人生楽ありゃ苦もあるさ

日々のつれづれや大好きなものを力いっぱい叫ぶ代わりに書き綴っています。サイト更新情報や、時々BASARA二次創作(小政、家政メイン)も。 

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62.愛しい子【戦国BASARA2:小政】

さて、そろそろか───と頃合いを見極めた小十郎は、主の部屋に向かうべく腰を上げた。
小十郎の主は一度何かに集中すると、それこそ平気で寝食を忘れて没頭してしまう。
特に冬場は戦がない分、領地や領民に目を配る機会が必然的に多く、持ち込まれる書簡もそれに伴って多くなり、それら総てに目を通しては裁可を下すので、こちらが気を配っていないとそうした主の性格上、どうしても無茶をしてしまうのだ。
そのくせ堪え性のないという相反した性格でもあって、なかなか厄介なのである。
台所で賄い担当の侍女に用意して貰った熱いお茶と甘い菓子を携えて、小十郎はここ数日の大雪の所為でしんしんと冷えた廊下を渡り、主の部屋に向かった。
「政宗様、小十郎です」
部屋の前で片膝をついて控え目に伺候したことを告げたが、応答がない。政宗様、と今度は先ほどよりもやや強めにその名を呼んでみたのだがやはり変わらずなので、
(やれやれ…しようのねぇ)
小さな溜息を落とした小十郎は、「失礼いたします」とひと言断って、するりと障子戸を横に滑らせた。
「政宗様、」
たとえ障子戸一枚でも冷たい外気を遮るには充分だ。小十郎とともに隔てていた冷たい空気が室内に忍び込んでくる。
様々な書状が所狭しと広げられていて、まるで海のようだ。
これでも己の判断で済むような簡易な案件は選別して己のところで止めているので、政宗の許まで届くものは随分減っている筈なのだが、それにしても半端ではない量である。
散らかし放題の有様に呆れるよりも、その書状の海で泳げるのではなかろうかという些か的外れな感想を抱いた小十郎は、その波打ち際にいる政宗がくるりと振り向いて小十郎を視界に収めるや「Wow!」と嬉しそうな声を上げたので、何事かと首を傾げた。
「You can read my mind!流石は小十郎、俺の〈右目〉だ!」
「如何なされましたので?」
「そろそろ小十郎が来ねェかなァ、と思っていたところだ」
「それは…嬉しいことを仰られる」
ひとまずお茶と菓子を邪魔にならない場所へ置こうと思ったのだが、この有様では何処に置いても邪魔になりそうな状態だったので、注意を払って波打ち際まで行く。
「そろそろお疲れの頃合いと思いましたので、熱いお茶と甘い菓子をお持ちしました」
「Thanks」
にこりと極上の笑みを寄越して、政宗は小十郎から湯呑を受け取ると熱いお茶をひと口飲んでから、ほうと息をついた。
舌が肥えている政宗は、自分が美味しいと思うものには惜しげない賛辞を与える。それが給仕の者達に喜びと活力を与えることとなり、彼らが政宗を慕う結果ともなる。
戦闘要員のみならず非戦闘要員にまで徹底している伊達軍の結束は、政宗のこんな些細な気配りから成っているのだ。
政宗の幼少時から傅役として常に彼の傍近くに在り、そして今日まで共に歩んできた小十郎は、そんな政宗の成長を誇らしく思うのだった。
「…美味いな」
「それはようございました。然様な政宗様のお言葉を賜り、賄いの者も喜ぶでしょう」
菓子を腹に収め、お茶を飲み干した政宗は固まってしまった躰を解そうとしたか、うんと大きな伸びをひとつしてみせた。
そんな政宗の様子を見遣り、小十郎はふ、と口許を緩める。
「政宗様、」
「An?」
心得たように小十郎は“トントン”と己の膝を叩いた。
その仕種の意味がすぐに捉えられなかったらしい政宗は初めきょとんとしたのだが、にこりと微笑みかけて頷くと、小十郎の膝を枕にごろりと横になった。
「You can read my mind really!本当に小十郎は俺の心を読むのが上手い」
「そろそろ甘えたいと思っていたのでしょう?」
クスクスと笑いながら、少しばかり意地悪く云ってやる。
すると、政宗も負けまいと口の端を上げて、
「Ha!お前だってそろそろ俺を甘やかしたいと思っていたクセに」
と答えた。
僅かに小十郎の表情が崩れる。
そのとおりだ。そろそろ甘やかしたいと思っていた。
(油断ならねえな、本当にこのお方は。政宗様こそ俺の心を読むのが上手い)
顔を見合わせると、どちらからともなく「ぷっ、」と噴き出した。
「Ok、以心伝心ってヤツだな。俺はお前に甘えたかったし、お前は俺を甘やかしたかった。そういうことだろ、小十郎?」
「…然様にございますな」
小十郎、と仰いだ政宗が手を伸ばして小十郎の頬に触れる。
「赦す。存分に甘やかせよ?」
触れたその手に己の手を重ねると、政宗は期待に満ちた瞳をうっとりと細めたのだった。


2月22日。今日はニャンニャンニャン、ということで猫の日だそうです。
調べてみたら、5年前の犬の日(11月11日)にハボロイで犬の日仕様なSSを書いていたので、じゃあ猫の日なら…と思い立ったのが5年後の今朝(苦笑)。
当初はもっと猫っぽい話を書くつもりだったんですが…(小十郎の前では仔猫だよ、みたいな)これじゃあいつもの小政と変わりない(苦笑)。
ま、猫の日なので小政で、という心意気だけ汲み取っていただければ。
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