人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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213.僕らの関係【戦国BASARA2:小政+成実】

「…モシモシ、政宗サン?」
僅かなりとも窘める色合いを帯びた声音で成実は背後の政宗に声を掛けた。だが、すっかり機嫌を損ねているらしい政宗はそんな成実の遠回しな非難など解そうともせず、それどころか益々体重を掛けて成実の背に凭れ掛かった。
ぐえ、と蛙が押し潰されたような情けない声が上がる。勿論、成実の声だ。
「なァ、梵よ。お前は俺の手伝いに来たのか、それとも邪魔しに来たのか?」
こう見えても、成実は目下執務中である。政宗の従弟であり、同時に側近でもある成実の許へは持ち込まれる政務の量も多く、それなりに忙しい。尤も、成実は己以上に忙しい人物が家中に存在していることを承知しているから、その人物の忙殺加減と比べれば、あくまでも『それなりに』忙しいというのが相応しかろうと思っている。
「Shut up!どいつもこいつも忙しいフリしやがって」
忙しい<フリ>ではなく、本当に<忙しい>のだが…云おうものなら見るからに不機嫌そうな──いや、実際見ている訳ではないので、この場合背後で察せられる気配に基づいてなのだが──政宗のことだ。癇癪を起こしてそれこそ宥めるのもひと苦労である。政宗の癇癪は成実如きには手に負えぬ代物だ。
「あー、もしかしてさァ。小十兄が忙しくて構ってくれないから拗ねてる?」
途端、ゴンっと背後から頭突かれた。図星である。
やれやれ、と成実は盛大に溜息を零した。
政宗の傅役にして荒くれ者揃いの伊達軍の軍師である片倉小十郎の仕事量といったらとんでもない。そのくせそれらを平然と片付けた上で政宗の世話まで焼き、挙句趣味の畑仕事の時間まで捻り出すのだから、小十郎は一体どういう構造をしているのだろうと成実は常々思う。
(まァ…小十兄は一事が万事『梵が大事』だからなぁ)
総てが政宗のために費やされていると考えれば、日々忙殺とも思っていないのかもしれない。
その小十郎は雪解けとともに開始予定の会津方面の攻略準備で忙しく、城内にあっても政宗と顔を合わせる機会が減っていた。確か今日顔を合わせたのは朝議の時ぐらいだったか。勿論、政宗にしても小十郎が何故忙しくしているかなど充分に承知している。主君として会津攻略の準備を命じている訳だからそれは当然なのだが、とはいえ<主君>として頭では理解していても<個人>の心はそこまで割り切れていないらしい。元来、政宗は小十郎に対しては遠慮なく我儘なのだ。
「…つまんねェ」
「つまんねェって…ったく、勘弁してくれよな。俺だってそんな暇じゃ…」
「成実」
機嫌更に下方修正。
いよいよ諦めた成実は手にしていた筆を置いた。
「小十兄が構ってくれないからってさァ。俺に八つ当たりされても困んだよ…って!」
「うわっ」
成実が腰を浮かした弾みで彼の背中に全体重を預けて凭れていた政宗がズルリと滑り落ちた。畳に強かに後頭部をぶつけなかっただけマシだったろうか。
「形勢逆転?」
仰向けに転がった政宗の上に馬乗りになった成実は、政宗の顔を見下ろし悪童のような笑みを浮かべた。その笑みに応えるように、政宗にもまた不敵な笑みが浮かぶ。
「面白い真似してくれんじゃねェか」
「梵がつまんねェってゴネるからさぁ…ちょっとスリル味わってみる?」
「Ha!俺を喰うってか。そんな度胸があんのかよ、お前に?」
ガキのじゃれ合いとは訳が違うんだぜ?と政宗が不敵に笑いつつ云う。兄弟のように育った仲だ。今までもガキのじゃれ合いめいたことは何度かしている。
「いいぜェ?喰えるモンなら喰ってみな」
着物の袷を掴まれグイと引き寄せられた。六爪を握る政宗の腕力は強く、引き寄せられるというよりは落とされるという感覚に近い。
間近に見る従兄の貌。柔らかな唇が重なる。
「但し。小十郎に痕跡すら気付かせねェようにな」
「……」
無理。それゼッタイ無理だから!成実はブンブンと首を横に振った。
「…萎えた。梵が怖ろしいこと云うから」
「Ha ha!」
成実は政宗大事の小十郎がどれだけ怖ろしいか知っている。こんな風にふざけて時々危うい誘いを仕掛けてくるが、基本的に政宗もまた小十郎に一途だ。
成実とて相思相愛の二人の間に割って入る間男のような無粋はしたくない。政宗のことは好きだけれども。
命は惜しい。
はぁぁぁ、と溜息を吐く。
「どうでもいいけどさ、梵。…やっぱ小十兄に構って貰ってよ」
「おう。そうする」
先ほどまでとは正反対。軽い足取りで政宗は部屋を出て行った。鼻歌混じりのところをみると、だいぶ機嫌は直ったらしい。
その背を見送って、成実はもう一度深く嘆息した。



「…やっぱり八つ当たりじゃねーか」




365題 お題配布元:capriccio


政宗と成実のお話。ネタとしては随分前からありました。
成実は例えば小十郎と喧嘩した時とか…政宗によく八つ当たられています。
それくらい安心できる相手なのかも。
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