人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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191.利用されてあげる【幻水Ⅱ:赤青】

遠くの方で足音がする。この歩幅はマイクロトフのものだな───などと微睡みを楽しみつつぼんやりカミューは考えた。
春の穏やかな陽射しが大きな窓から射し込んでくる。こういう穏やかな日は、どうしても眠りの誘惑に勝てない。まあ偶にはこんな日があってもいいだろう。それだけロックアックスが平和なのだからと完全に覚醒していない意識の淵で言い訳をしてみる。
とにかく。誰が悪い訳でもない。睡魔に負けてしまうのは、この麗らかな陽気の所為だ。
すぅと再び意識が眠りに沈みそうになったその時。軽いノックの音の後で執務室の扉が開いた。
「カミュー」
朗々と通る声音。マイクロトフだ。マイクロトフの登場でほんの少しまでは落ちそうだったカミューの意識が完全に覚醒する。
「…何だ。おとなしく執務室に籠っていると思ったら…昼寝をしているのか」
呆れ交じりの口調で独りごちた彼は、少々弛み過ぎのようだなとぼやいた。この状況、この展開で瞼を上げようものなら、マイクロトフの説教の一つや二つ覚悟しなければならないので、とりあえず寝たフリを決め込む。
「全く…呑気なものだな」
せっかく稀少だとかいう茶葉が手に入ったのにとマイクロトフが続けたのは、カミューが紅茶党であることを知っているからだ。そして、彼はカミューが手ずから淹れる紅茶を殊のほか気に入っているのである。
その言葉を耳にして一瞬でも『実は狸寝入りでした』と目を開けようかと揺れ動いたのだが、そうなるとやはり説教を免れないのでここはグッと堪えることにする。
そんな葛藤真っ只中のカミューであるとは露知らず、マイクロトフは足音を潜めてカミューの傍に歩み寄った。口では呆れたと云いつつも、眠っているカミューを起こさぬようにという優しい心遣いからかもしれない。
彼の掌がそっと頬に触れ、そのままスッとスライドして髪を撫でた。
「眠っている時は誰しも無防備だというが…本当にそうらしいな」
手触りが良いのか何度も髪を梳きながら、マイクロトフは呟いた。
「今のカミューはとても無防備だぞ?」
クスクスと笑い声が洩れる。今、彼は一体どんな表情を浮かべているのだろう。きっとマイクロトフ当人も気づかないくらい柔らかな表情をしているに違いない。今、自分が目を瞑っていることが非常に惜しい気がした。
「…カミュー」
先ほどまでよりも声が近い。
「無防備に寝顔を晒している…お前が悪いんだぞ?」
続けて呟いた、例えば俺が衝動的に走ったとしても…とはどういう意味なのだか。考えを巡らせていると、唇に柔らかな感触が当たった。
ああ、そういうことかと思う。
(なんだか…やることがいちいち可愛いよなぁ、もう)
目を瞑っているのが勿体無い。
「な…ッ、お、お前起きていたのか!」


ごめん、マイクロトフ。説教は後で聞くから。




365題 お題配布元:capriccio


土曜日のブログで衝動的に書いたよという赤青。
突然、病のように無性に書きたくなるんですよ。
赤青は10年経った今でも大好きです。

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