FC2ブログ

人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

JESUS 02【戦国BASARA2:小政】


【鎮魂と再生】の「JESUS 02」です。
小政と銘打っておきながら筆頭は一向に出てくる気配をみせず、小十郎がひとりでぐるぐるしています(苦笑)。
元就を初書きしました。
彼は軍医です。



そんな訳で、以下本編。




深く深く───ともすれば奈落の底まで沈んでいくような錯覚さえ陥りそうな意識。それを見えない力で乱暴に引き摺りだされた。
グワングワン、と外側から内側から容赦なく頭蓋を叩かれる。
「政宗様!!」
目覚めた小十郎は勢いよく飛び起きた。途端、全身が悲鳴をあげ、頭の先から血の気がすうと引いて軽い眩暈を起こす。
小十郎が目覚めたそこは軍病院の病室だった。
「小十郎!大丈夫か?」
頽おれそうになる小十郎の上体を支えたのは、先の戦闘でともに死線を潜り抜け無事に帰還した鬼庭綱元だ。その傍らには第四独立遊撃部隊きっての猛将、伊達成実もいる。
小十郎の覚醒に立ち会うこととなった彼らは、一様に安堵した表情を浮かべた。
「良かった、小十郎だけでも意識が戻って…」
成実がホッとしたように云う。

≪小十郎ダケデモ…?≫

成実の言葉を一言たりとも聞き逃さなかった小十郎の表情が、俄かに強張る。
小十郎だけでも。
(小十郎だけでも───?)
どういうことだ、それは。
何が起こった?!
「政宗様、は?」
「小十郎、動くな。お前とて先の戦闘で傷つき、一時期は命をも危ぶまれたのだ」
「俺の質問に答えていねぇ!」
獰猛な獣の如く、小十郎は二人に向かって牙を剥いた。
「政宗様は何処にいる?政宗様はどうしたッ?!」
政宗が傍にいない。
無敗を誇る第四独立遊撃部隊の<独眼竜>。命に代えても惜しくない、小十郎のたったひとつの光、或いは至高の宝であるその人、が。
「政宗様は…ッ、」
何故黙っている、と小十郎は激昂した。
好戦的な性格の<独眼竜>を御する冷静沈着な副官として軍内では知られている小十郎であるが、本来の彼は主たる政宗以上に苛烈で荒々しい性格の持ち主である。
「梵、は───」
「…成実、」
思い詰めた表情で口を開いた成実を制し、綱元は小十郎に向き直ると真っ直ぐに彼を見据えた。この三人の中で最も年長なのは綱元である。
それを告げるのは年長者の役目、と思ったのだろうか。彼は苦々しいものを吐き出すように、重い口を開いた。
「政宗様は───目覚めない…」
「目覚めない、だと?」
「あれからずっと、だ」
あれから、とは最前線からの撤退を余儀なくされた先の戦闘からだろうか。
あの時、敵方が放った砲弾が着弾した地点に近い位置にいた彼は爆風をまともに浴びたのだ。あの攻撃で部下が何名か命を落とした筈。
小十郎は意識を失った彼を抱えて、自らも負傷していながらも緩衝地帯までなんとか退き、部隊は命からがら本拠に帰陣を果たした。
なんとかこの人を護らなければ。
この人の命を地上に繋ぎ止めなければ。
小十郎の意識を支配していたのは終始そのことばかりだ。だから、本拠へ帰陣しても気が昂ぶり、周囲が敵か味方かも判らなかった。
(護らなければ…!)
手負いの獣が牙を剥く、まさにそうした表現が相応しかったその時の小十郎の荒れ様。
医務官が駆けつけ、即治療に当たらなければならないと政宗を引き離そうとしたのだが、気が昂ぶっている小十郎は『政宗を奪われる』と思ったのか、傷ついた彼を抱きしめ離そうとはしなかった。そのうちに先に帰陣していた第四独立遊撃部隊の者達が騒ぎを聞きつけて駆けつけてきたが、それでも小十郎は政宗を離そうとはしない。
終いには軍医まで動員され、強引に鎮静剤を打たれて小十郎が意識を失った隙に引き離された政宗は集中治療室へ運ばれたのだ。
そして、現在に至るまで意識が戻っていないという。
「政宗様…政宗様のお傍に…」
「それはならん!小十郎!」
「何故だ!?」
「軍命だ。軍の士気を低下させぬよう政宗様の容態は秘されている。軍にとって、無敵の<独眼竜>の存在は絶対。我々とて政宗様の御身は心配だが、軽々に動くことはできんのだ」
「俺は<竜の右目>だ!右目が<本体>を欲して何が悪い!どけ、政宗様のお傍に…」
政宗様───!
「小十郎!」
止めだてしようとする二人を薙ぎ払うようにして、小十郎はベッドから下りようとした。だが彼も意識が覚醒したばかりのうえ、重傷といってもおかしくないほどの怪我をしている身だ。
「小十郎!」
すぐに医務官が呼ばれ、連絡を受けて駆けつけた医務官の手によって鎮静剤を打たれた小十郎は、嫌だと抗いながらも再び奈落の底へ沈めといわんばかりに手を伸ばしてくる得体の知れないモノに意識を委ね、次第に闇の中へ取り込まれていくのだった。
(まさむねさま───)
必死に伸ばす、その手はもう届かない。



「手負いの獣ほど扱い難きものはないと云うが…貴様はまさにそのとおりと云えような、片倉」
次に意識を取り戻した小十郎を迎えたのは、軍医でありまた医療技術班のトップである毛利元就だった。
「政宗様、は?」
怜悧な顔立ちの元就は涼しげな目許をきゅっと細め、愚かなものよ…と呆れたように呟く。
「余程独眼竜が大事とみえる」
「…当たり前だ」
元就に云われるまでもない。政宗は小十郎にとって己が命よりも大切な存在。至高の宝だ。
「政宗様はどうした?」
「目覚めぬわ」
「な…ッ、」
「如何な第四独立遊撃部隊の<独眼竜>なれど、このままでは使いようがあるまいな。上層部とていつまでも独眼竜の有様を秘することはできぬ。意識の戻らぬ輩など使えぬわ。死んだも同じこと」
「毛利、貴様…」
ギリと唇を噛んで小十郎は元就を睨みつけた。
「早晩上層部はひとつの決断を下そうぞ」
「何…?」
「片倉、貴様も軍の者ならば聞き及んでおろう。我が医療技術班の技術を」
医療技術班の技術。
まさか、元就の言に小十郎は瞠目した。
元々人体改良技術は医療用に研究されていた。
それを軍事に転用し、研究が続けられているのは軍部では周知の事実である。その研究の責任者が医療技術班のトップである元就だった。
「片倉。貴様、独眼竜のために『罪』を犯す覚悟はあるか?」
「政宗様のために…罪を犯、す?」
どういう意味だ、と目で訴える。
「上層部はどんな手段を以てしても<独眼竜>を生かさねばならぬと思っておる。そして、我の技術は理論上可能の域にある。どんな手段を以てしても生かさせねばならぬと考えておるなら…聡い貴様ならば、この先云わずとも判ろう?」
上層部は彼に『人体改良技術』を施そうとしているのだ。
<彼>を生かす、それだけのために。
小十郎とて政宗を生かしたい。このまま意識が戻らず、いつ戻るかもしれないその日を待ち続け徒に時を重ねたくはない。彼を喪いたくはない。
しかし、それは。
彼の想いも意思も総てを無視して、こちらだけのエゴで。
ただ、生かす。生かすのは<独眼竜>としてだ。連合国軍第四独立遊撃部隊を率いる無敵の<独眼竜>として。
それ以上でもそれ以下でもなく。
ただ、それだけのために。
「『罪』を犯す覚悟はあるか、片倉」
元就が再度、問う。
喪いたくはない。生きていて欲しい。傍にいて欲しい。
だが、その道を選ぶのはきっと神への冒涜。
(政宗様───)
小十郎は震えた。
選び取る道と、それを選んだがために差し出す代償を思って震えた。
片倉、と元就が静かに告げる。
「『罪』を犯すだけの覚悟が貴様にあるのなら、独眼竜の許へ連れて行ってやっても構わぬ」
(政宗様…)
「政宗様は『生きる』のだな?」
「生きようぞ。但し、伊達政宗という<個>はなくなるがな」
それでも。
それでも喪いたくない。傍にいて欲しい。そう思うのは己のエゴだろうか。
そう思うことからして既に『罪』を犯しているのではないだろうか。
(政宗様…)
それでも俺、は。
「毛利…」
「覚悟できたか」
ああ、と小十郎は目を閉じて頷いた。
「俺を───政宗様の許へ連れて行ってくれ」
そしてこの手は。
罪を犯す。



上層部が決断を下すことも、小十郎が罪を犯すことも。
思えば総て予定調和だったのかもしれない。
ゆらゆらと羊水の中。
数多のプラグとコードを躰中にを巡らせ、<彼>は眠っている。
「政宗様…」



目覚めるその日を───待っている。



Comment







(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
Trackback
http://sinners.blog13.fc2.com/tb.php/889-8c348da9
プロフィール

安曇

  • Author:安曇
  • 今日も元気に生きてます。
カレンダー(月別)
11 ≪│2019/12│≫ 01
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブロとも申請フォーム
ちびギャラリー
 

presented by.●○紅羽のTWぶろぐ○●
ブログ内検索
RSSフィード
リンク