人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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おみくじ吉凶勝負【戦国BASARA:小政】

日付が変わり新年になるのを待って、小十郎は政宗と初詣に出掛けた。普段であれば寝静まって静かな街も、新年を迎えた今日ばかりは賑わっている。電車が終夜運転をしている所為もあって人通りも多い。
近くに神社はあるのだが、二人はあえて足を延ばして参拝客の多さで一、二を争う有名な神社へ初詣に行くことにしていた。霊験あらたかなのは何処も変わりなかろうが、参拝客の多いところであればそれを理由に密着できるという―――不謹慎極まりない発想によるものだ。
実際、これだけの人間が何処から集まってくるのかと目を疑いたくなるような混雑具合で、それこそ子供のように手を繋いででもいないと、人の波に呑まれて離れ離れになりかねない。
「迷子にでもなったら大変だからな」
そんなことを嘯いて、人ごみの中、政宗が小十郎の手を握ってくる。悪戯っぽく微笑む彼と目が合って、小十郎は己の下心を見透かされたみたいで居心地が悪かったのだが、政宗の言葉を言い訳にして手を強く握り返した。
「Jesus!スゲエ人だなァ」
「政宗さま、危ない」
「Oh,」
拝殿に向かう参道でもみくちゃにされ、もはや手を繋ぐだけでは危なっかしくて、政宗が離れないようにと小十郎は肩を抱き寄せた。
「Thanks」
左眼を大きく見開いて小十郎を見上げた――新年一番にそんなかわいい驚き顔を目にできるのも小十郎の役得だろう――政宗は、抱き寄せてくる小十郎の大きな手の強い存在感にはにかんだ笑みを浮かべた。そうして自分からも擦り寄ってくる。
「………迷子になりたくねェし」
そんな言い訳もかわいらしい。つい肩を抱く手に力が入った。
漸く拝殿近くまで辿り着いた二人は、思い思い賽銭を投げて心の中で願いごとを唱えた。もちろん、小十郎のそれは決まりきっている。今年も政宗とともに健やかな一年を過ごせますように、だ。
ちらりと横目で政宗を盗み見ると、真剣な面持ちで願いごとを唱えている。どんな願いごとを…などと訊くのも野暮なので訊かないが、願わくは自分と同じであればいいと思う。
(それにしても―――神さまもこれだけの人間の願いごとを叶えるなんざ大変だな)
「Ah~,ちィと欲張っちまった。願いごと」
「新しい年を迎えた時くらいきっと神さまも気前よく聞いてくれますよ。なにしろ此処にいる人間の願いごとに耳を傾けてくれるくらいだ」
「ha-ha.違いねェ」
拝殿を離れてから再び手を繋ぐ。
「なあ、小十郎。おみくじ引いて行こうぜ」
「おみくじ…ですか?」
「Ya.年の初めの運だめしってヤツだ」
「政宗様、おみくじは運を試すものではありませんよ」
細かいことはいいんだよと口を尖らせ、政宗は繋いだ手を引っ張った。
人の波に逆らって札授所に向かうので、どんなに気を付けていてもぶつかってしまう。こればかりはお互い様なので仕方がない。ただ、ぶつかった相手が政宗を見るや、魂を抜かれたみたいに息を飲むのが面白くなかった。十人ぶつかればその十人が揃って同じ反応をするのだ。天性の人誑しであることを思えば当然なのだろうが、傍らで恋人がそういう目で見られるというのは、小十郎でなくても心穏やかではいられないだろう。いっそのこと胸許に抱き込んで、他人の目から隠してしまいたいくらいの心境だ。無論そんなことをすればかえって目立つこと間違いなしだが。
札授所でお守りと縁起物の熊手を買ったあと、二人は札授所横でおみくじをひいた。引っ張り出した木棒を巫女に渡してくじを引き換える間も、“年の初めの運だめし”と言い切った政宗はワクワクしながら瞳を輝かせていた。そんな彼に苦笑しながら、小十郎も引いた木棒を巫女に渡す。
「さァて、吉と出るか凶と出るか―――」
木棒に書かれた数字と同じ抽斗から取り出し、巫女が手渡してくれたおみくじに揃って目を落とした。
「……………、」
「小十郎、どうだ?」
眉間に深い皺が寄った小十郎には気付かずに――俯いている所為である――、政宗がひょいっと手許を覗き込んできた。
「―――――――凶………だな」
「―――ですね」
小十郎の手の中にあるおみくじは“凶”だった。
ちなみに政宗は“中吉”である。この一年のそれぞれを暗示しているみたいで、なにやら幸先悪い。よりにもよって凶を引くとは何事だろう。
こんな紙切れ一枚でこの一年を勝手に決められてたまるかと強がってみても、肩を落とした態度は素直に心の裡を物語っている。そんな小十郎を励ますように、「まあまあ」と政宗は落とした肩を叩いた。
「凶なんて引きたくて引けるモンじゃねェぞ。かえって縁起がいいじゃねェか」
「………慰めはいらねえです、政宗様」
「慰めなんかじゃねェよ。いいか、考えてもみろよ。凶ってのはこれ以上悪くなりようがねェってことじゃねェか。つまりこれから上り調子ってことだろ」
「………………、」
「大吉はその逆で、あとは転がる一方って感じだよな。だから俺はコイツで満足してるぜ」
自分の引いたくじをひらひらさせながら政宗が笑う。なるほどポジティヴな考え方だ。
「政宗さま……」
「新年早々そんなシケたツラしてんなよ。たかがおみくじだろ。そんなシケたツラ、せっかくの男前が台無しだ」
そのおみくじを“年の初めの運だめし”と言い放ったのは他ならぬ政宗だ。それに照らせば、小十郎の今年の運だめしは“最悪”ということにならないだろうか。
「小十郎、さっさと木の枝に結んじまおうぜ。それで家に帰ろう?」
気を取り直すように促され、幾重にもおみくじが結ばれた木の枝に自分達もおみくじを結びつけた。きっと何人もの人間が此処で同じような遣り取りをしているのかもしれない。
「初詣はしたし、あとは仕事始めの日まで家でのんびりできるな」
迷子になったら大変だからと言いながら、先刻と同じように政宗が手を繋いできた。人混みの所為にしているから他人の目も然程気にならない。いつもより大胆に指を絡めてくる。
きゅ、と握られた瞬間、瞳を細めた小十郎を見上げて政宗はふふと微笑んだ。
「輝宗先生のところへ挨拶に行くんでしょう?」
「Oh,そうだ。親父に新年の挨拶はしておかねェとな。すっかり忘れてた。ま、そいつを済ませちまえば水入らずだぜ、darling?」
姫はじめも控えてるしな。
「ま、政宗さまっ」
誰が耳にしているかもわからないというのに、どこまで大胆になるつもりか、そんな艶事まで口にする。聞かれてやしないかと辺りを見回したが、この人混みだ。皆自分達のことだけで精一杯らしい。決して小十郎は小心者ではないのだが、ほっと息を零す。
「Ha!No problem.誰も聞いちゃいねェって」
小十郎の心中を見透かしたように笑い飛ばされ、決まり悪い思いをした小十郎は、そんな自分を隠すために眦を吊り上げた。




お題配布元:color seasonさま



あけましておめでとうございます!
2013年、はじまりました!今年の初書きはやっぱり小政です。
昨年のクリスマスシーズンにやったアドベントカレンダーに挑戦で一番拍手が多かった話の設定が司書ムネだったので、司書ムネを書いてみました(笑)。
…ホントは孫市が出ている話が一番多かったので孫市を出すべきなんでしょうけど、今回は二人きり通常運転です(苦笑)。


それはさておき。
今年もどうぞよろしくお願いします。


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