人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
    --:-- | Top

先生も走る【戦国BASARA:家政】

家康が政宗と付き合い始めて、そろそろ片手では足りない年数となってきた。
付き合い始めたのは、家康がまだ青臭さの抜けない高校生の頃だ。政宗は高校の先輩で、十人が十人振り向くような―――とにかくいい意味でも悪い意味でも目を惹く容姿の持ち主だった。
どう考えても子供扱いの家康に靡くとは考えられず、だからこそ押して押して押し捲った挙げ句、漸く手に入れた高嶺の花だった。家康の粘り勝ちと言ってもいい。
彼が家康のどこに惚れたのか今を以てわからないが――恥ずかしがりやなのだ――、とにかく今も変わらずに恋人としてのポジションを維持している。
が、ここのところ少しばかり倦怠期に片足を突っ込んでいるようだ。
お互い社会人となって休みがなかなか合わない――政宗は基本土日休みの教師で、家康は火水が休みの住宅メーカーの営業である――ということもあるのかもしれないが、最近はすれ違いが多くなっていた。
付き合いも長くなればマンネリ気味になるのも当然で、これが男女であれば“そろそろ結婚しようか?”になろうものを如何せん家康も政宗も男である。結婚という逃げ道を使えない以上、ダラダラと膠着した不毛な関係が続いていて。
無論、このままがいいとは思っていない。このままでは物理的距離感がそのまま心の距離となりそうで怖い。確たるものがないからこそ自分達のような関係は不安がつきものなのかもしれなかった。
政宗はこの現状をどう思っているのだろう。自分はあの頃と変わらずに政宗を想っているが、それは政宗も同じなのだろうか。
悶々と自問自答を繰り返していたある日、突然降って湧いたかのように実家から家康に見合い話があった。
相手は母親の知り合いの娘だという。どうやら母親同士が盛り上がって段取りを決めてしまったらしい。盛り上がりで決められた方は豪い迷惑な話である。
勿論、家康は即お断りの返事を入れた。自分には政宗がいる。余人が入る余地は全くない。
だが、先述のとおり政宗との仲は倦怠期に入りかけていて、正直不安ばかりが募っている時期だった。また、クリスマスシーズンという恋人達にとっては一番のイベントが近づいていたこともあって、いつもであれば決して考えないことを―――政宗の心を試してみようと思ってしまったのだ。


師も走るというように、十二月はとかく忙しい。普段から家康とは休みが合わないのだが、政宗は合わないなりにもなんとか時間の遣り繰りをして逢う時間を作っていた。ところが十二月の声を聞いた途端、忙しさに流されて全く逢えずじまいの日々が続いた。
十二月だから仕方がねェよな、と政宗は言い訳じみた言葉を自身に言い聞かせる。忙しいのはお互い様、きっと家康もわかってくれていると年下の恋人の優しさに甘えきった部分があったのは確かである。
けれど。久しぶりの逢瀬で告げられたそれは、政宗にとっては青天の霹靂に等しいものだった。
今度見合いをすることになったんだ、とまるで時候の挨拶を告げるような軽さで家康に告げられた。家康とは高校の頃から付き合い始め、交際期間もそろそろ十年になろうかという長さだ。愛し愛されという自覚はあるが、勿論それは世間には秘したものである。世間一般的に言えば、政宗も家康も結婚適齢期に突入していながら未だ独身を貫く男であり、そうした話が舞い込むのも仕方ないことではある。
ふうん、それで?と特段興味を示さぬ返事をしてしまったのが悪かったのか。家康は少しばかり傷ついた表情で政宗を見、「止めろとは言ってくれんのか?」と訊いた。
「Why?」
「だって、政宗はワシの恋人だろう?恋人がいながら見合いをするんだぞ」
面白くないのではないかと此方の心中を量る家康に、政宗は気のない素振りをとってしまう。素直になれない政宗の性格が災いしたのだが、さりとてそんな自分の性格を家康は知り尽くしている筈だ。
ここで見合いなんか止めてくれと家康に縋るのは、coolではなかった。だから。
「すればいいんじゃねェの、見合い」
「おい…。本気で言っているのか?」
本気ではない。強がりが邪魔をして本心を言えずにいるだけだ。そんな政宗の性格ぐらいわかっているだろう?
「…そうか。止めろとは言ってくれんのだな、お前は」
「家康?」
「見合いの日、クリスマスなんだ。お前が止めろとひと言言ってくれれば、お前と過ごすつもりだったんだがな」
明朗が取り柄といっていい家康が見せた淋しそうな貌。それを見過ごしてしまったのは、間違いなく政宗の失態だった。
結局、その日を最後に家康とは連絡がとれなくなってしまった。
見合いをすればいいとあの時は素っ気なく言ったものの、気が気ではない。あの男は政宗の贔屓目を抜きにしても伴侶と定めるに相応しい。優しい夫として幸せな家庭が築けるだろう。そう思えば思うほど、自分の方が分が悪くて日増しに焦りの色が濃くなっていった。
「Shit!」
そんな政宗だから物事に集中できるわけもない。見合いの当日など、朝から惨憺たるものだった。それでも何とか一日の業務をこなし、職場を飛び出す。
見合いの場所と時間は家康から聞かされていた。名の知れた高級ホテルだ。覆水盆に返らずという諺のとおり、今から向かったとしても最早どうにもならないかもしれない。もし運良く家康が捉まったとして、一体何を言うつもりか。今更「俺のものだ」と相手の女に主張するつもりか。そんなみっともないことを本気でするつもりか。
師走の街を夢中で走る。走りながら、
(まさに“先生も走る”とはこのことだな)
と考えた自分がひどく可笑しかった。
目的のホテルに辿り着き、息を切らせたままラウンジで家康を探す。あの男は目立つから、まだいればすぐに見つけられるはずだ。
果たして、家康はいた。一人だ。
「家康っ」
「政宗。来てくれたのか」
あれほどcoolではないと思ったのに。家康の顔を見たら、みっともなく愁嘆場を演じてしまいそうだ。
「み、見合い、は?」
呼吸が乱れたまま、言葉を紡ぐ。そんな政宗に苦笑を浮かべて、家康は落ち着けと告げてくる。恋人が見合いをしたのだ。これが落ち着いていられるか。
ところが、家康は突然政宗に向かって頭を下げたのだ。
「すまんっっ」
政宗の一眼が何事かと丸く瞠られる。
「スマン、政宗。お前を試した」
「―――は?」
試す?
「見合い話があったのは本当のことだが、今日見合いをしたのは嘘なんだ」
「嘘、だと………?」
「ああ。最近ずっとすれ違いが続いてばかりだっただろう?それでこう…このまま離れてしまうのではないかと不安になってしまってなあ。見合い話があった時、本当は即断ったんだ。でも、お前には見合いをするって言ってしまった。お前が止めてくれって言ってくれるか、此処に来てくれるかどうか…試したんだ。お前の心は変わらずワシに在るのか、賭けた」
「家康………、」
事の顛末を聞かされて一気に力が抜けてしまった。ふらりとよろめいたところを家康の手が支えてくれる。
焦って仕事も手が付かず、それこそ見栄もかなぐり捨てて走ってきたのに――汗だくで最悪だ――、そんな種明かしをされてしまってどう反応を返せばいいというのか。
「政宗?大丈夫か」
政宗の反応を窺うように恐る恐る家康が一眼を覗き込んでくる。政宗の気性を考えれば、嘘をついてまで試したことを怒りこそすれ、揶揄われたと笑って終わりにしてくれるとはとても思えなかったからだろう。
(なんだ…お前も不安だったのかよ)
どっちもどっちだったのか。お互いに吐き出せばすぐにも解決できることに、素直になれなかったものだから吐き出すどころか不安ばかりを抱え込んで。
(Ha!バカみてェ)
空回りしている自分達がなんとも滑稽だ。家康の手を借りて体を支えたまま、政宗は笑った。まさかそんな反応を返されるとは思っていなかっただろうから、逆に家康が慌てる。
そんな余裕のない家康を見て更に笑いが止まらず、左眼の目尻に涙を滲ませて「怒らねェよ」と告げれば、あからさまにホッとした顔をされた。
「なア、家康」
「うん?」
「もっと素直になってりゃ良かったな、お互いに」
政宗の言葉に相槌を打った家康がそっと背を撫でてくれる。
「あのな、政宗。今夜一緒に過ごそうと思ってその……部屋を取っているんだが」
「Ha!抜け目ねェな、アンタ。もし俺が此処に来なかったらどうするつもりだったんだよ」
「そうだなあ。クリスマスで奮発した広い部屋に一人淋しく泊まって、お前の姿を目蓋に思い浮かべながら慰めていただろうな。まあ、そうならなくて良かったよ」
早く二人きりの世界に浸りたいと耳許で家康に甘く囁かれ、政宗はくすぐったげに首を竦めた。



お題配布元:love is a momentさま



家康→住宅メーカーの営業、政宗→学校の先生
という設定は全く役立たずです(苦笑)。
学生時代から付き合っていてそれこそすっかり出来上がったカップルですが、社会人となってそれぞれ責任ある仕事を任されるような年齢となり、次第にすれ違いが多くなって…というカンジかな。
珍しく政宗が家康に振り回されています。いつもは逆なのにね。

アドベントの家政は今日が最後です(たぶん)。
明日から24日までは小政です。
Comment







(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
Trackback
http://sinners.blog13.fc2.com/tb.php/1716-42e9165d
プロフィール

安曇

  • Author:安曇
  • 今日も元気に生きてます。
カレンダー(月別)
08 ≪│2017/09│≫ 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブロとも申請フォーム
ちびギャラリー
 

presented by.●○紅羽のTWぶろぐ○●
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。