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人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

192.今から楽園へ行くのです【幻水Ⅴ:フェリゲオ】

血の匂いがする、と男は鼻先を近づけ云った。血と汗と、それから硝煙の匂い。
まるで子犬がそうするかのように鼻をひくつかせる男のなすがままにさせておいて、ゲオルグは苦笑混じりに「当たり前だ」と答えた。
「組織に邪魔な人間を消してきたばかりなんだ。嫌ならさっさと退け、フェリド」
ミッションを完遂して戻ってきたばかりのところをいきなり捕まえられ、男の私室に引きずり込まれるや、無闇に広いベッドに抛り出された。スプリングの利いた柔らかなそれに躰ごと抱き留められる。
ファミリーにおいて閣下と呼ばれる男の右腕であり、護衛であり、随一の狙撃手であり、男の情夫という顔を持つゲオルグだが、流石に首領への報告もそこそこに私室に連れ込まれるとは予想だにしていなかった。
「フェリド!」
「血の匂い上等。…ソソる薫りだ」
張り付けられたベッドの上で見上げたフェリドがニヤリと笑う。無意識にゲオルグは彼を押し退けようとした。
「なに一人でサカってるんだ!」
「ヒデエ云い方だなァ。命を張った後なんだ。テメエじゃ抑えられないくらい高揚するだろう?おまけに、指を咥えてずっと我慢していたこっちは血と汗に塗れた姿を見せつけられてるんだ。視覚と嗅覚への刺激が強すぎて、いい加減ヘンになってもしょうがないって思うだろ?」
「だからって…」
それがこの状況を説明する理由になるのか。なおも云い募ろうとしたゲオルグだったが、咬みつかれるような激しいキスをされて断念せざるを得なかった。
「んぅ…ッ」
容易に息が上がる。フェリドの言葉は半ば図星で、だからこそ容易く火が点いた。そうなれば、最早理性でどうこうできるものではないとゲオルグも本能的に理解している。
それを見透かして狙ったように情事を仕掛けてきたというのなら、フェリドもたいした策士だ。
「これっくらい獰猛な気分で丁度良い」
そもそも錆びた血の匂いは雄の本能を刺激するから。そう呟いて、フェリドは笑った。忙しく這い回る節くれだった指先は、ゲオルグの身から少しでも早く官能を引き出そうと躍起になっているようだ。
ギシとベッドが軋む。
「お前が生きて還ってきたことを───まずはこの躰で確かめさせてくれよ」
報告はその後で充分だ。
筆頭幹部としての立場よりも恋人としての立場を優先させる男の我儘を、どこか嬉しく感じてしまうのは不謹慎だろうか。
「フェリ…」
「さあ、楽園に往こうぜ」
囁く声とゆっくり沈んでくる躰。
今にも喰い破られるのではないかと思うほどの激しい情念。それらに身を委ねてしまえば、容易に楽園への扉は開くのだ、と。
伸ばした両腕を男の太い首に巻きつけ、理性を放棄したゲオルグはあえやかな喘ぎを零し始めたのだった。




365題 お題配布元:capriccio

「夜明けを待つ者」シリーズフェリゲオver.。
マフィアたる者、愛人の一人もいなけりゃカッコがつくまい(苦笑)。
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