人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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296.雪の旋律【戦国BASARA2:小政】

奥州の雪は深く、総てを白に覆い尽くす。
「政宗様、早々にご退出なさってよろしかったので?」
j政宗の背後から小十郎が窺うように訊ねてきた。新年を迎える無礼講の大宴会は伊達軍の大晦日の恒例行事である。その大宴会は、つい今しがた彼等が退出した大広間で延々と続けられていた。
「別に構わねェよ。どうせアイツら俺達が退出したってことも気付いちゃいねェさ」
「それはそうですがね…」
結局のところ、なんのかんのとこじつけて派手に呑んで騒ぎたいだけなのである。勿論、そんな彼等の気持ちを察することができないほど伊達軍の大将は愚鈍ではない。
奥州の冬は長く、根雪が融けるまで完全に閉ざされる。人も動植物も総てだ。自然の摂理だから諦めざるを得ないのだとしても、毎年繰り返されるある種隔離された世界で春を迎えるまでじっと息苦しく生きるのは、とてもではないが耐えられない。ならば、こうして時々楽しいことを仕掛け、長く辛い冬のせめてもの慰めとなれば良い。
フフと口許を綻ばせた政宗は機嫌が良い。大広間でも家臣達から次々に杯を勧められ、頭領としてそれら総てを断らずに呑んでいた政宗は、短時間で相当量の酒を腹に収めたことになる。しかし、足取りもしっかりしているところをみると、まだ酩酊まで至ってはいないらしい。日頃ザルの小十郎を付き合わせて呑んでいる所為だろうか。大酒呑みの片鱗を窺わせている。元傅役の心境としては、このままでいいのか悪いのか判断のつきかねるところだ。
「小十郎。河岸を変えて呑み直そうぜ?」
「…ったく。ほどほどになされませ」
「Ha!あれしきの量にこの俺が呑まれるかよ。お前なら俺の限界点が何処までか承知しているだろ」
「勿論、当然です」
「なら、野暮なことは云いっこなしだ。大晦日まできて説教はNo thank youだぜ、小十郎」
クツクツと喉を震わせて政宗は笑った。
次第に大広間から聞こえてくる喧騒は遠ざかり、政宗の私室に至る頃には冬特有の静謐さが辺りを支配していた。部屋に戻る前に既に小姓に命じていたのだろう。部屋には膳が二つ用意され、暖かくいられるようにと火鉢が置かれていた。
「さて、今年最後の夜だ。二人で雪見酒と洒落込もうぜ」
<独眼竜>の名そのままに戦場にあっては猛々しい政宗だが、若いながらも風流を解する。政宗の私室から見る雪夜の庭は、部屋の行灯のほの明るい灯りを反射して幻想的なまでに美しかった。
「なるほど、この雪を眺めつつ酒を酌むとは風流ですな」
「だろう?その上、水入らずだ」
聞けば、この部屋へ誰も近づかせるなと小姓に命じているという。そうまでして政宗は小十郎と二人きりで過ごせる時間を作り出したのだった。その心情を想えば、この若き竜に愛しさばかりが募る小十郎である。
「呑もうぜ」
「御意に」
政宗に倣って腰を下した小十郎は、まずは政宗の杯に酒を満たした。そして政宗手づから酌を返す。何を気負うこともない。二人の間では空気にも等しい当たり前の行為だった。
「小十郎。今年もどうにか暮れるな」
降り積む雪を見ながらしみじみと政宗は云った。本当に、と小十郎が頷き返す。
戦いに明け暮れた日々だった。数多の武将と刀を交え、ある時は勝利し、またある時は敗北という名の辛酸を舐めた。天に覇を唱える為ならば避けては通れぬとはいえ、決して平穏とはいえぬ日々だった。
けれど、今。
こうして今年最後となる日に酒を酌み交わしている。
互いに生き抜いたこと。それがどんなに幸福なことか。政宗の背を護り、また傍らに在れたということ、小十郎にとって何よりも幸せなことだ。
「来る年はどんな年になるかな?」
「政宗様にとって佳き年となることを小十郎は願っておりまする」
「それならお前にとっても佳き年だな。俺にとっての佳き年なら、当然お前にとっても佳き年だろ」
「政宗様…」
お前にとって佳き年であるように。
政宗はそう告げて、華が綻ぶような笑顔を浮かべた。
遠くでドーンと太鼓の音が聞こえる。それは年が明けたことを知らせる音だった。
耳を欹て、「おッ?」という表情をした政宗は、自らの膳を脇にどかすと小十郎に向かって両手を伸ばした。小十郎も邪魔な己の膳を脇に寄せる。
「A HAPPY NEW YEAR、小十郎」
「おめでとうございます。政宗様」
政宗の躰を抱きとめて、ごく自然にキスを交わした。
「新しい年一番にお前の顔を見られて俺は果報者だな」
「小十郎こそ新しき年を政宗様のお傍で迎えられ嬉しく思いますよ」
抱きしめる腕にぎゅうと力を込める。
「今年もよろしくな。小十郎」
「はい。今年もご存分にお暴れなさいませ。政宗様の背はこの小十郎がお護り致しますゆえ」



貴方にとって。
輝かしい年であらんことを。



365題 お題配布元:capriccio






あけましておめでとうございます。
無事に新しい年が明けました。今年は穏やかな元旦です。
年賀状も沢山届き、久しぶりの友人達の消息に一喜一憂してみた、り。そうね、子供の一人や二人いておかしくない年代ですもの、ねorz


今年も自分の感情に素直に、楽しく過ごしていけたらいいなと思います。
サイトの更新も頑張りたいな。
少しでもここを訪れてくれる皆さんの心に響くような作品を作り出せたらいいと思っています。
どうか今年もよろしくお願いします。

さて、今年の第一作目は小政です。
まァ別にフツーにサイトに載っけても良かったんですが、久しぶりにブログの方にしてみました。
個人的に気合いを入れて、三が日連続更新を目指しています。
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