人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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153.とまらない雨【戦国BASARA2:小政】

昇降口を出たところで恨めしそうに空を見上げた政宗は小さく舌を打った。午前中から今にも泣き出しそうだった空模様は、帰宅時間を迎えた今頃になって本格的な雨降りになってきている。
「…ったく、こんなことならおとなしく小十郎の云うこと聞いておくべきだったぜ」
出掛けに傘を持っていくよう背後から小十郎に忠告されたのだが、遅刻しそうだったのと天気が保ちそうだと勝手な解釈をしたこともあってあっさりと聞き流してしまった。その結果がこのザマである。
梅雨時の天気ほど当てにはならない。後悔先に立たずとはこのことだ。
「やーれやれ。どうすっかなァ」
ガシガシと髪を掻き撫でながら、もう一度空を仰いだ。少し雨宿りをしていれば止むだろうという類のものではないということは、次第に強くなりつつある雨足をみても判る。連絡をすれば小十郎が迎えに来てくれるだろうが、「ほら、云わんこっちゃねェ…」と呆れ返られるのが目に見えており、云い返せないだけにそれも面白くない。
「濡れんの覚悟で強行突破か…」
それでもなかなか一歩を踏み出せずに「う~ん」と唸っていると、軽く後頭部を叩かれた。
「どした、政宗?」
「おう、元親か」
同級生の長曾我部元親である。アニキ肌の豪快な性格をしている彼とは波長が合うのか、学校ではよくつるんでいる。政宗に居心地の良い場所を提供してくれる仲間の一人である。
「こりゃ、ヒデエ降りだな。お前傘は?」
「忘れた」
幾分偉そうに政宗が即答すると、元親は「それでここで立ちんぼか」と苦笑を浮かべて云った。
「右目の兄さんならちゃんと傘を持たせるだろうによ。どうせ、お前が云うこと聞かなかったんだろ?」
「Shit!」
ご明察である。政宗にとっての小十郎の存在は、彼の友人達にも知られているのだ。
「右目の兄さんに電話して迎えに来て貰えば…つっても、それも<負けた>みたいで嫌なんだろう」
だからといって、いつまでも此処で立ち尽くしている訳にもいかない。
しようがねェなァと元親は笑った。
「家まで送ってやるよ。どうせ方角は一緒だしな」
本当か?と政宗の左眼が嬉しそうに輝く。
「Thank you、元親」
「ま、傘は1本きりだから必然的に相合傘だけどなァ」
文句は云うなよ?と笑いながら念押しして、元親は傘を開いた。ほら、行くぞと差し出された傘、元親の隣1人分のスペースに滑り込む。育ち盛りの青少年2人で1本の傘を仲良く分け合うのだから幾分窮屈なのだが、文句は云っていられない。濡鼠にならないだけマシだろう。
三々五々散っていく生徒達に混ざって、他愛のない会話を交わしつつ政宗達も校門へと向かった。
「おい、政宗」
会話が途切れて元親に呼ばれた政宗が顔を上げると、元親は促すようにクイと顎を逸らせてみせた。
「お迎え…みたいだぜ?」
校門の前で控え目に佇んでいる長身の男の姿が目に映った。
「小十郎?」
政宗が見誤る筈もない。
近づいてくる政宗と元親の姿に気付いた小十郎は、すぐに携えていた政宗の傘を開いた。
「迎えに来てくれたのか、小十郎」
「この雨に難儀しているかと思いまして。さあ、政宗様。どうぞ傘を」
おう、と頷いた政宗は元親の傘から小十郎に差し出された己の傘へと移った。
傘の骨を伝って落ちる雨粒が制服を濡らす。
「良かったなァ、政宗」
「鬼の坊やもすまなかったな。礼を云う」
「いやいや…たいしたことねェし。んじゃ、また明日」
「おう。本当にThank youな」
ヒラヒラと手を振って去っていく元親の姿を見送ってから、小十郎は政宗を促した。
「政宗様、そろそろ行きましょうか」
ゆっくりとふり仰ぎ、小十郎の優しい瞳とぶつかる。そうだなと口許を綻ばせた政宗は、突然小十郎の傘に滑り込んだかと思うと手にしていた傘を畳んだ。
「政宗様?」
「さあ、俺達も帰ろうぜ。小十郎」
濡れないようにと小十郎に寄り添った政宗は、急かすように小十郎の背を押す。
「たまには相合傘もいいだろ?」
「ったく…困った人だ」
悪戯っぽく笑いながら云う政宗に向かって呆れたような口調で小十郎は返すが。
本当は満更でもないのだということは、その表情で判った。
さり気なく肩に手を回され、そっと引き寄せられる。小十郎のそうした気遣いが嬉しくて、家までの道のりが果てなく長ければいいのにと思う政宗だった。


365題 お題配布元:capriccio


久しぶりに梅雨らしい空だったので、それに合わせてつらつらと書いていたら…とっても乙女な筆頭が出来上がっちゃった(苦笑)。
大概小十郎も大甘です。
そして、そんな2人を生温~く見守るチカちゃんは当て馬…。
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