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人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

231.御伽噺に喩えると【戦国BASARA2:小政】

政宗の寝所前で居住まいを正した小十郎は、控え目に室内に向けて声をかけた。
主君を起こすのは本来小姓の役目だろうが、当の本人が──目覚めてはいるのだが──小十郎が起こさない限り起きてこないことと、彼を起こすことは己だけに許された特権と小十郎が自負していることもあり、政宗が幼少の時分から続く小十郎の朝の日課となっていた。
「政宗様、」
気配に敏い政宗である。常ならば、小十郎が寝所の前に控えた時点でこちらが声をかける前に気配で察して「入れ」と促してくる筈だ。
だが、今朝は声をかけても物音ひとつ返ってこない。
「政宗様、お目覚めですか?」
ウンともスンとも返ってこないため、いよいよ訝しく思った小十郎は、ご免とひと言断ってから障子戸を静かに引いた。
珍しいことに寝入っているようだ。
こんもりと山になった布団が規則正しく上下している。
「政宗様」
せっかく気持ち良く眠っているのだから、起こすのは可哀想だ…などという仏心は微塵も見せない。
傅役の頃より厳しく接してきたつもりである。勿論、他人の目には<甘い>と映っていようと、だ。
普段はすっきりと起き出す政宗なのだが、どういう訳か今朝に限って目覚めない。
(そんなに寝穢くはねぇ筈なんだが…)
よもや具合でも悪いのだろうかと一瞬心配になったのだが、規則正しい健やかな寝息から察しても具合が悪いとは考えにくい。
さて、どうしたものか。
ひっそりと溜息をつく。
政宗様、と間近でもう一度声をかけてみたが、余程眠りが深いのかぴくりともしない。
こうした場合、得てして起こし方を間違うと政宗はその日一日大層不機嫌になるので、小十郎としては頭を悩ませるのだが。
そういえば、と。
ふと小十郎は少し前に政宗から手渡された異国の御伽草子に載っていた話のひとつを思い出した。
確か───あれは、接吻で目覚める姫君の話だ。
『キスで目覚めるとは…なんともromanticな話じゃねェか。なあ、小十郎?』
何を意図しているのやら、ニヤニヤと笑って小十郎が広げた草子を覗き込み、政宗が話を振ってくる。
是とも否とも返事を決めかねていると、政宗が更に悪戯っぽい笑みを深めたので、小十郎は渋い表情を浮かべた。
『何を仰りたいので?』
『何を、とは小十郎らしくもねェな。いつも俺の考えることなんざお見通しだって云ってやがるクセに』
フフ、と艶を帯びて綻ぶ口許。
さて、と小十郎が空惚けてみせると、政宗は『主を前にして惚けるとはいい度胸だぜ』と小十郎の膝に乗せていた手で抓ってきた。
『政宗様、戯れも大概になさいませ』
『Ha!それっくらいの艶っぽい起こし方を俺のDarlingもできねェもんかねェ』
そうしたら一発で気分良く目覚めてやるぜ?とどこまで本気で云っているのか定かではない人の。
その婀娜っぽい笑みまで鮮明に思い出し。
まったく、と緩く頭を振る。
「どうせ御伽噺だろうに…」
キスのひとつで都合良く深い眠りから目覚めるなど到底思えない。あれはあくまでも御伽噺だからだ。
「政宗様、朝ですよ」
尚も主は目覚めない。
やれやれ手のかかると肩を竦めて、仕様のないと小さく呟き。
「本当に一発で気分良く目覚めるのでしょうな?」
確かめるようにそう低く告げて。
そっと。


その日、何故か政宗の顔は火照ったように真っ赤だった。
理由を知るのは───ただ二人のみ。



センター試験の空き時間は「何もしないのは勿体ない!」とばかりに、ずっとネタを考えていました(苦笑)。
一時間おきに試験業務に就くので、空いた時間くらいは仕事すんのやめよう、と。>逃避。
そんな中でできたお話の一本です。
ちゃんと真面目に働いていますが、頭ン中で考えていることはこんなものです(苦笑)。
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