人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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月の凍てつく夜に【戦国BASARA:小政】

ジジジと灯明油を浸した芯が燃える音ばかりがしんと静まり返った室内に響く。
ふ、と息を零した小十郎は書状から目を上げると、丁寧に折り畳んで文箱へそっと戻し、それから立ち上がって静かに障子戸を開けた。
たった一枚でも冷気を遮断する効果はあるようだ。開けた途端、奥州の凍てついた空気が肌を撫でてゆく。
中天にかかるのは冴え冴えとした弦月。爪で引っ掻いたような細い月は、今は離れた主の姿を強く思い出させる。
小十郎は仙臺を拠とする主、政宗の許を離れて白石にいる。政宗は支城を多く持っているが、中でも先頃得た白石の城は、伊達が奥州を統治する上で重要な城だ。一度戦ともなれば主の本拠を背にし、南から攻め上がってくる敵方を防ぐ最前線となる、伊達の要であるこの城を任せられる者は伊達軍の中でも限られてくる。
伊達軍を構成する兵達はいずれも猛者だが、中でもこの城の重要性を理解し、且つ援護を頼めぬ状況に陥っても自力で活路を開ける豪胆さ、すわ戦となり其処が死地と化した時、己が命を預けられるに足る相手―――そうした諸々を勘案した時に政宗が導き出した答えは一つしかなかった。
己が右目を据える―――その一点のみ、である。
こうして白石の城は小十郎に下賜された。
政宗は気前のいい主で、褒美としてこれまでも小十郎に様々なものを与えてくれたのだが、その悉くを小十郎は固辞していた。小十郎にとって何よりの褒美は、政宗の傍に在ることだったから。
けれど、此度ばかりは我儘も言えなかった。一城の主という喜びよりも付随して担うべき大きな役目を思えば、敢えてそこに自身を据えた主の心がわかるというものだ。元より、小十郎の身は政宗に捧げたもの。それが彼のためとなるのではあれば、何をも厭わない。
日ノ本を統一するとなれば、この先こうしたことが多くなっていくのだろう。いくら傍に在りたいと願おうと、情勢がそれを許さずに離れ離れとなってしまう。
共に在ることが息をするように当たり前で、これからもずっとそうだと――そうであるとは限らないのに――思っていたから、頭ではその理由も意義も理解はできても、心が未だに追いついて行かない。手を伸ばしても届かぬもどかしさに、ごっそりと己の中から何かが抜け落ちたみたいな喪失感に、今も心が哭いている。
「政宗様――――」
弦月は変わらず冴えた光を纏わせ、己を見下ろしている。主も凍てついた夜空の下、仙臺の城から見上げているのだろうか。
遠く遠く、離れてはいても心は寄り添わんとでも言うように。
どんなに遠く離れていようと心だけはいつでも傍に。

政宗様。


―――貴方に逢いたい。





お題配布元:love is a momentさま





政宗の許から離れて白石城滞在中の小十郎の話。
凍てつく夜の弦月を見上げながら、仙台にいる政宗に想いを馳せるのでした。
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