人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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ハートに赤と緑のリボンをかけて【戦国BASARA:小政】

冬野菜の収穫で畑に出ていた小十郎の携帯が鳴った。今更確認するまでもない。政宗からだ。
科学技術にやたら明るく、流行に敏感な龍神様は、少し早いクリスマスプレゼントとして小十郎があげた携帯電話が目下お気に入りだ。まるで与えられたおもちゃを片時も離そうとしない子供みたいに手許に置いて、ちょっとのことでもすぐに携帯を使いたがる。
こうして小十郎が畑に出ている時ばかりではなく、母屋や祭殿にいる時も―――少しでも政宗と離れているような時には決まって携帯が鳴った。龍神様は通話料を度外視しているようである。まあ、今更のことではあるが。
腰を伸ばしながら小さな溜息をついて、小十郎は通話ボタンを押した。
「どうしました、政宗様」
『小十郎、早く帰ってこい』
返された答えは笑いを含んだ声であまりにも端的だ。早く帰ってこいと一方的に告げてブツリと切れる。これもまたいつものことである。
(やれやれ―――)
しょうがねえ。苦笑混じりのぼやきは、けれど迷惑そうな響きは微塵も含まれてはいなかった。


母屋に戻った小十郎は、食卓を飾る料理の数々に目を白黒させた。
「ま、政宗さま?」
おかえり、と出迎えてくれた政宗は台所に立っている。普段小十郎が使っているエプロンを掛けていて、その姿が妙に馴染んでいた。
近頃の政宗は料理にも目覚めたらしい。何かにつけて台所に立とうとする。それこそ当初は庖丁を持つのも危なっかしくて目を離せなかったのだが、コツを掴めば上達はあっという間だった。今では小十郎よりも料理が上手いかもしれない。
おまけに凝り性を発揮して、台所には今や得体の知れない調味料類がいろいろ置かれている。勿論、これらの入手先は専ら政宗お得意のネット通販だ。
人型をとっているものの、元々龍神の政宗は人間が食するようなもので栄養を摂取する必要はない。彼の糧は“精気”であり、その糧は小十郎が担っている。つまり、政宗が料理を作っても当人が食べることはなく、小十郎が専ら食べることになるわけだ。政宗が小十郎の精気を喰らうために小十郎には精をつけてもらわなければならない、ということでせっせと作ってあげているとも考えられ、それはそれで理に適った行為だと思うが、どうやらそれ以上に〈片倉小十郎〉という男は代々料理を美味そうに食べるらしく、これまでの小十郎達の美味そうに食べる姿を見るにつけ、自分の作ったものでそういう顔をさせてみたいという欲求に駆られたのだそうだ。とはいえ、〈小十郎〉の前であれば人型をとるというほど単純でもないようで――人型の政宗を目にすることができた〈小十郎〉は初代小十郎から片手で事足りる――、漸く当代になってその欲求が充たされたことになる。
小十郎はいろいろな意味で政宗に“選ばれた”存在となるのだが、選ばれるということは半面、財布的には厳しいことになるらしい。携帯といい、ネット通販といい、料理といい―――気の遠くなるほど長い年月を重ねてきた小十郎の龍神様は、いい加減金遣いが荒すぎる。こんなところばかり人間臭くならなくてもいいのに。ご先祖は政宗の浪費――と言ったら水が領分の彼は怒って嵐を呼ぶに違いない――癖に悩まされなかったのか。
「どうしたんですか。こんなに料理を作って」
視覚と嗅覚で美味を訴えてくる料理の数々。お菓子の家はデザートだろうか。そう言えば、少し前ネット通販で『お菓子の家手作りキット』なるものを注文していたような気が…。
「今日はクリスマスじやねェか。なんとかっていう外つ国の神の誕生日なんだろう?」
八百万いる神が当たり前という国なので、政宗は神の名前まで覚えようとはしない。それとも彼自身も神であるため、自尊心が邪魔をして余所の神の名など口にしたくはないのか。
「神に誕生日っていう概念がすげェ」
「政宗様にはないのですか?」
「Hum…自我が目覚めた時には存在していたからなァ。っていうか、普通そんなもんじゃねェ?」
「小十郎は人間ゆえわかりかねますが………」
ぱちりと瞳を瞬かせた政宗は、「それもそうだな」と小さく笑った。
「外つ国の神の誕生日を祝ってやるなんて実に寛容な国じゃねェか。たとえ当初の目的が薄れて、俗っぽいイベントになろうともな」
むしろ今は当初の敬虔さよりも政宗の言う俗っぽい―――恋人達が甘い夜を過ごすイベントに重きが置かれているのだが、政宗はそのあたりも既に承知しているようだ。
「そんな訳で俺も便乗しようと思って、気合い入れてみた」
「―――はあ、然様で。にしても気合い入れすぎですよ。いくら小十郎でもこんなには食べきれません」
「Ha-ha,全部食えとは言わねェよ。俺の作ったものを美味そうに食うお前の顔を見るのが俺の喜びなんだ」
「政宗さま…」
ああ、そんなことを言われたら。
何が何でも全部食べなければと思ってしまうではないか。
「どうした、小十郎?」
「いえ…。せっかくですから全部いただこうか、と」
全部食べろとは言わない、と言ったものの、せっかく作ったものを美味しいうちに食べてもらいたいという作り手の気持ちはよくわかる。だからこそ、小十郎の言葉を聞いた政宗の顔がパッと輝いた。彼は自分が作った料理を美味そうに食べる小十郎の顔を見るのが喜びだと言ったが、小十郎はそんな彼が嬉しそうな顔をするのを見るのが何よりの喜びなのだ。
「でも、最後に俺を喰うくらいの余力は残しておけよ?」
スペシャルはこの俺なんだからな。
囁いて鼻先をすり寄せ、時々悪戯に唇を食んでくる政宗に苦笑を浮かべつつ、小十郎は「…努力します」と告げた。




お題配布元:love is a momentさま




宮司小十郎×龍神政宗です。
初日のクリスマスお題で書いた「携帯電話を持たされました」話のその後。
龍神様は携帯電話をいたく気に入っております(笑)。
ちょっとでも小十郎の姿が見えないとすぐに使うカンジです。
そして、最近は料理も覚えました。
…どんどん人間臭くなっていますね。そんな龍神様にいよいよ振り回されています。
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