業
主は触れられることを頑なに拒んだ。全身を棘で覆い、茨で己を護るかのように。その相手が傅役であってもそれは変わらなかった。
「オレに触れた者はみんな死ぬからな」
だからお前も触れるな。底なしの闇を思わせる昏い瞳を向けてそう告げられたものの、俄かには信じられない。特殊な環境で育った所為か、彼は人間不信の傾向が強いから。それは他人を寄せつけないための防御壁か、或いは彼を産んだ後、精神を弱らせてしまったという生母にそう教えられたか。
「オレは天を統べる資質を与えられた。その代償に業を負った」
「業…とは?」
「一族が負うべき業、ってヤツだ。そいつがこの膿み腐れた右眼に詰まっている」
触れた者は死ぬ―――それがオレの業。そう歌うように告げた主はどこか淋しげで。その瞬間、ああこの人は全てに対して諦めているのだと思った。たった一つ、天を統べる―――武将として羨むべき資質と引き換えに失った全てに対して。
だから小十郎は手を伸ばした。後ずさろうとした主よりも速く。
「小十郎っ」
話を聞いていたのだろうと主が悲鳴を上げた。
「小十郎、オレに触れるな!死ぬぞ」
「いいえ。貴方が拒んでも、俺は貴方に触れます。然様な業に因らずとも人は寿命が尽きれば死ぬものです」
「No!オレの右目に巣食う業はそんな生易しいモンじゃねェ!」
悲鳴。泣きそうな。否、泣いているのか。
「梵天丸さま」
ならば誓おう。この身、この命に懸けて。貴方のために業に抗う、と。
9/14にリンカネを観に行ってきたのですが、孔明が背負っている業に「うわあああ!」となって、双竜ver.でやってみたらどうなるのーって終始頭の中で悶々とした結果を…ついったで垂れ流しマシタ。
業を背負うのは政宗。
その業に抗おうとするのは小十郎。
というところです。
ここのところ中心になっていた原稿が漸く終わったので、久しぶりに長い話を書きたくなりました。
(お誕生日月間とは別に、ですよ。モチロン)
今は↑の話をきちんと書き直し中です。
「オレに触れた者はみんな死ぬからな」
だからお前も触れるな。底なしの闇を思わせる昏い瞳を向けてそう告げられたものの、俄かには信じられない。特殊な環境で育った所為か、彼は人間不信の傾向が強いから。それは他人を寄せつけないための防御壁か、或いは彼を産んだ後、精神を弱らせてしまったという生母にそう教えられたか。
「オレは天を統べる資質を与えられた。その代償に業を負った」
「業…とは?」
「一族が負うべき業、ってヤツだ。そいつがこの膿み腐れた右眼に詰まっている」
触れた者は死ぬ―――それがオレの業。そう歌うように告げた主はどこか淋しげで。その瞬間、ああこの人は全てに対して諦めているのだと思った。たった一つ、天を統べる―――武将として羨むべき資質と引き換えに失った全てに対して。
だから小十郎は手を伸ばした。後ずさろうとした主よりも速く。
「小十郎っ」
話を聞いていたのだろうと主が悲鳴を上げた。
「小十郎、オレに触れるな!死ぬぞ」
「いいえ。貴方が拒んでも、俺は貴方に触れます。然様な業に因らずとも人は寿命が尽きれば死ぬものです」
「No!オレの右目に巣食う業はそんな生易しいモンじゃねェ!」
悲鳴。泣きそうな。否、泣いているのか。
「梵天丸さま」
ならば誓おう。この身、この命に懸けて。貴方のために業に抗う、と。
9/14にリンカネを観に行ってきたのですが、孔明が背負っている業に「うわあああ!」となって、双竜ver.でやってみたらどうなるのーって終始頭の中で悶々とした結果を…ついったで垂れ流しマシタ。
業を背負うのは政宗。
その業に抗おうとするのは小十郎。
というところです。
ここのところ中心になっていた原稿が漸く終わったので、久しぶりに長い話を書きたくなりました。
(お誕生日月間とは別に、ですよ。モチロン)
今は↑の話をきちんと書き直し中です。
Comment
Trackback
http://sinners.blog13.fc2.com/tb.php/1816-3cdfb66b