人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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目覚めて最初に目にしたものは【戦国BASARA:小政+孫市】

妙にソワソワしているな、と対面に座る女が薄く笑ってみせる。切れ長の瞳を細めて小十郎の渋面を見、それから通りすがりの店員に生中を追加した。
研究員として男ばかりの研究室に籍を置く所為だろうか。気取るところがなくさばけた性格ゆえ、時々性別を忘れそうになる。
「こんな所で呑気に飲んでいる場合ではないとでも言いたげな顔だ」
「…………、」
心中を見透かされた小十郎は益々渋面になる。
女の名は雑賀孫市。小十郎は関西の私立大学に研究員として勤めている孫市と一緒に研究をしていて、昨日から打合せのために関西へ出張していた。
ちなみに今日はクリスマスイヴである。世の恋人達は今頃甘い夜を楽しんでいるだろう。一見、カップルに見えなくもない――レストランでディナーではなく、居酒屋で飲んでいるあたり場違いにおもわれるだろうが――二人ではあるけれど、実のところそんな甘い雰囲気は微塵もない。二人の関係性を言葉にすれば“戦友”が最も近しいだろうか。
小十郎には年下の可愛い恋人がいて、今この時にも心は恋人の許へと飛んでいる。ソワソワしていると見抜かれているのはそのためだ。
クリスマスを楽しみにしていただろう恋人は、その楽しみを台無しにされてとても憤っていた。大学機関に勤める人間なので大学教員が同時に研究者でもあることはよくわかっている。だから滅多なことで小十郎の研究に口を挟まないが――予定を反故にされることがあっても、だ――、今回ばかりは腹に据えかねたらしい。結局満足なフォローもできぬまま、そのことに後味の悪さを感じつつも此方に移動してきてしまった。ちなみに小十郎が恋人の許へ戻るのは、クリスマスなどとうに終わった二十六日である。
「そういえば片倉、お前恋人ができたそうだな」
「…それがどうした」
孫市とは付き合いが長く、それゆえ男でも女でもいける小十郎の性癖も理解している。だから、その小十郎の恋人が同性である可能性があることも当然承知していた。
「今回は男か?女か?」
「…………」
器用なことに孫市は小十郎の表情で察したらしい。女の勘、とでも言おうか。
「ふふ、そうか男か。今日はクリスマスイヴだというのに、出張とは災難なことだな」
「ああ、全くだ。お蔭で散々詰られた」
ちゃんとフォローはしてきたのか?と目顔で問われ、むすりと押し黙る。その沈黙は言葉にする以上に小十郎の答えとなっていて、孫市はビールジョッキを片手に長嘆した。
「……烏め。お前、“釣った魚に餌はやらん”クチか」
「そんなことはねえ。俺なりに政宗様のことを充たしているつもりだ」
「ほう、政宗というのか」
しまった、とばかりに掌で口許を塞いだ小十郎は、諦めたように小さく息を吐いた。酒の肴に他人の恋話。当人にとっては居た堪れないが、相手にしたら楽しいものだろう。
肴にされることを覚悟で仏頂面のまま、小十郎は彼女に恋人の話をする。
生中から日本酒に替えた――女ながら孫市は酒豪だった――孫市は冷酒グラスを傾けながら、小十郎の話を聞き入っていた。聴き上手でもある彼女は興味本位で突っ込みを入れたり、話の途中で茶化したりすることはしない。小十郎にとってそのことだけが幸いだった。
「その政宗とやらがヘテロであれば、尚更フォローを入れなければなるまい。自然の摂理を曲げてまでお前を選んだ。相手の覚悟は相当なものだと思うがな。そんな相手を繫ぎ止めようとするなら、生半可な努力では済まないだろうが。片倉は相手の覚悟に見合うだけの努力をしているのか?愛情に胡坐を掻いていると何れ相手に愛想を尽かされるぞ」
「…………、」
痛いところを衝かれて、小十郎は声も出なかった。全くそのとおりなことを他人に指摘されると言葉などでないものだ。
実のところ、日中空いた時間を見つけて政宗へ連絡を入れてみた。電話口の政宗は相変わらず機嫌が悪いようで、此方が話を向けても素っ気ない。挙げ句に
『今夜は元親とイタリアンレストランでクリスマスディナーだ』
とあてつけのように言われて、目の前が真っ暗になってしまった。よりにもよって、小十郎が不在の間に不届きな学生時代の後輩が入り込んできたのだ。目の前が真っ暗になると同時に、怒りと独占欲が溢れだしそうになり、うっかり自身のスマートフォンを破壊しそうになった。
おそらく今頃政宗は元親と一緒だろう。こうしている間も元親は“鬼のいぬ間に”とばかりにちょっかいをかけているに違いない。小十郎と元親の好みは学生時代から悉く被っていたから、小十郎の好みの具現が政宗であるのならば元親もまた同じなのだ。現に元親はわかりやすいくらいに政宗に秋波を送っている。幸いなのは政宗の心が小十郎に向いていることだが、孫市の言うとおりそれに胡坐を掻いていては愛想を尽かされないとも限らない。人の心など移ろいやすいものなのだ。
今すぐにでも政宗の許へ戻りたい。だが、仕事を放り投げるなど社会人としてあるまじきことだ。
「片倉、」
やれやれと孫市が肩を竦める。
「この烏が。ここで苛々しているくらいなら帰ったらどうだ。今なら充分最終の新幹線にも間に合うだろう」
「だが……、」
「打ち合わせることなど粗方済んでしまっている。一日早く帰ったところで響くことはない」
それに、その方がかえってサプライズになるのではないか?
ふふと口の端を軽く持ち上げて言う孫市に心中を見透かされ、小十郎は最早黙るしかない。
「………恩に着る」
相手の申し出に感謝する物言いではないな、と苦笑しながら孫市が揶揄ってくる。確かに憮然とした顔つきだったからそう言われても仕方がないかもしれない。
「これで貸しが一つだ、片倉。私がそちらに行った時にでも返してくれればいい」
暗に恋人を紹介しろと言っているのだ。
とんだ相手に貸しを作ってしまったものである。


孫市の有難い申し出に背を押される恰好で早々に居酒屋から撤収した小十郎は、ホテルのチェックアウトを済ませて最終の新幹線に飛び乗った。車中にいる間も生じてしまった距離がずっともどかしく、帰ったら言葉を尽くすことばかりがぐるぐると頭の中を巡る。
ターミナル駅から何度か乗り換えをして最寄駅からタクシーを使い、我が家に着いた時には既に日付が変わっていた。勿論、家は真っ暗だ。政宗に限って元親と外泊などあり得ないので――むしろあり得ないと思いたい心境だ――、おそらく寝てしまったのだろう。鍵を開けて静かに入ると、玄関の三和土に政宗の靴が揃えられていて、それを確認した時に心の底からホッとした小十郎である。
(政宗様―――、)
寝室をそっと覗き込めば、二人で使う広いベッドの真ん中で寝具に包まるようにして丸くなって政宗が眠っていた。その寝顔を見ているだけで切なくなる。
その場から離れ難く思いつつも、自身も寝る準備を整えねるために一旦寝室を離れ、手早くシャワーを浴びてから着替えを済ませてから改めて寝室へ戻る。
熟睡状態の政宗は小十郎が戻ってきたことも気付かないようだ。するりと政宗の横に身を滑り込ませても、目覚める気配はない。よほど深い眠りにあるらしい。
「ただいま戻りました、政宗様」
囁くように告げて唇で頬を撫でると、くすぐったいのかその時ばかりは小さく身じろいだ。
ふ、と息を零して横になった小十郎は傍らの温もりを感じながら瞳を閉じた。




「…………こじゅ、ろ?」
なん、で?



朝目覚めた小十郎が目にしたもの。
信じられないもしかして寝惚けてるのかオレと言わんばかりに頻りと一眼を瞬かせている可愛い恋人の顔だった。


お題配布元:love is a momentさま





アドベントカレンダーならぬクリスマスお題に毎日挑戦!24日目、本日が最終日となります。
最終日の今日は司書ムネです。
12/7に更新した「日常までがイルミネーション」(小政+元親)とリンクしています。
あちらは小十郎出張後の政宗視点のお話でしたが、これは出張先での小十郎視点。政宗の「元親と一緒にクリスマスディナーだ」発言に出先でやきもきしています。
孫市は当初から『小十郎の研究仲間』みたいな立ち位置で出そうと考えていました。


24日間、お付き合いどうもありがとうございました!!!
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