだ。そうでなければ子供相手にあんな賭けはしない。
そんな熱烈な小十郎の告白を政宗が受け入れ――政宗もまた同じ想いだった――、そうして今に至る。


政宗が甘いものをなんでも食べられるようになったのかと言えば決してそうでもなく、小十郎が作った和菓子以外は相変わらず今でも駄目であった。己の作った和菓子だけ食べられれば充分で、それ以外のものならずっと苦手でいてくれて構わない―――存外独占欲の強い小十郎が言った言葉どおり、小十郎は政宗の舌に日々自身の味を教えている。
そんな十二月のある日のことだった。
政宗が買いたいものがあるというので、足代わりにすっかりクリスマス仕様に様変わりした街へと出掛けた。華やかな街並みは何処も彼処もうんざりするほどクリスマス一色である。
わあ、と眼を輝かせて政宗が足を止めた、其処は洋菓子店だった。クリスマスに向けてケーキの予約を受けているのだろう。ホールケーキの写真が何枚かウィンドウに飾られている。和菓子屋はこういうイベントものにあまり縁はない。
「政宗さま?」
甘くて食べられないことは端から承知しているのだが、それでも興味をそそられるらしい。政宗は生来好奇心旺盛だからそれも仕方ないことかもしれない。
キラキラと眼を輝かせてウィンドウに見入っている政宗に小十郎は苦笑を浮かべた。そうして思いついた言葉を口にする。
「作って差し上げましょうか?クリスマスケーキ」
「Really?」
不意に降ってきた言葉に政宗の眼が丸くなり、それからゆっくりとした瞬きを繰り返した。
「でもケーキだぞ?小十郎、作れるのか?」
「作ったことはありませんが……菓子であることに違いはないですからね。貴方のために挑戦しますよ」
その時の政宗の笑顔と言ったら。往来の場であるというのに思わず抱きしめたくなったほどだ。全く以て恋する男は盲目である。
あの笑顔を堪能できるのであれば、何でも作ってあげたいと思う。たとえそれが畑違いの洋菓子であってもだ。
とは言ったものの、自分の領分ではないのでやはり勝手が違う。例えば甘さ一つとってもそうだ。政宗が耐えられる甘さに抑えるにはどの程度まで砂糖を使えばいいのか。チョコレートは大丈夫か、生クリームは大丈夫か。加減が今イチよくわからない。
小十郎の作った菓子に限って食べられるようになった政宗だが、それは和菓子であって洋菓子は未知数だ。作ってもまた昔のように食べてくれない事態となってしまったら、さすがにこの歳でも凹んでしまう。かつて子供の政宗がジレンマに苦しんだように、小十郎も苦しみそうだ。
あの後何件かケーキ屋を廻って味を研究した。道具も密かに買い揃え、試作品も幾つか作ってみた。だが、小十郎自身まだまだ味どころか形も満足しない。
(こんなもんじゃねえ…っ。こんな程度じゃ政宗様の前には出せねえ。作るからには完璧を目指す!)
「洋菓子如きに負けねえぞ」

老舗和菓子屋の若旦那、片倉小十郎の奮闘は今日も続くのだった。




お題配布元:love is a momentさま



何年か前のお誕生日月間リクで老舗和菓子屋の若旦那小十郎話を書いたんですが、今日のアドベントはその設定を使いました。
今年はパティシエ小十郎リクを頂いていて設定的にはそちらの方がいいんでしょうが、まだリクの方はネタ帳で順次孵化待ちなので。お待たせして申し訳ないです…とここで言ってみる。
政宗は甘いものが苦手です。
ですが、小十郎が作ってくれる甘味だけはなんとか食べられるようになりました。
それって小十郎にすれば凄い優越感ですよね。
Comment







(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
Trackback
http://sinners.blog13.fc2.com/tb.php/1710-5feea224
プロフィール

安曇

  • Author:安曇
  • 今日も元気に生きてます。
カレンダー(月別)
09 ≪│2017/10│≫ 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブロとも申請フォーム
ちびギャラリー
 

presented by.●○紅羽のTWぶろぐ○●
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。