人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
    --:-- | Top

50.恋をしてから負けっぱなし【戦国BASARA2:小政】

政宗様、と小十郎が低い声音で呼ばうと、政宗はフルリと微かに身を震わせ、それからこちらを威嚇をするかのように鋭い眼差しで睨みつけてきた。
Shitと忌々しく舌打つその様は、彼が憤っている時に見せるそれではなく、寧ろ焦れている或いは本心では戸惑っているもののそれを悟られまいと虚勢を張っているようで、いっそ可愛らしいとさえ思えて苦笑を隠せない。無論、政宗のそうした態度の微妙な違いを見分けられるのは、小十郎が如何に長い月日を彼と共にしているかの証明ともなる訳なのだが。
「政宗様」
そろりと手を伸ばし、頬に触れる。何処ぞの生娘のように反射的に躰を強張らせて隻眼を閉じた政宗だったが、それも一瞬のことで、すぐにその瞳には本来の光が宿った。
「お前…ズルイ」
「狡いとは…これはまた随分な云われ様」
この小十郎の何処が狡いのか。お聞かせ願いたい。
武骨な手で戯れに頬を撫でながら、小十郎は意地悪く尋ねる。こんな云い方一つで政宗の想いを推し量ろうとしている、それこそが狡いのだとは充分に自覚しているのだけれど。
「そんな瞳で見られたら…ッ、身動き取れなくなるだろ…ッ」
「瞳、ですか?」
小十郎が問い返すと、やおら羞恥心を煽られたのかはたまた居た堪れなくなったのか、政宗はドンとぶつかる勢いで小十郎の胸許に顔を埋めてきた。突如落ちてきた躰を抱き留めたが、政宗は顔を上げないままくぐもった声で告げた。
「俺ばっか負けているようで…面白くねェんだよッ」
生来負けず嫌いの政宗は、勝負事において負けることを何よりも嫌う。戦然り。その気質のままに、おそらく艶事もそうなのだろう。色恋沙汰に明確な<勝ち>も<負け>もないと小十郎は思うのだが、それを説いたところで拗ねている政宗が聞き入れるとも思えない。
「俺ばっか負けっぱなしで…悔しい」
何を云い出すのだろう。
いつになく素直な若龍の吐露が可愛らしく、小十郎は知らず口許を綻ばせた。そうして、今しがたまで頬に触れていた手を背へ回し、あやすようにゆっくりと撫でる。
「何を仰るか」
彼は自分を狡いと詰るけれど。勿論それについては自覚しているし、そうあっても不思議ではない程度に彼よりも歳を重ねている。
身動きが取れなくなるというのならば。寧ろ自分の方がそうだと小十郎は思う。政宗の一挙一動が己を縛る。目を離せない。
「本当に。負けず嫌いの貴方のお言葉らしいといえばらしいのでしょうが。ならば、知らず政宗様が仰るところの<そんな瞳>で貴方を見てしまう小十郎の方が既に負けているのではありませんか?」
「What?」
「明確な勝敗をというのであれば、寧ろ小十郎の方が負けておりますよ」
漸く顔を上げたと思えば、疑わしそうに見上げてきた政宗を小十郎は愛しげに見つめた。
「貴方を知ってから……私の方が負けっぱなしです」
「……ッ」
彼の素直さに煽られて告げてみれば、何を察したのか政宗の目許にサッと朱が差した。




「…ダメだ。お前には勝てる気がしねェ」


365題 お題配布元:capriccio



…いつになく乙女だ。>筆頭が(苦笑)。
もう『負けっぱなし』を張り合ってるといいよ、勝手に。
Comment







(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
Trackback
http://sinners.blog13.fc2.com/tb.php/377-7a8c1f0c
プロフィール

安曇

  • Author:安曇
  • 今日も元気に生きてます。
カレンダー(月別)
10 ≪│2017/11│≫ 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブロとも申請フォーム
ちびギャラリー
 

presented by.●○紅羽のTWぶろぐ○●
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。