人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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39.最後の晩餐【幻水Ⅱ:赤青】

「は?世界の終わり?」
スプーンを手にしたまま、マイクロトフは些か間の抜けた声を発した。驚いて丸くなった瞳の奥に映る自分の姿を認め、カミューは思わず頬を緩める。
「そう。もしね、明日世界の終わりが来るって云ったらマイクはどうする?」
食事時の他愛のない会話だ。戯言といってもいいくらいの。
勿論、本当に明日この世界が終わるなどという非現実的なことは微塵も思ってはいない。仮にあるとすれば、命を失うというその一点で、考えてみればそれもある意味<世界の終わり>なのかもしれなかった。但し、それは自分を基点とした<世界の終焉>であって、自分以外の<世界>は変わらず流れているのだが。
「どうするって…考えてみたこともないな。そのようなこと」
平然と答え、マイクロトフはスプーンを口へと運ぶ。彼らしい答えだ。彼はいつか来る<終わり>よりも<現在>を常に見据えている、ということだ。それがたとえ明日であっても。
「カミューは考えたことがあるのか?」
「考えたことがあるって云ったら…笑うかい?」
「いや、別に笑いはしない」
マイクロトフは頭ごなしに否定するようなことは決してしない。皆は彼を頑固者だと評するが、寧ろ柔軟な考えの持ち主だとカミューは思っている。如何に突飛な考えを打ち明けられようとちゃんと最後まで聞く耳を持っている、そういう大きな器の持ち主だ。
「で、マイクはどうする?もし明日世界が終わるとしたら」
「…フム」
再度カミューに問われ、マイクロトフは思案顔をした。本当に考えたことがなかったらしく、随分と長い間真面目に考え込んでいる。戯言にしてもこれは失敗したか…とカミューが話題に挙げたことを軽く後悔し始めた頃、漸く結論に至ったのかマイクロトフが口を開いた。
「とりあえずはいつもと変わらんだろうな。同じように最後の一日も過ごすと思う」
「いつもと変わらない?」
特別変わったことをしようとは思わない。いつもと同じように起きて、食事をして、鍛錬をして、執務をこなして───そうして最後を待つ。
ああ、でもそうだな。
いつもと変わらないと告げた後でマイクロトフは、たった今思いついたようにそう付け加えた。
「本当に最期も最期───その時は、叶うならばお前の顔を見ていたいと思う」
叶うならば、傍らで。
そうすれば世界の最後を迎えるのも然程悪くはない。そう続けた後で、ハッと我に返ったらしい。喰い入るように見つめるカミューの視線に急に居た堪れなくなったのか、目許にサッと朱を走らせたマイクロトフはあからさまに視線を逸らした。
その仕種に知らずカミューの口許が緩む。
「な、何だ!その締まりのない顔…はッ」
「いや…俺も同じだなーと思って。俺も最期はマイクが傍にいてくれれば、それで充分満足だなってね」
「い、云ってろ。馬鹿者」
最期にこの瞳に映るのは彼だけでいいと熱烈に。
自分の想いと違わぬ想いを彼もまた抱いてくれているのだと他愛のない会話からでも窺い知れて、そのことが嬉しくてカミューは満足げに瞳を細めた。


365題 お題配布元:capriccio

久しぶりの赤青。
最近ずっと小政ばかりだったから…かれこれ1ヵ月ぶりくらい。
もしかしたら、それ以上かも。
元々拍手小噺の追加用に書いたものでしたが、気付いたらブログの方にアップしていました(苦笑)。
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